チュートルアルが始まった①
新作を始めました。
恋愛要素は相変わらずありません(;´Д`)
MMO大好きおばぁちゃんの主人公が異世界転生したのでのんびりと旅をするお話です。
始まりから少しの間は説明っぽいものが入りますが、基本はのんびりな話です(たぶん)。
風の向くまま気の向くまま、おばぁちゃんの旅を楽しんでいただければ幸いです。
「皆さんはゲームプレイ中にお亡くなりになりました。お悔やみ申し上げます。
そこで皆さんには我々の世界に転生して頂く事となりました。
つきましてはまずチュートリアルを受けて頂きます」
真っ白な空間で目の前の人魂、自称女神がそう告げた。
ゲームプレイ中にお亡くなり・・・
そこで皆さんには転生・・・
つきましてはまずチュートリアル・・・
何故お亡くなりに? 死因は何なのだろう。
そこでってどういった経緯で?
まずチュートリアルという事は次があるのだろうか。
そもそも私はすでにゲームを引退していたはずだ。
いや待てよ、仲が良かった元ギルメンが結婚式やるからと言うので参加する為に一時的にログインしたんだった。
久々にログインしたタイミングで死亡とは運が悪過ぎやしないだろうか。
考え込んでしまっていると周囲の若者達から声があがった。
「ログアウトでリアルに戻れないのか?」
「死んだって事?原因は?」
「異世界転生って事はチートがあるんだな」
「まずい、部屋に隠してあるエロ本が!」
「俺もデータにエロ動画が!」
「お静かに。今はまだ皆さんの疑問にはお答えできません。
ですが1つお答えするならば、
人に見られて恥ずかしい物は消去してありますのでご安心下さい。
ではチュートリアルでのルールをお伝えします」
ルールは1つ、他人の物を奪わない事。
そして初期装備として渡されたとはナイフ1本と竹水筒3本が入った小さな肩掛け鞄。
ナイフ1本とは心許ない気もするが、確かにNewキャラクターを作成した時にはナイフ1本だったり木の棒だったりしたゲームもあった。
棒切れよりはマシだろう。
「期間は3日。個人で過ごすもチームを組んで過ごすも自由ですが
くれぐれもルールを厳守してください。
では、開始します」
「え?ちょ。もっと詳しく説明を」
「チュートリアルって何すればいいのよ」
「えー、やだぁ。ベッドもお風呂もどぉすんのぉ」
人魂が消え若者達が騒ぎ始める。
説明が何もなくて、チュートリアルだと気が付かないままチュートリアルが終わったゲームもあった。
騒いだところで説明が追加される訳でもないだろう。
「取り合えずチーム組んだ方がいいんじゃないかな」
「そうだよな。モンスターとか居るかもしれない」
「ナイフを渡されたって事は戦闘もありそうよね」
「でもジョブも決まってないし」
「チュートリアルが終わってからジョブの選択って事か」
ゲームによってはチュートリアルが終わらないとジョブ選択が出来なかったり、一定LVに到達するまではノービスだったりもした。
この場合もそういう事なのだろう。
それにしても皆若いな。
息子よりも更に若い気がする。
若い頃からゲームが好きだった。
子供時代は親が厳しくてゲームなんて買って貰えなかった。
高校を卒業し社会人になってから、自分でゲーム機を購入してどっぷりとゲームにのめり込んだ。
20歳で結婚し子供が生まれてからも夫婦で育児の間にゲームを楽しんだ。
やがて生まれた息子も独り立ちし、一般家庭にもパソコンが出回り始めた頃に息子がパソコンを買ってくれた。
「母さん、パソコンで遊べるゲームがあるんだ。
オンラインゲームって言うんだけど
離れた場所に住んで居る人とも一緒に遊べるんだ。
結構おもしろいから母さんも一緒に遊ぼう」
夫は羨ましそうにしていたけど、息子に自分で頑張って買えと言われていた。
そこからは息子と一緒にオンラインゲームを楽しんだ。
気が付けば27年の歳月が流れ、息子は47歳で私は69歳になっていた。
息子は孫と一緒に遊ぶからとPCゲームを止めて据え置き機で遊ぶようになり、私も動体視力や反応速度が遅くなったりでゲームを引退したのだ。
引退から3か月後、仲の良かったギルメンが意中の相手をやっと口説き落として結婚式を挙げるから見に来てくれと言われた。
アカウントは残してあったからログインは出来る状態だったが引退した身だからと最初は断ったのだが、コミュニティツール経由で多くのギルメンがら是非にと声が掛かってしまった。
コミュニティツールも抜けておくべきだったと今では思う。
だが口説き落とすまでに2年も掛けた仲間を祝ってやりたい気持ちもあったので、1日だけの復帰をした訳なのだがこのありさまだ。
まぁ結婚式を見届けた後でよかったとは思うが、見届けたまでの記憶しかない。
結婚披露パレードの後はどうなったのだろう・・・
「あっれぇ? なんかおばさんが居るんだけどぉ?」
「え?本当だ。なんであんなばあさんが居るんだろう」
「あれじゃなぁーい、ほらよくあるじゃーん。
巻き込まれ召喚とかさぁ~」
「うっわ、かわいそー」
「あんなばぁさんとチーム組む奴いねぇだろ」
そんな声に意識が引き戻される。
過去を思い出している場合ではなかった。
説明もなく、解っているのは期間が3日という事だけ。
ならば行動あるのみだろうと思い周囲を見回す。
白い空間に白い扉が3つ。
老眼には分かりにくいではないか・・・
他にも茶色の扉が3つに黄色の扉が3つと全部で9つの扉があった。
あの扉を潜れという事だろうか。
色によって何かが違うのだろうか。
『 残り時間5分。扉を潜らず此処へ留まっていた場合は退場となります 』
アナウンスが響く。
そういった事は最初に教えていて欲しかった。
「「「 聞いてねぇよー! 」」」
一斉に声が上がるが、これに関しては私もそう思う。
5人組のチームが1つ、茶色の扉を潜ると扉は消えて行った。
「マジか!」
「やべぇ、扉が無くなってあぶれたら強制的に脱落って事か」
「早い者勝ちって事か!」
騒ぐ若者達を横目に私は白い扉に手を掛けた。
「悪いなばぁさん!この扉は俺達が貰・・・」
私を押しのけ扉に手を掛けた男のチーム全員がザザザッとポリゴン崩壊のように消えて行った。
「うわぁぁ」
「きゃぁぁ」
「いやぁぁぁぁ」
残された若者達から悲鳴があがる。
『 ルール違反者4名退場完了 』
アナウンスの声に全員が顔色を悪くする中1人の女の子が何かを閃いたように明るい声で叫んだ。。
「退場ってログアウトだよね?って事はさぁ、リアルに戻れるんじゃない?
私このまま残ってリアルに戻るっ!」
「なるほど!じゃあ俺も!」
「あ、あたしも!」
馬鹿だなと思った。
人魂の話を聞いていなかったのだろうか。
あの人魂は「皆さんはゲームプレイ中にお亡くなりになりました」と言ったのだ。
リアルになんか戻れる訳がない。
非現実的ではあるけれど、今の私達のリアルは此処なのだろうから。
だから、退場イコール死、消滅なのではないだろうかと思った。
どうやら同じ考えに至った若者も居るようで、さらに顔色が悪くなった者が数名いた。
このまま立ちすくんで考えても仕方がない。
私は再び白い扉に手を掛けた。
「あのっ!すみません、おばあさん!チームに入って貰えませんか」
20代くらいの男女5人組が声を掛けて来た。
入って貰えませんかと言われても困る。
ここまでの間、誰も私に声を掛けて来なかった。
可哀そうだとか、なんで居るんだとかはコソコソと言われていたが。
恐らくは扉が人数分、チーム数分無いと分かったから焦ったのだろう。
「お断り申し上げますじゃ。
何故今このタイミングで声を掛けて来たんですかのぅ。
儂みたいなババァは必要ないとゆうておりましたじゃろ?」
「なっ」
「せっかく入れてあげるっていってるのにぃ!」
ついゲーム内チャットでの喋り方になってしまったが、私は彼らの言葉なぞ気にする事なく扉を潜った。
足を運んでくださりありがとうございます。
シリアスに進むかと思いきや時々、たぶん時々コントが入ります。
下手したらコントにしかならない時もあるかもしれません。
楽しんでいただけるよう、頑張りますのでお付き合いの程宜しくお願いします。
続きが気になる or 仕方がないから暇潰しに読んであげる
と思って下されば☆1つ入れて頂けると励みになります。
またリアクションなど頂けると喜びます。




