4話:2人目
森の中から現れたのはゲームでよく見たゴブリンに似た魔物3体と色が真っ黒なオオカミに似た魔物4体だった。
「マスター、そこで隠れてじっとしていてね。すぐ終わらせるから!」
そういうとレオンは1人魔物たちの方に向かっていった。
「れ、レオン!」
ゲーム、スフィーダの中ではレオンは初期メンバーだったこともありレベルもいちばん高く80を超えていた。もしその時のレベルのままであればあんな魔物たちなんて相手にならないはずだった。
「チィッ!」
しかしどうやら記憶は引き継いでいるもののレベルは初期化されているらしく魔物たち相手に苦戦しいくつか傷も負っていた。
(どうしよう、このままじゃレオンが……!そうだ!)
「ステータス!」
もう一度ステータス画面を呼び出しスキルの欄を見る。
(このガチャってもしかしてスフィーダのキャラクターを呼び出せるんじゃ……。でもどうやったらスキルを発動できるんだ!?)
「ガチャ」とか「召喚」とか唱えてみるが周囲に変化はなく発動の仕方がまるで分からない。こうしている間にもレオンはどんどん傷を負っている。ゴブリン2体とオオカミ型の魔物1体を倒したようだが息も上がり満身創痍といった様子だ。
「くそっ、こうなったら俺も戦いに……」
レオンを助けに行こうと身を乗り出した時、スラックスのポケットに入れていたスマホが振動した。こんな時になんだと思い見てみると、そこには見覚えのあるスフィーダの召喚画面が映し出されていた。
「これは!」
何となくこれがスキルの使い方なんだと確信し、誰でもいいからレオンを助けてくれという気持ちで『ガチャ』と表示された部分を指でタップする。
すると、『100ゴールドを使用して仲間を召喚しますか?』という文字が表示されたがここも迷わず『はい』を選択する。
その瞬間、レオンが現れた時と同じように眩いほどの光がスマホから漏れだし、光がおさまる頃には新たな仲間、いや、見覚えのある人物が立っていた。
「マスター!喚んでくれるのを待ってたぜ!っと、話はあとだな。ちょっくらレオンを助けてくらぁ!」
来てくれたのはスフィーダの初期メンバーの1人で今と同じく初めてガチャを回した時に来てくれたカイだ。
攻撃力、防御力共に高くバランス型職業の戦士であるレオンに、攻撃力に特化した職業の剣士であるカイが加わったことで攻勢が逆転し、何とか魔物を全て倒すことができた。
「ふぃ〜!疲れたぜ〜。」
「カイ、ありがとう。助かったよ。まさかレベルが初期化されてるとは思わなかった。」
魔物を倒し終えた2人がよたよたとこちらに戻ってくる。
「2人ともごめん。それに怪我も……。今の俺じゃ治してあげられない……。」
「ああ〜!マスター気にしないで!これは俺が弱いのが行けないんだ!すぐにまたレベルを上げて強くなるから!」
何もできない自分が情けなくて俯いた俺に慌ててレオンが駆け寄ってくる。
「そうだぜ、マスター。それに俺を喚んでくれたじゃないか!こうやって直接話せて嬉しいぜ!またよろしくな!」
カイもレオンの後ろからやってきてニカッと屈託のない笑顔を向けてくる。
「あ、そうだ。そういえばマスター、どうやってカイを喚んだの?」
「俺のスキルが『ガチャ』ってなってたからもしかしてと思っていつもみたいにスマホでガチャを回したらカイが来てくれたんだ。そういえば100ゴールドを消費するって……」
あの時は無我夢中で何も考えずにボタンを押したがあの100ゴールドはなんだったのかと思ったがすぐに答えがわかった。
「あ、ない……。」
「何が無いんだ?」
「宰相からここに飛ばされる時に貰った金貨100枚が無くなってる。」
ずっと袋に入れたまま手に持っていたのだがいつの間にか袋の中が空っぽになっていた。試しにステータス画面も確認してみる。
「ステータス」
_______________
【名前】柳颯汰
【職業】マスター
【レベル】2
【能力値】
HP20/20
MP20/20
SP2
筋力:2(+6)
攻撃力:2(+6)
防御力:2(+6)
敏捷:2(+6)
【スキル】ガチャ(1回につき100ゴールド)
【アイテム】金貨0枚
_______________
「あれっ、いろいろ新しくなってる。」
レベルがいつの間にか2に上がっており、それに伴って能力値も上がっている。また、スキルの説明も増えており思った通りアイテムの金貨が0枚になっていた。
「マスター、どうしたの?」
「なにか見えるのか?」
どうやら2人にはステータス画面が見えないらしく不思議な顔でこちらを見ている。そのため、2人に見えているものを説明し、能力値の横についた(+6)という表記についても相談してみた。
「んー、もしかしたらそれ、俺たちのレベル分がマスターの能力値にプラスされてるのかも……」
「あー、なるほど。さっきの戦闘で俺もレオンもレベルが3に上がったから二人で足して6ってことか。」
「そうそう、次に俺かカイのレベルが上がった時にもう1回確認してみるのはどうかな?」
レオンの推理に納得しひとまず疑問は解消された。残る問題は2つ。
「まずはどうやってこの森を抜け出すかということとこの世界の金貨1枚の価値が分からないけどどうやってまたガチャを回せるだけの金貨を稼ぐかってことが問題だ……。」
腕を組んで考えているとカイがおもむろに魔物の死骸に近づき、急に死体蹴りを始めた。
「か、カイ!?何してるの?」
「ん?ああ、金貨を稼ぐってなったらこの魔物の素材とか魔石が役に立つんじゃないかとおもってな。」
どうやら魔物を解体して素材や魔石を取り出していたらしく手を血で染めながらニカッと笑ってきた。
「あ、そっか、ありがとう……」
とてもありがたいのだが絵面が猟奇的でちょっと怖い……。
「マスター、森から抜け出す方法ならちょっと試してみたいことがあるんだけど……」
カイの解体の様子を遠巻きに見ているとレオンが恐る恐ると言った風に話しかけてきた。
裏話
実は颯汰の思った通り宰相は魔王の前に転移させようとしていたがそれに気づいたレオンが何とか妨害し魔王軍の領地であるあの森に座標をずらした。宰相が握らせた金貨は本当は餞別でもなんでもなく魔王への賄賂だった。




