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1-22.親友

「おはようございます。」


「おや、ヒロかい?遅かったね。」


朝、いや、もしかしたらもう昼近い位の時間になってようやく目が覚め宿の1階に下りれば村長が何やら料理をしている所だった。


「ちょっと前にジルの目が覚めたと聞いてね。今から私も様子を見に行こうかと思ったところだ。」


手を動かしながら教えてくれる。手元を覗けばどうやらお粥のような料理を作っているようだ。とてもいい香りが漂ってくる。


「これはジルに持ってく分だからお前さんの分はないよ。代わりにリンカが朝ご飯用にサンドウィッチを作ったのがあっちの机に置いてあるから食ってきな。」


「ありがとうございます。ところで皆さんは?」


「お前さんが起きてくるのが遅かったからね。みんなもう出かけちまってるよ。」


やはりもう朝と言うには遅い時間らしい。商人のジョンは宿の自室で書類仕事をしているらしいが、それ以外の冒険者3人組とレティは予定通り朝から森の調査に出かけたそうだ。それからリンカは一度朝食を準備しに戻ってきたようだが、明け方からジルの所へ行っていたそうだ。そして少し前にジルが目覚めたことを伝えに一瞬帰ってきていたらしい。


「ジルのお見舞い、一緒に行くかい?きっとシンも喜ぶだろう。」


「分かりました、一緒に行かせてください。直ぐに準備するので。」


◆◆


ヒロさんがキリユキ草を取って来てくれて、先生がそれをポーションに加工してくれて、レティはずっと回復魔法を掛け続けてくれて。その間私にはいったい何ができたのだろうか。自分の無力さに腹が立つ。


そもそもこんなことを思う資格すら私には無いのかもしれない。だって私は一度ジルから逃げてしまったから。親友であり、家族同然に育ってきたジルのことを諦めてしまったから。


「リンカ……?」


ベッドから聞こえてきた小さな声に慌てて立ち上がる。


「ジル!!」


そちらを見れば何とか起き上がろうとしている親友の姿があった。弱々しい姿だが間違いなく生きている。


「良かった、本当に良かった。もう会えないかと思った……。」


「もう……リンカったら。……泣きたいのは私の方でしょ。」


「だって、だってぇ。」


全くもってジルの言う通り苦しかったのはジルの方なのに、何故か涙が止まらない。


「ごめんね、心配かけちゃって。でももう大丈夫だから。」


少しずつ声にはりが出てきた気がする。嬉しくて堪らないのに、かえって涙腺が緩んでしまう。私の中では正直もうお別れの覚悟をしていた。もう二度と会えないと思っていた。だからだろうか。つい口が動いてしまう。


「私、ずっとジルに謝りたくって……。」


「謝る?ずっと寝ていた私に?」


「うん。」


最初はちょっとした風邪か何かかと思っていたが、日に日に熱が上がっていき、ついには寝たきりになり、1日中ずっと苦しんでいた親友の姿が思い起こされる。


始めの内は私が必ず最後まで看病すると思っていたのに、結局逃げてしまった。いつも明るく元気な親友が苦しみながら一歩ずつ死に近づいていく様を見続けるには覚悟が足りな過ぎた。


「絶対私が助けるんだって思ってたの。と言っても私にできることなんてたかが知れてるんだけどね。でもそれすらもできなくて。どんどん喋らなくなって、ずっと苦しそうなジルを見ていたら怖くなっちゃって。それで……。」


「それだけ?」


「えっ?」


「もう!心配して損した気分。だってそれって普通の事じゃない?私だってお母さんの時―はあんまり覚えてないけど、お父さんのときはぎりぎり最期まで部屋にいた位だったよ。顔なんてまともに見れなくて……。」


「…………。」


「ね、だからそんなに気にしないで。今の聞いてもちろん寂しいとは思ったけど、何だったらちょっと嬉しいかも。だってリンカ、酷い怪我の冒険者さんが来た時とかでも、結構淡々と手当するでしょ?でも私にはできなかったってことは、私が特別ってことじゃない?やっぱり親友だもんね!」


本当になんて素晴らしい親友なのだろう。病み上がりの所に自己満足のためと思われても可笑しくない一方的な謝罪をしてしまったにも拘らず、許すどころか励ましてくれる。


「ところでシンは?そこら辺にいるの?心配かけちゃっただろうから謝らないと。」


湿った空気を嫌ってか、本当にもうどうでもいいのかジルが弟の話を振ってくる。


「シン君はリビングで寝てるはず。ここ数日すごい頑張ってたから疲れてるんだと思う。でもジルが起きたって言ったら直ぐ来るよ。声かけてくるね。」


「うん、ありがとう。そっか、シンも色々としてくれたんだね。」


「そうなの!キリユキ草を森に……。な、なんでも無いでーす。」


「へぇー、シンが。ちょっと色々聞かないといけなそうな気がするね。」


ごめん、シン君と思いつつリビングへ向かった。


ごめんなさい、先週分です。

それも短め……。


ちょっとDTM側で色々やってて。

今週分はちゃんともう一本上げます&自作曲の投稿も今週どっかですると思うので、よろしければそちらも是非!

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