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1-23.姉弟

「ジル姉ちゃんっ!!」


リンカからジルが目覚めたことを告げられたお昼寝中だったシンは、慌てて飛び起きるとダッシュで寝室に突撃しベッドにダイブをかました。


「ちょっとシン、こっちは今起きたばかりなんだけど……。」


注意しようとしたジルだったが、布団に顔をうずめたシンから嗚咽が聞こえてきて発した言葉は尻すぼみになっていった。しょうがなくシンの頭に優しく手を伸ばす。


「シンも本当にごめんね、怖い思いさせちゃったよね。」


ジルとシンの両親は共に他界している。母親はシンが産まれる時に、父親は4年前に丁度昨日までジルが苦しんでいたのと同じ様に毒に侵され亡くなっていた。きっと今回のジルの姿はそんな父の最期と重なっていたのだろう。


本当に生き延びられて良かったとジルは思う。父親に続いて姉まで毒で苦しみながら死んでいくようなトラウマを与えるのも、最後の家族として10歳と大きくなってきたとはいえまだまだ幼いシンを残して先に逝くことは姉として許容できなかった。そんなことを考えながら泣き止まないシンの頭を優しく撫でる。


「だ、大丈夫だったよ。絶対に助かるって思ってたから。」


泣きはらしながらも顔を上げ、本人としては毅然とした態度のつもりかもしれないが明らかに強がりと分かる様子でそんなことを言ってくれる。可愛らしいものだ。


そんな様子に若干嗜虐心を煽られ質問の形を取って問い詰めようとする。勿論保護者として諭さなければいけないという責任感が主だが。


「あっ、そう言えば。さっきリンカから聞いたんだけど」


まだ何の話か分かっていなそうだ。一拍置いて続ける。


「森に入ったって本当?」


「……、うん。」


特に嘘をついたりしないようだ。様子を見るに悪いことをしたという自覚はあるらしいが、正直に答えてくれる。


「危ないのは分かってたんだよね?どうして今の森なんかに?」


「キリユキ草が欲しかったんだ。でも村長が森に行っちゃダメだって言ってたし、誰も取りに行ってくれる人がいなくて……。だから自分で採りに行かないといけないと思って。」


「キリユキ草って何に使うかは知ってるんだよね?」


「何言ってるの姉ちゃん?知らなかったら採りに行く訳ないじゃん!」


気が付けば今度はジルの視界が滲んでいた。キリユキ草は毒消しポーションの原料だ。つまりシンはジルを救うために悪いことだと、危ないことだとしっかりと理解した上で森へ向かったのだ。


まだ幼く私が面倒を見ないといけないと思っていたが、気が付けばこんなに強く成長していた。思わずシンを抱きしめる。


「……、グスッ。私のためにありがとう。」


シンも強く抱きしめ返してくれた。しばらくそのまましていたが、ふと思い出したようにシンが声を上げる。


「あっ、でもキリユキ草は見つけられなかったんだ……。」


「どういうこと?私てっきりシンがキリユキ草を採って来てくれたから助かったのかと思ったんだけど。」


「実はキリユキ草を探しに一人で森に行ってた時にゴブリンに襲われちゃったんだ。そこを勇者様に助けてもらったんだ!それからそれから、キリユキ草も採って来てくれたんだよ!」


「勇者?」


「ああ、勇者のヒロのお陰だね。あんたら姉弟、二人そろってこいつに助けられたってことになるね。」


「初めまして、ヒロです。えっと、元気になられたようで良かったです。」


シンの話を整理しようとした矢先、開けっ放しだったドアから村長と村長に連れられた私たち姉弟の命の恩人らしい勇者が入ってきた。


まだ日曜日の25時なので1週間に一回投稿は余裕でセーフですね。

はい、ごめんなさい。作曲した曲をあれこれ投稿したりしていて遅くなり短くなりました……。


ちなみに曲はこちらの「偽幸郷ぎこうきょう」です。

よろしければ是非こちらも感想頂けると、とっても嬉しいです。

https://youtu.be/WMhuf0ECLYc?si=kiztQAqexyHBGQDV


来週分からはもうちょっと長くなるはずです。

それから一章完結までは少なくとも一週間に一話は公開する気持ちではいますので、引継ぎよろしくお願いします!

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