表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/57

46 リサ

 同級生からの正行に対する評価とファミリーのメンバーからの評価は全く異なっていた。大学院に入ってから一年間の予定で正行はUS国のH大学に留学した。そこで遺伝子操作の研究をしていた一人の黒人女性と知り合った。リサというその女性は背の高い美人で頭も良く正行の好みだった。


 リサはいわゆる若返りの研究をしていたが、正行の特許に阻まれ進捗状況は思わしくはなかった。そんなリサに正行は興味を示し近づいた。初めのうちリサはN国から来た年下の皮膚科医がなぜ自分に近づいてきたかが全くわからなかったが、正行の遺伝子操作の知識と何よりもその異性としての魅力に惹かれ懇ろになるにはさほど時間はかからなかった。


 正行はH大学ではあくまでも研修生として振る舞った。ただ、一点だけ万年准教授であったクラウドと秘密保持契約を交わし、彼の研究が加速度的に進むように自らの技術と知識を詳らかにさせた。クラウドはその研究の成果で特任教授となった。もともと、クラウドと正行では目指すものが全く異なるため、クラウドのためにいくら知識を披露しても自らが不利益を被ることはなかった。クラウドは見返りにリサと正行が共同研究を行うことを承認した。


 リサは単純に好きな男性とペアを組み仕事ができることを喜んだ。こうしてリサと正行はさらに親密になっていった。H大学留学中に三度リサの家に招かれた。リサの家は典型的な弁護士一家で、医学部に進んだリサは家族の中では異端児であり、リサが国籍の違う留学生と交際することに大きな抵抗を示すことはなかった。


 初めに正行は見せてもらったリサの研究成果を修正していく作業を手伝った。アプローチの仕方は異なっていたが、リサは優秀で修正を必要とする部分は正行が実際に検体を使用してうまくいかなかった箇所ぐらいで、概ね完成の域に達してはいた。しかし、完成させるためには正行が特許を取得している塩基配列をどうしても使わなければならない部分が存在した。正行は躊躇いなくその部分の特許を使用する権利をリサに与え、リサの求めていたゲノムを完成に導いた。リサは初め強固に使用が制限されていた特許が最も簡単に使用できるようになったか不思議に思ったが、基本的には自分の研究が完成していくことを素直に喜んだ。


 同時に二人はこの特許部分を回避する方法を模索した。この点に関しては開発者の正行よりもリサの方が柔軟に対応することができ、正行が考えていたよりも早く正行の特許部分を使用しない新たなゲノムも完成した。正行はこの時使用した塩基配列を含め全てのゲノムに対してもリサに特許出願するように勧め、リサはそれにしたがった。このゲノムの作成に関する論文を発表することでリサは博士号を取得した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ