19話:カツアゲ?
「はい、こちらの依頼完了を確認しました。おめでとうございます。これでEランク昇格になります。今後は依頼もEランクまでのものが受けられるようになります。次のDランク昇格にはEランクの討伐系の依頼を10つ以上達成することが条件になりますので頑張ってください。それとこちらが新たなEランク証になります。」
昨日はあの後まだ夜の戦闘は時期尚早だと判断してカイやレオンの邪魔にならない程度に近くで戦闘を観察させてもらっていた。
だが全然気配を探ることはできず、何度も魔物に襲われかけその度にカイやレオンに助けられるというのを繰り返した。暗闇に目が慣れてきてからはいくつか対処はできたがやはり昼間に比べると視野が狭く、死角などから来られると1人では対処しきれないことが多かった。
昨日は2人の足を引っ張ってしまい申し訳なかったが、その分2人が倒した魔物をどんどん解体して倉庫に収納していったので許して欲しい。
2人はレベルアップと共にどんどん強くなりもうこの辺りにいる魔物は瞬殺できるくらいになっていた。そのため昨夜もえぐい量の魔物を仕留め素材をたんまりと確保することができた。
そして朝は昨日と同様少しの薬草を残して全て採取し、薬草採取の依頼を達成したというわけだ。
受付の人から貰ったのは『E』の文字が印字された鉄製のランク証。Fの時とは少しデザインが変わっただけでほぼ一緒だ。
Fランク証を受付の人に返し、代わりにEランク証を首から下げる。
「あ、それなんですけどこの依頼書10枚を受けたいというか昨日もう倒してきたんですけど見てもらっていいですか?」
「え!?」
今日ランクアップすることがわかってたので受付に行く前に先にどんな依頼があるか見てきたのだ。するとちょうど昨日倒した魔物の依頼がわんさかあったためそれも一緒に持ってきた。
「わ、分かりました。そしたら一旦依頼受領確認の判を押させていただきますね。」
判を全てに押し終え、続いて依頼書に書かれている達成の証となるものを出す。
「は、はい、確認できました。これで10つとも依頼達成となります。そして同時にDランク昇格の条件も達成しましたので昇格手続きも再度行わせていただきます。」
スピード出世に受付の人も驚いているようだ。
(なんか、手間を取らせてすみません...。)
こうしてEランク冒険者という肩書きを1分で捨て、新たにDランク冒険者となった。
次のCランクに上がるにはCと書かれた依頼書を50達成しないといけないそうなので少し時間がかかりそうだ。
俺たちはDと印字された銅製のランク証と依頼達成報酬を受け取り、換金所にやってきた。
昨日の倍くらいある素材たちにまたもおっちゃんを驚かせながらも査定してもらった結果(量が量だけに結構時間がかかった)、今朝は薬草や依頼達成報酬と合わせてなんと43ゴールドも貰うことができた。
おっちゃんからは「お前たちが来てからいい意味で忙しさが桁違いだ。」と言われた。いい意味でと言ってるので迷惑にはなってないと思いたい。
この調子で行けば新しい仲間を迎えるのもすぐだろう。懐も暖まったので今朝は何を食べようかと3人で街をブラブラしていると、カイとレオンが急に警戒を強めた。
「なぁ。」
「うん、そうだね。」
「どうしたの、2人とも。」
2人を見ると顔は前を向いたま後ろを気にしているようだった。
「俺たちをつけてきてるヤツらがいんだよ。」
「冒険者ギルドからずっとね。多分俺たちが大金を貰ってるのを見てたんだろう。」
そう言われて後ろを確認すると確かにこちらをニヤニヤとしながらつけてきている3人組を発見した。
「どうしよっか、鬱陶しいね。ご飯はゆっくり食べたいし。」
「さっさと処理しちまおうぜ。お、ちょうどあそこに路地裏あるじゃねぇか。」
ずっと後をつけられるのは気分の良いものじゃない。2人を止める理由もないのでカイの示した路地に足を踏み入れる。
「おーおー。自分たちからこんな人気のないところに足を運んでくれるとはなぁ。」
「痛い目見たくなかったら有り金全部置いてけや。」
「さっきギルドでたんまり貰ってたところ見てたぜぇ?」
いかにもチンピラですといった風貌の男3人がいかにもなセリフを吐きながら詰め寄ってくる。
「生憎と君たちに渡すお金は1枚たりとも持ち合わせていないよ。君たちこそ見逃してあげるからさっさと失せな。」
それに対しあのいつもニコニコして穏やかなレオンが無表情かつ絶対零度の眼差しで3人組を見つめる。
「な、舐めた口聞いてんじゃねぇぞ!これが見えねぇのか!?俺たちはCランクだぜ?ランクが違ぇんだよ!」
レオンの迫力に少し気圧されながらもまだ諦めていないようだ。確かに首元にはCと書かれたランク証がかかっているがそれがどうしたというのか。
「ごちゃごちゃうるせぇな。こっちは腹減ってんだよ。御託はいいから早くかかってこいや。」
「なんだとぉ!もう後悔しても遅せぇからな!」
耳をほじりながら面倒くさそうに言うカイにチンピラ3人組が腹を立てた様子でとうとう腰にさしていた剣を引き抜いた。
「先に抜いたのはそっちだからね。何があっても文句は言えないよ。」
構えもせず平然と佇むレオンとカイにチンピラたちはプライドを傷つけられたのか一斉に襲いかかってきた。
「はぁ、仕方ない。」
「さっさと片して飯にすんぞ。」
「舐めてんじゃねぇぞぉぉぉ!」
微動だにせず相変わらず隙だらけの格好でチンピラ共を見据える2人に怒りを顕にした3人が剣で切りかかる。
Cランクというのは嘘では無いようで剣の扱いはそこそこといった感じだ。もう少しで2人に剣が届くといった時、チンピラのうち1人がニヤッと笑い剣先をこちらに向けてきた。
「バカが!くらえっ!」
チンピラがもつ剣先から風の刃がすごいスピードでこちらに飛んできている。どうやら飛ばしたやつは魔剣士という職業のようだ。
「マスター!!」




