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チュートルアルが始まった②

足を運んで下さりありがとうございます。

本日は、11:00・17:00・21:00と3話更新いたします。

この話は本日の1/3となります。

扉の先に在ったのは真っ白な砂浜が広がる海岸だった。

後ろを振り向けば潜(くぐ)って来た扉は消えており、ジャングルのような森が目に入った。

その森の奥には山が見える。

私はまず山へ登ってみる事にした。

山頂から見渡せば地形が分かるだろうし、緑生い茂る山なのだから何処かに川が流れていそうだと思った。

さほど高い山ではない、映画などでよく見る遭難先の小さな小島で見る様な山だ。

という事は、島なのだろうか。

少し不安に思ったが3日限定なのだからと思い直した。

3日乗り切ればいいだけなのだ。

手持ちの水は竹水筒3本分。まずは水場を確保したい。


森を進みながらまず思ったのは、服装がいつもの部屋着である作務衣で良かったと思った事だ。

夏場であれば薄手のTシャツに短パンと森には不向きな格好だっただろう。

靴は5本指ソックスに何故か藁草履だった。

持っていないのに何故藁草履なのか。裸足よりはマシだけど。

拾った木の枝で草を払いながら進み、山の麓に辿り着いた。

途中何か食べれる木の実でもあればと思ったが残念ながら見つける事は出来なかった。

代わりに山ブドウの蔓を見つけたのでそれで喉を潤す事が出来たのはよかったと思う。

切れ味の良いナイフがあって助かった。


座れそうな倒木を見つけたので少し腰を下ろして休憩した。

草履で山登りは出来るのだろうか。いや出来るはずだ。

江戸時代など昔の人は草履や下駄で生活していたのだ、きっと私にも出来るはず。


そう思っていた15分前の私、思い直せ。

平地は気にならなかったが、山道となれば藁草履が脱げそうになって歩きにくい。

つま先に力を入れて1歩づつ踏みしめる様に歩くので脛や脹脛に変な力が入る。

こんな事ならば山に登って地形を確認しようなどと思わなければよかった。

明日は筋肉痛が酷そうだが途中まで登ったのだから頂上まで頑張ろうと思う。


なんとか山頂に辿り着いた頃には、空は夕焼けに染まっていた。

だが太陽は何処にも見当たらなかったのは何故だろう。

山頂からは周囲が一望出来た。

やはり島だったが思っていた様な海の小島ではなく、湖にある小島だった。

しかも先程のスタート地点だった浜辺以外はほぼ森で、山はこの山だけだ。


(なるほど、海岸ではなく湖岸だったか。分かりにくい・・・)


あれが湖ならば淡水である。

つまりこんな苦労をせずとも水は確保出来た訳だ。

指先を浸けて舐めてみて海水か淡水か確認でもすればよかったと後悔する。


このまま下山しても途中で日が暮れるだろうと思いこのまま山頂で休む事にした。

そうはいっても火を起こす事も出来ないし食べる物も無い。

困った、どうしたものかと思ったのだがよくよく見ればこのナイフ、サバイバルナイフの様にファイヤースターターが付いているではないか。

あの人魂、女神の配慮だろうか。

ありがたく使わせてもらう事にし枯れ葉や枯草、枯れ枝などを集める。

幸いにして辺りにはよく乾いた枯れ木が落ちていた。

適度に彼場や枯れ枝を盛り、ナイフの柄からロッドを取り外してナイフの背でロッドを擦る。

すぐに火花が飛び散り枯れ葉が燃え上がった。

これで1晩は安心だろう。

食料も栗のイガを2つ見つける事が出来、お腹一杯にはならないだろうが多少腹は満たされる。

イガを割り中を取り出せば、6粒の栗が出に入ったので焚火の端で焼き栗にして食べた。

水は竹水筒の1本を四分の一だけ飲んだ。


横になれば熟睡してしまいそうなのでそのまま焚火の近くの木に背をもたれて仮眠を取った。

疲れは残ってしまうかもしれないがこの状態ならば物音がしてもすぐに起きる事が出来るし、火が消えない様に薪をくべる事も出来る。

うつらうつらとしては目を開け薪を投げ入れる。

それを繰り返していると空は白み始めた。

2日目の始まりだ。


火が消えるのを待ち、土を掛けて完全に消火する。

歩き始める前に一口水を飲んだ。

下山して砂浜を目指す事にし、途中森で何か食べられる物を見つけたいと思う。


下りは下りで歩きにくかった。

どうしても重心が前に行ってしまう為藁草履の鼻緒が指の間に食い込んでしまい痛いのだ。

いっそ脱いでしまおうかとも思ったが、小石が転がっているので止めておいた。

その代わりにスキーで坂を登る時の様に横向きで歩けばよいのではないかと思い試してみれば、筋肉痛も相まって動きはギコチないが鼻緒の食い込みは軽減された。

なんとか下りきってほっとする。

途中で蓬を見つける事が出来たのは幸いだ。

今夜寝る前にすり潰して靴擦れならぬ草履擦れの場所に塗っておこうと思う。


そう言えば、若者たちはモンスターが出るかもしれないと言っていたがこれまで遭遇してはいない。

昨夜も一応警戒はしていたがモンスターも野生動物も出くわす事は無かった。

初心者ゾーンだから居ないのか、それとも初日だから居なかったのか。

もしくは偶々出くわさなかっただけなのだろうか。


ははは・・・

そんな事を考えていたからだろうか。

森に入れば出くわすようになった。

とは言えプヨプヨした緑の丸いスライムやツノウサギ、ラージマウスのような所謂初心者向けのモンスターばかりだが。

ゲームと違うのは倒した後に自分で解体しなければ素材や魔石が手に入らないという事だろうか。

私はなるべくツノウサギやラージマウスを狩るようにした。

スライムは掃除屋と呼ばれているゲームもあったからだ。

解体して肉は食用として有難く頂く。

骨や皮、爪や牙、歯などは装備やアミュレット、薬などの素材になる事が多いので回収しておく。

食べない部分の肉や筋、内臓などをスライムに掃除してもらおうという訳だ。

実際にこちらが不注意で踏んでしまわなければスライムから襲ってくる事はなかった。

そう、踏まなければだ。

最初の数匹は不注意にも踏んでしまったので襲われた。

うん、私が悪かった・・・



砂浜に辿り着いた時、残り2日は十分に持つであろう量の肉を手に入れていた。

人によってはラージマウスの肉はネズミだからと嫌がるだろうが私は気にしない。

とあるゲームの中ではバフが付く料理という物があり、その中にはラージマウスが材料だったものもあった。

食べるとキャラクターが旨そうな表情になっていたので好奇心がそそられたというのもある。

調味料や鍋など無いので素焼きにするしかないのだが。

それでも本日の1食目だ。

火を起こして有難く頂く事にする。


味は鳥の胸肉といった感じだろうか。

淡泊だが鳥の胸よりは脂がのっていたので味を付ければそれなりに旨いのではなかろうか。

だが肉その物の味しかしないので最後の3口は水で流し込んでしまった。

夜はツノウサギを焼いてみようと思う。


一旦火を消し再び森へと分け入る。

砂浜からあまり離れない場所で果物か何か肉以外を探そうと思ったのだ。

昨日は山に登る事を優先していた為じっくりとは探していなかった。

何か見つかるとよいのだが。


しばらく探すとコクワの実を見つける事が出来た。

別名サルナシ、ベビーキウイと言う名で売られている事もあるそうだ。

見た目は小さくしたキウイのようだが、あのゴワゴワした毛は生えていない。

甘酸っぱくてビタミンCが豊富なので疲労回復にもよさそうだ。

片手に乗る量を採り日が暮れる前に砂浜へと戻った。



ブックマークや評価、リアクションを入れて下さった方、ありがとうございます。

とても励みになり、活力となっております。

引き続きお付き合いの程宜しくお願いします。

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