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ロリポップ

薩摩芋は種芋になりそうなのを1蔓につき1つ残す。

余計な蔓は切り取り、種芋に近い蔓を残すようにすれば来年また収穫出来るだろう。


芋掘りと言えば秋の風物詩として私は覚えている。

息子が幼い頃はご近所さんの畑で掘らせて貰っていたし、孫の時は保育園行事としてあった。

共働きの両親に代わり私が孫と一緒に参加していたのだ。

夫も1度参加した事があるのだが、掘り方が下手で芋を真っ二つに割ってしまうのでそれ以降は留守番すると拗ねてしまった。


そんな事を懐かしみながら掘っていると目の前にロリポップの鼻がブフンと現れた。

どうしたのかと思えばエルフが渡してくれた紙袋を咥えている。

昼食を食べろという事だろうか。

そう言われてみれば、いや実際に言われた訳ではないが・・・

確かに腹が減っている。また食べ忘れるところだった。


木陰に腰を下ろし袋の中を確認すれば、シュニッツェルのサンドウィッチが入っていた。

やはり量が多いので何食かに別けて食べる事になるだろう。

飲み物としてザクロジュースも入っている。

自分で買ったヤツはまた今度だな・・・


食べ終わり少し休憩した後に再び掘り始める。

掘り起こし種芋を選びそれ以外を収穫し、種芋の蔓を整えて埋め戻す。

この作業を繰り返す。


どのくらい作業をしていただろうか。

再びロリポップの鼻がブフンと現れ、後ろを見ろと言う様なそぶりを見せる。

振り返ってみれば「おぉぅ・・・」と声が漏れてしまった。

思ったよりも掘り進んでいたようだ。

これ以上は堀る必要が無いだろうと手を止めて箱詰め作業に取り掛かる。

コグマを選別し「洗浄(クリーン)」で綺麗にした後箱に詰めていくと5箱にもなった。

次に薩摩芋を大中小のサイズに別けて泥付きのまま用意してきた袋に詰めていく。

袋は3つ。自分用、おかみ用、教会用だ。

1袋の大きさは米屋でよく見る30㎏の袋と同じサイズだ。

かなりの量の薩摩芋が入るだろうと思ったのだが入りきらずに余ってしまっている。

どれだけ堀ったのか、私よ・・・

残すのももったいないが目分量で5~10㎏といったところだろうか。

どうしたものかと思ったが袋に入りきらなかった薩摩芋は「洗浄」で綺麗にしてから収納袋へ直入れした。

泥付きの方が日持ちするんだがな・・・


すべての作業が終わり帰路につく。

明日は薩摩芋を陰干ししておこうと思う。

何処かで藁かす(・)く(・)も(・)が手に入らないだろうか。

軽く泥を落として藁かす(・)く(・)も(・)に埋めておくと甘みが増し泥付きよりも更に日持ちもするのだ。

ん?・・・

収納鞄に時間停止が付いているのだから保存方法は気にしなくてよいのでは?・・・

うん、旅に出るまでは部屋の中で陰干ししておこう。

気付いてよかった、危うく荷物が増えるところだったではないか。


街に戻り馬を返し、まずは教会へと向かった。

教会の入り口で修道士に出会ったので薩摩芋を渡し子供達と食べてくれと伝える。

その際保存方法も忘れずに伝えるととても喜ばれた。


次に旅人ギルドに立ち寄り依頼完了の手続きをして預かっていた収納袋を渡す。

職員は鞄の中を確認して顔が引きつっている。何故に?


「こちらが報酬金の大銀貨1枚になります。

 追加の報酬金は明日受け取りに来ていただけますでしょうか」

「はい、解りましたじゃよ」


旅人ギルドを出て宿に向かう。

サッパリとしたサラダが食べたくなり夕飯用に途中で購入した。


宿に戻りおかみに紫芋を土産として渡す。

おかみの好物らしくとてもいい笑顔で喜ばれたので私まで嬉しくなってしまう。


部屋に戻り夕食を食べた。

ハンバーガーとサラダにするつもりだったがサラダだけで満腹になってしまう。

何故こんなにも量が多いのだろうか・・・


今日も体を動かしたのでグッスリと眠る事が出来そうだ。



夜明け前、激しい風の音で目を覚ます。

なんだろうか、この風は。まるで台風のようではないか。

ガタガタと揺れる窓の音ですっかりと目が覚めてしまった。

窓の外を眺めると雨は降っておらず強風だけの様だ。


着替えて身支度を整え1階へと降りてみれば、同じように目を覚ました人達が集まっていた。

その中にはバール達ブラックベアのメンバーも居た。


「じぃさんも目が覚めちまったか」

「おはようございますじゃよ。凄い風ですのぅ」

「ああ、秋の嵐到来ってとこだな。

 この嵐が過ぎて1週間もすればすぐに冬になって雪が降り始める。

 移動するなら予定を早めた方がいいだろうな」

「秋の嵐ですか。冬前に移動しておきたいですし、日程を早めますかのぅ。

 この嵐は何時頃(いつごろ)止みますじゃろかの」

「午後には止むと思うぞ」

「では午後から準備して明日には出るとしますかのぅ」


そうか、今の時期は秋だったか。

そうだよな、薩摩芋の収穫時期なのだから秋だよな。

気付けよ私、とは思うが異世界だから季節感など違うかもしれないではないか。

自分に言い訳をしてみる。


そうと決まればおかみに予定を繰り上げる事を伝えなければならない。

この時間は朝食の準備で忙しいだろうと思い、朝食後に伝える事にした。


まだ時間も早いので部屋へと戻る。

荷物を纏めておこうかと思ったのだが先日仕分けなどを兼ねて纏めたばかりでやる必要がない。

私は地図を眺めて次の目的地を何処にするか決める事にした。


この国は赤道よりも南に位置する。

したがって国の北へ行けば多少は温かく、南へ行けば寒さが厳しくなる。

これまでの感覚と真逆になるので少し変な感じがする。

この国の冬がどのくらいの寒さになるのか分からないので北を目指そうと思う。


主都ラビアを出て北上すれば少し小さめの町があり、さらに北上すれば大きな村がある。

雪で足止めをくらい、冬を越す長期滞在になるのであればある程度規模の大きな町か村の方がいいだろう。

朝食を食べる時にでも誰かにお勧めの場所がないか聞いてみるとしよう。

1週間弱か、どのくらい移動出来るものなのだろう。

転移門と言う手もあるだろうが、なるべくなら移動中の景色を楽しみたい。

馬という手もあるな。

そう言えばアズールがこの世界には騎乗ペットも存在すると言っていた。

何処で手に入るのだろうか。

これも朝食の時に聞いてみようと思う。


気が付けば窓の外は明るく日が差しており、フラミンゴの声も聞こえてくる。

地図を畳み食堂へ降りる事にしよう。



すっかりと顔馴染になった冒険者達が食堂に集まっていた。

越冬するのにお勧めの場所はないか尋ねると北方面の出身者達がワイワイと教えてくれる。

何処何処までは馬で何日かかるとか、何処其処だと宿屋の飯が旨いだとか、この道は野盗に注意だとか。

それらの情報を地図に書き込んでいけばおおよその目的地が決まった。

馬や騎乗ペットを扱う店も教えて貰った。

旅をする上で情報は大事だ。

こうやってあれこれと教えてくれる人が居るのは非常に有り難い。


朝食を終えた後は雨上がりまで部屋で荷物の最終確認をした。

何か買い足した方が良い物はないか、忘れている物はないか。

あ、食料を忘れない様にしなければ・・・

調理済みの物と食材とを数日分用意すればいいだろう。

調味料類も忘れずに買わなければならない。

味付け無しの素焼き肉を食べるのは極力避けたいと思う。

読んで下さりありがとうございます。

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