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1-26.冒険者のすすめ②

久々に週に二度更新という快挙!

前話の続きなので合わせて読んでいただけると嬉しいです。

「ところでヒロも一緒に行くか?」


「エド、ヒロは冒険者じゃないじゃん。流石に無責任すぎだよ!」


「そうは言うけどよ、戦闘の経験がないのにマギアゴブリンを一人で倒せたんだろ?ここの森の浅いところ位なら全然大丈夫だろ。な?」


満面の笑みを浮かべたエドにガっと肩を掴まれる。どうにも一緒に来てほしそうだ。


「何でそんなに……、間違いなく足手まといになると思いますけど。」


「えっと、それはほら、あのーあれだ!カシィさんの剣を使ってるところが見たい!じゃなくて、お前の今後のために……って、ん?ヒロ、お前この後どうするんだっけ?」


「正直、まだ悩んでます。でもいつまでもアストフ村でお世話になるわけにはいかないと思っているので、やっぱり王都にある大教会を目指そうと考えています。」


教会所属の聖女見習いであるレティの様子を伺う。


「ええ、いい判断だと思います。一昨日はリンカさん……いえ、リンカに言われてここに留まるのも悪くないと思っているご様子だったのでどうされるのかと思いましたが、大教会に向かってくださるということで私としても嬉しいです。」


そう、レティに指摘された通りアストフ村に留まるという選択肢と、とても悩んでいた。だが昨日村の人々と会話をした感じ、この村に居続けた場合、死なない「勇者」という名の便利屋として過ごす光景が浮かんでしまった。この村に迷惑をかけたくないというのも嘘ではないが、ここを出ようと思った一番の理由はこれだった。


それに大教会に行けば色々と力になってくれるという話がある。「転生」してしまったのであれば無理かもしれないが、もしこの世界に「転移」しただけであれば元の世界に戻る方法が見つかるかもしれない。加えて自分の本当の名前すら思い出せない穴だらけの記憶を少しでも取り戻したい。であれば現状大教会に向かう以外の選択肢が無かった。


「ふーん、王都に行くのかぁ。結構大変だね。」


「えっそんなに大変なんですか?」


「うん、ここからだと大分遠いしね。普通に歩いて行こうとしたら何カ月もかかるよ。街を結ぶ馬車とか使えばそれなりに早くなるけど、いくらあれば足りるんだろうって感じ。」


「ルカの言う通りだ。だから王都に行ったことがある人は案外少なかったりする。アストフ村に住んでいて王都に行ったことがあるのは村長位じゃないか?俺たちは護衛依頼や討伐依頼を受けて路銀を稼ぎながら行ったことはあるが、その時はこの村の隣のカセント町から半年以上かかったはずだ。」


ラジェットが言ったこの辺りから半年以上かかるというのが想像もつかない。この世界の技術水準の問題もあると思うが、シンプルにここから王都まで距離があるのだろう。中々大変な道のりになりそうだ。


「王都に行くまでの部分で教会からのサポートとかは……?」


期待を込めてレティに尋ねる。


「もちろんある程度はご協力させていただきますが、あまり当てにしない方が良いかもしれません。正直な話、特に勇者に対しては案内人ならともかく、護衛を付けるようなことは先ずありません。なにせ勇者は死なないので。それから金銭的なサポートも馬車に乗れるような金額はとても出せないかと……。」


レティの回答に落胆するも少し納得してしまう。確かに死なない人間に護衛を付けるなど命の無駄遣いと言われてもしょうがない。それにどうやら馬車代は高額らしいのでそれもしょうがないだろう。


「そうするとヒロは自分で金稼ぎながら王都に向かうってことだよな?ならやっぱり冒険者になるのがベストなんじゃないか?」


「冒険者って、やっぱり結構稼げるんですか?」


「おっ、興味が湧いてきたか?強い魔物の討伐依頼とかだと、そのクエスト一回で1年分の生活費位になったりするな。良いだろ?」


「エドが言っているのは事実だが、低ランクの冒険者ではそもそも危険度が高く報酬が良いクエストは受けられないからな。始めの内は日銭を稼ぐのがやっと位だ。」


魔物が色々存在する世界で危険と理解しつつも、やはりここがファンタジー世界である以上どうしても好奇心が湧いてしまう。想像通り冒険者やクエストにもランクがありそうだが、適度に鍛えて安全なレベルのクエストで路銀が稼げれば悪くないだろう。


「あっそうだ。ヒロ、冒険者になるつもりだったら渡したいもんがあるんだった。ちょっと待ってろ!」


2階の部屋からエドが一振りの剣と、金属製だろうか、鈍く銀色に輝く3つのペンダントを持ってくる。


「先ずこっちはカシィさんが使っていたっていう剣だな。俺が貰っちまいたいけど、村長からのお礼なんだろ?大事に使ってやってくれ。鞘は特に問題なさそうだったが、剣本体の方は最低限砥いて錆を落としただけだから、どこかのタイミングでちゃんと鍛冶師に見てもらってくれ。」


差し出された剣を受け取る。薬草採取をしに行った際にゴブリンと戦闘になり、その時に折られてしまった剣の代わりに洞窟で見つけ使わせてもらった剣だ。持ち帰ったところ村長の婿息子、リンカの父親であるカシィが冒険者時代に使っていた剣で、薬草採取のお礼として貰ったものだ。


「それからこっちのが、お前が剣と一緒に持って帰ってきた冒険者タグって言って、冒険者になると貰える身分証明になるペンダントだな。詳しい仕組は知らないんだが、取り敢えず死んじまった冒険者のタグを持っていくとギルドが報奨金をくれるんだよ。」


こちらは遠めに見た通り錆びているが金属製のペンダントだ。将来の路銀の足しになりそうだ。有り難く受け取る。


「よし、渡さないといけないもんはこんなもんだな。後はカセント町のギルドで冒険者登録すれば晴れて冒険者仲間だな、よろしくな!」


「え、えっと、まだ冒険者になると決めたわけでは―」


「よろしくな!!」


「よ、よろしくお願いします!」


エドと握手を交わす。


「エド、分かってると思うけど、ヒロは戦闘経験ないんだからね?」


「正式な冒険者登録する前に心を折るなよ。」


ルカとラジェットから不穏な発言が聞こえる。


「ああ、もちろん分かってるさ。取り敢えず明日は一緒に森に入るとして、今から剣の振り方を教えてやるよ!」


「えっ、今からですか!?ちょっとエドさん―」


握ったままだった右手を引っ張られ外に連れ出される。


「気を付けてね~」


視界の端でルカとラジェットが手を振っている。


「ふふっ」


気のせいだろうか?余裕がなく確信は持てないがレティの笑い声が聞こえた気がした。


気が付いたら2000PV突破、ありがとうございます!!

1月の頭に1000突破って言ってから半年なので、ちょっとずつペースが上がってきたか?

他と比較したら超ゆっくりだと思いますが、これからもマイペースに更新していくのでお付き合いいただけると嬉しいです。


さて、内容としては特に目新しいことは無いのですが、やっと章の終わりが見えてきました……。ノリで小説を書いてみようと思って始め、途中で別のことをやったりしつつで早1年半!?最初に書きたいと思ったシーンははるか遠いのですが、確実に近づいている……!先ずはしっかりと1章走り切ろうと思うので、引き続きよろしくお願いします!

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