14話:ワーウルフ
「ギィ!」
「またゴブリン〜。ゴブリンはもういいってば!お腹いっぱい!」
あれから右に歩けどゴブリン、左に歩けどゴブリン、前に進んでも後ろに進んでもゴブリンゴブリンゴブリン……。
「なんなのもう!繁殖期ですか!?団塊の世代!?セ〇クスも程々にしろよ!」
「マスター、下品だよ……。」
「ははっ!マスター、ご乱心かぁ?」
ウキウキワクワクの魔物狩りレベル上げ育成ライフの始まりだ!と意気揚々としていたのに会う魔物会う魔物全てゴブリンでそろそろ緑の顔にも見飽きてきた。
昨日学んだ。ゴブリンはお金にならないと。かろうじて売れるのは魔石と短剣だけ。その短剣も個体によっては棍棒だったり剣の状態が悪かったりで売り物にならない場合も多い。ゴブリン討伐の依頼をまだ受けれない俺たちにとっては旨みが無さすぎるのだ。
「せっかく戦えるようになったんだからほかの魔物とも戦ってみたい!ワーウルフとか獣型魔物はいないのか!?毛皮をよこせ〜!」
「ギィギィ!!」
駄々をこねるもやっぱり出てくるのはゴブリンばかり。まあでも経験値にはなるので1匹たりとも見逃す気はない。
「でもこの短時間でほんと上達したよな〜。」
「段々と無駄な動きが無くなってきてるもんね。それにレベルも上がって一刀両断できるようになってるし。……でも欲を言えば俺に守らせて欲しかった……。」
「ははっ!マスターも男だぜ?守られるばっかはやっぱ嫌なんだろ。それにこれはこれで一緒に戦えて俺はたのしーけどな!」
「それはそーだけどさー!」
颯汰がゴブリンに八つ当たり?をしている時に2人は後ろで色々と話しているが颯汰の耳には入っていない。最初はオロオロと目が離せないと言ったふうに心配を滲ませていた2人だが颯汰の上達ぶりに目を離して雑談するまでになっている。
「おっ!なあ2人とも聞いて!今のやつで俺もうレベル10になったんだけど!めっちゃサクサクレベル上がるんだけどすごくない!?ゴブリンって実はお金にならない代わりに経験値豊富とか?」
身体がだいぶ軽くなった気がしてステータスを開いてみるとレベル3だったステータスがいつの間にかレベル10に上がっていた。レオンやカイの経験値の1部も入ってきているとはいえ1日、しかもまだ半日くらいでこんなに上がるのは快挙ではないだろうか。
「え!?本当に?確かに速いね。俺たちもレベル上がってるけどマスターほど速くはないよ。」
「魔物を倒した数で言えばまだ圧倒的に俺たちの方が多いんだが……レベルアップのスピードは俺たちの倍くらいあるんじゃねーか?」
「そうなのかな?まあ初期ステータスがショボすぎたからこれでもまだクラスの奴らの足元にも及ばないと思うけどね。」
クラスメイトの話を出すとレオンもカイも一気に機嫌が悪くなったので早々に話を切り上げる。
「ということでさ、資金のためにもレベルアップのためにも、ここらじゃゴブリンしか出ないからもうちょっと森の奥まで行ってみない?」
ズモモモモという風にどす黒い殺気を醸し出していた2人だが、すぐに引っ込めて軽く渋りながらも了承してくれたので奥へ進むことにする。
「マスター、レベルが上がったとはいえ戦うの自体は今日が初めてなんだしあまり無茶はしないでね!」
「そうだぜ〜?純粋な経験値っていうのはバカにならないからなぁ。だから俺らのそばを離れすぎんなよ?」
「もー、分かってるって!心配症だなぁ〜。」
草木をかき分けてどんどん森の奥へと進む。道も険しくなり地面には大きな石などが埋まってでこぼこしており歩きにくい。
(確かにこういう所は経験が無い俺にとっては危険かも。気をつけてないと足を取られそうだ。)
足元に気をつけながら歩いているとカイから静止の声がかかった。
「来るぜ。」
前方からガサガサと音がしたかと思うとすぐにお目当ての魔物が飛び出してきた。
「ワーウルフだ!」
「俺がやる!」
ワーウルフの向かう先にはレオンがおり、鋭い爪と牙で飛びかかろうとするワーウルフを少し体を右にずらすことで躱すと同時にその剣で首と胴体をあっという間に泣き別れにしてしまった。
一瞬の出来事に首を切られたワーウルフも何が起きたのか分からなかったことだろう。
「すごっ、レオンこそ強くなるの早すぎない?」
「マスターのおかげで俺たちは元々は高ランクだったからね。レベルが初期化されただけで戦闘技術やこれまでの経験は記憶として体に残ってるからステータスさえ戻ればそんじょそこらの有象無象に負ける気はしないね。」
そんじょそこらの有象無象というのは誰に向けた言葉か分からなかったが殺意がこもってるのだけは分かった。黒い笑顔を浮かべるのはやめて欲しい。目が笑ってなくて怖い。
「違いねぇ!それよりまた来るぞ!気を引き締めろ!」
今度は一体だけでなく5体が前方から飛び出してきた。俺の方にも一体が襲いかかってきたので対応する。
「おわっ!」
目の前のワーウルフの攻撃に注視しすぎて、後ろに下がろうとした時に足元の石に躓いてしまった。
「マスター!」
(やべっ!このままだと爪が当たる!)




