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コグマの依頼

足を運んで下さりありがとうございます。

旅人ギルドの中へ入るといつもの職員さんが対応してくれた。


「おはようございます。お待ちしておりました」

「おはようございます。何かありましたかのぅ?」

「追加報酬が発生いたしまして報酬金をお預かりしております」

「追加報酬ですかの?はて・・・」

「ツノウサギのツノも薬草も高品質以上の物だったそうです。

 依頼主が非常に喜んでおられまして品質分の追加報酬を支払いたいそうです」

「はぁ、左様ですか」

「其々から大銀貨1枚をお預かりしておりますのでお受け取り下さい」

「ありがとうございます?」


なるほど、毛皮や肉と同様にこちらも品質が高かったか。

というかだ。他の依頼を受けた人たちはどれだけ雑な扱いをしているのやら・・・

そこら辺を指導した方がいいのではないかと思うが所詮他人事なので黙っておく。


「それでですね、指名依頼が入っておりますがお受けになりますか?」


指名・・・面倒臭い気がするのは気のせいだろうか。


「内容は何ですじゃろうか」

「あちらで待機されている方が依頼主です。

 依頼内容はコグマの採取ですが依頼主も同行するのが条件となっております」

「あ、お断りしますじゃ」

「「 ・・・ 」」


「理由をお聞かせ願えるだろうか」


離れた場所で待機していた依頼主が訊ねてくる。

とがった長耳をしている。エルフか。


「狩りや採取の姿を見せたくありませんのじゃ。

 儂は見世物でも珍獣でもありませんのでのぅ」

「いや、そういったつもりではないのだが。

 気を悪くされたのであればすまない」

「もしかしてですが、昨日の件をお聞きになられたのですかの?」

「ああ。あちらこちらで噂になっている。

 確かにどう狩りや採取をするのかに興味はある。

 だがコグマの採取を2人でやりたいと思うのも事実だ」

「何故にですかのぅ?」

「これから冬になると多種多様な風邪にかかる者が増える。

 コグマが大量に必要となるのだ」

「それでしたら儂ではなく複数のノービス冒険者に依頼を出す方が良いのでは?」

「昨年はそうした。

 だが半数以上のコグマが薬用としては使えない状態でな・・・」

「それはご愁傷様でしたのぅ・・・」


数を集めても半数が使い物にならないのでは意味がない。

だから確実に良い物を採取出来る私に頼みたい気持ちも分るが一緒にと言うのは困る。


「因みにコグマと言うのはどのような物でしょうかの?」

「紫芋に似ているのだが実の形状が子熊の顔に見えるのだ」


残念ながら私の頭に浮かんだのは熊の顔を模したシュークリームであった。

うん、可愛いし美味しそうだ。

いや、そうではなくて今はコグマの話だ。

頭の中からシュークリームを追い出す。


「儂1人で採取するので良ければ引き受けますが同行ですとお断りしますじゃ」

「やはり無理か。仕方がない、同行は諦めよう。

 採取の依頼を頼めるだろうか。報酬金は量に関わらず大銀貨1枚。

 そこの箱に2箱以上であれば追加報酬金を出す」

「分かりましたじゃよ」

「箱はこの収納鞄に入っているので鞄事持って行ってくれ」

「お預かりしますじゃ」


その後職員から詳しい説明を聞く。

北門から出て馬で30分、徒歩であれば50分の場所に小さな森がある。

その森の中にコグマがあるらしい。

ただそのコグマと言うのは紫芋の変種で紫芋に交じって生っているそうで

1蔓で1~6個とムラがあるそうだ。

つまり芋掘りな訳で採取というよりかは収穫だ。

芋掘り用の鎌が欲しいと思ったがこの世界にあるのかは謎だ。

紫芋も収穫してくれば商人ギルドで買い取ってくれると言うが、昨日の今日ではご遠慮したい。

普通に食用だと言うので自分用とおかみへの土産でもいいかもしれない。

ああ、教会にも少し差し入れしよう。

森の中なのでモンスターと遭遇する可能性もあるから気を付ける様にと言われた。

遭遇はしたくないが遠目から姿を見てみたい気もする。


説明を聞き終えギルドを後にする。

まずは昼食を購入し、その後金物屋で芋掘り鎌か草抜き鎌が無いか見てみようと思う。


昼食はラム肉のハンバーガーを購入した。

スパイスが鼻をくすぐる良い匂いに誘われた結果だ。

少し大きめのサイズだったので1つで十分だろう。

飲み物はザクロジュースを購入した。瓶に入っているので空き瓶は後日店に返却する事になる。


金物屋では草取り鎌を見つける事が出来た。

ついでに鉈も購入しておく。

森の中に入るのであれば邪魔な枝を切ったり蔦を切るのに必要だからだ。

それに鉈であれば獣に遭遇しても対応可能だ。

一応はナイフも腰に刺してあるが、遭遇しないのが一番である。


旅人ギルドの職員に貸し馬があると聞いたので、教えて貰った場所に行ってみる。

デカッ! 馬はデカかった。そして逞しかった。

借り賃は半日で小銀貨1枚。

私は何故か懐かれ、頬擦りしてくる青毛の馬を借りる事になった。


「相当気にいられたようだな、悪いがコイツにしてやってくんねぇか」


逆指名されたのだ・・・


馬具を装備して貰い馬に乗って出発する。

馬の名前は「ロリポップ」

誰だ、見た目に反する可愛らしい名前付けたのは・・・雄だよこの馬。


行き先を告げれば任せろと言わんばかりにフンスと鼻を鳴らす。

門が見えなくなるまではパカポコと大人しかった。

見えなくなったとたんに走り出した。

走るといっても無茶な走りをして振り落とされるような事はないが、尻が痛くなるので止めて頂きたい。


パカランパカラン パカパカラン


もう1つ馬の蹄の音が聞こえる。

隣街に向かう街道はこの道とは別の道で私達は街道を離れて小道に入ったのだ。

私意外にも森へ向かう人がいるのだろうか。

物取りとか変な人だと嫌だなと思ったのだが、見えた姿は依頼主であるエルフだ。

なにやら必死の形相である。急用でもあるのだろうかと立ち止まる。

ロリポップは不服そうだが仕方が無い。


「やっと追いついた。これを渡そうと思って・・・」


肩で息をしながら何かの袋を渡してくる。

何だろう・・・


「昼食だ。森へ行って貰うのに昼食を用意しないとは何事かと ハァハァ

 家内にしかられたのだ。考えてみればそうだなと思い届けに来た」


それは、まぁ、なんというか、ご苦労なこってす・・・

とは言えないので普通の礼を言っておく。


「そうでしたか、ご足労をお掛けしましたのぅ。

 奥方様にもお気遣い感謝しますとお伝えくださいまし」

「わかった。引き止めてすまなかった。気を付けて行って来てくれ」

「ありがとうございますじゃ」


エルフが立ち去るのを見送ってから私もロリポップの歩を進める。

気遣いはありがたいがすでに昼食を購入した後である。

どうせなら依頼を受けた時に欲しかったが仕方があるまい。


ロリポップのお陰で昼前には森へと到着する事が出来た。

森は私が思っているのとは違う風貌をしていた。

まばらに低木が固まって生えており、所々に背の高い気が生えている。

あれは樫の木だろうか。

なんというか頭髪が寂しい結果になっている男性の頭部を思い出させるような森だった。

そして木々の間に地を覆いつくすように這っている蔓が紫芋の蔓だ。

薩摩芋の蔓によく似ている。


うん、薩摩芋だった。

どこからどう見ても、色形からしても薩摩芋だ。

1蔓に10前後付いている芋の内コグマらしき物が5。

このコグマも思っていたよりも大きくて赤子のこぶし大ある。

薬剤というからムカゴのような小ぶりの物を想像していた。


そして薩摩芋を見て思い出した事がある。

コグマとは韓国語で薩摩芋の事だ。

一時期流行ったらしく、息子の嫁がコグマラテと言うのを買ってきてくれた事があったので覚えている。

パッケージにリ〇ックマの柄が描かれていたので、だからコグマと言う名前のカフェラテだと思っていたのは内緒である・・・

実際は飲むスイートポテトの様な味だった。

~ オマケ ~


嫁「お義母さん、これ今流行ってるコグマラテ。

  一緒にドラマ見ながら飲もうと思って買って来たの」

私「おやまぁ、ありがとうね。

  可愛らしいパッケージねぇ。子熊がトレードマークのお店なの?」

嫁「違うわよお義母さん。

  コグマっていうのは韓国語で薩摩芋の事よ。薩摩芋のラテなんですって」

私「あらまぁ、そうだったのね。やだわ、恥ずかしい」

嫁「大丈夫、私も同じこと言ったから」(笑)

私「あらあら。そうなのね」(笑)


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