不安を覚える
あの後20羽弱の群れを2つ見つけ、合計で22羽を狩る事が出来た。
これだけ狩ればいいだろうと思い、解体し終わった後に休憩を挟み薬草採取へと移る。
ひとえに薬草と言っても色々種類があるだろうと思うのに指定が無い。
薬草ならば何でもいいのだろうか。
そう思ったのだが違った。
どれを採取すればいいのかと思ったところで鑑定眼が発動した。
『 薬草:すべての薬の基本となる草。
其々の草の効果を底上げする事が出来る。
そのままでも薬となるが効果は小程度 』
どうやら薬草という名前の草があるらしく、単体ではオールマイティだが効果は低いという事らしい。
何かと一緒に調合するのが前提のようだ。
なるほどと思い周囲を見渡せば、「薬草」の文字が浮かび上がった草があちらこちらにと生えていた。
蓬に似ているが黄色味がかっている。
これならば見慣れている草なので見つけやすいだろう。
薬草採取ならば「じぃや」でも良いかと思い「じぃや」に変身する。
頭の中で「じぃやかもん」と思うだけで変身できるので便利だ。
黙々と採取を続け、自分用に蓬やオオバコ、ドクダミも採取していく。
どのくらい採取し続けただろう。
気が付けば依頼用の袋が無くなっていた。
しゃがみこんでの作業が続いたのでさすがに腰が限界に近い。
そろそろ日も傾く頃だろうと思い戻る事にした。
街へと戻り旅人ギルドで依頼品を渡す。
「これ、全部ですか」
「はい。そうですが何かまずかったですかのぅ」
「あ、いえ。失礼しました。
思っていたよりも多かった物ですから驚いてしまいまして」
「そうですか」
思ったよりも多かったなど、年寄りだからそんなに採取出来ないだろうと思われていたのだろうか。
少し不快に思う。
「まずツノウサギから清算いたします。
狩り手数料が中銀貨1枚。角が22本で大銀貨2枚と小銀貨1枚になります。
次に薬草ですが、こちらが30袋で大銀貨1枚と中銀貨1枚となります。
合計で大銀貨2枚と小銀貨1枚となりますのでご確認ください」
差し出されたトレーの上に効果が3枚乗っている。
大銀貨2枚と小銀貨1枚、21000円なり。
「はい、確かに受け取りました」
「これにて依頼完了です。お疲れさまでした」
「ありがとうございましたじゃ」
旅人ギルドを出てその足で商人ギルドへと向かう。
ツノウサギの肉と毛皮を買い取って貰う為だ。
幾らになるだろうと少しばかり気持ちが浮つく。
「こんばんは。どういったご用件でしょうか」
「こんばんは。ツノウサギの毛皮と肉の買取をお願いしたいのですが
大丈夫ですかのぅ」
「はい、大丈夫ですよ。
では査定致しますのでこちらの籠に入れていただけますか」
毛皮と肉を収納鞄から取り出し籠に入れていくのだが入りきらなかった。
「あら、まぁ。籠をもう1つお持ちしますね」
受付の女性はすぐに追加の籠を持って来てくれた。
22羽分の毛皮と肉だ、結局は籠に3つ分となった。
「素晴らしいですね。
毛皮はいずれも胴体部分に傷がなくとてもきれいな状態です。
お肉も臭みや内出血の跡が残っておらずにいい色です。
奥の部屋で係りの者が査定致しますので少々お待ちくださいね」
「はい、お願い致しますじゃ」
受付窓口から少し離れた椅子に座りのんびりと待つ。
「よかったらどうぞ」と受付の女性がお茶を出してくれたのでありがたく頂く。
シナモンの風味が広がり美味しい。好みの味だ。
お茶を飲み終わる事に「お待たせしました」と呼ばれたので窓口へ向かう。
「まず毛皮ですが状態が良くした処理も済んでおりますので
高品質と査定結果が出ました。
1枚につき小銀貨3枚、22羽分ですので66枚で、えーっと・・・」
「大銀貨6枚、中銀貨1枚、小銀貨1枚だな」
女性が悩んで居ると恰幅の良い男性が現れた。
「申し訳ありませんね。彼女はまだ不慣れでして」
「そうですか・・・」
不慣れな人にお金を扱わせて大丈夫なのだろうか。
「あ、大丈夫ですよ?
普段はこの様に大量の持ち込みはありませんから」
「 ・・・ 」
「次にお肉ですがこちらも高品質と査定結果がでました。
1羽分のお肉が銅貨8枚で、22羽分ですから
大銀貨1枚、中銀貨1枚、小銀貨2枚に銅貨8枚。
で合ってますかね・・・」
不安げに私に聞くのはいかがなものか。
大丈夫なのかこの職員・・・
商人たるもの量に関係なく計算は素早く確実に出来る様にならなければ・・・
商人ではなくギルド職員だからいいのか?
いや、やっぱり金銭を扱うのだから駄目だろう・・・
不安を覚えた私は次からはこの街で商人ギルドは利用しない事を決めた。
硬貨を受け取り商人ギルドを出て宿へと戻るとおかみに声を掛けられた。
「どうしたんだい?なんだか微妙な顔付きになっているじゃないか。
何かあったのかい?」
「顔に出てましたかのぅ・・・」
「アタシでよけりゃ言ってごらんよ」
「実は・・・」
と商人ギルドでの事を話す。
「あー、そりゃ災難だったねぇ。
おじぃさんを担当したのは北区の区長の娘だろうね。
人当たりは悪くないんだけど、ちょっと計算が得意では無いみたいでねぇ」
「なんだ、あの娘はまだ窓口に出てるのか」
丁度戻って来た冒険者も話に入って来た。
「俺も3日前にヨーキーの皮を売りに行ったんだがな。
計算ミスがあって余計な時間くっちまったんだよ」
「あらアンタもかい。困ったもんだねぇ」
「ギルド長が戻ってくりゃ対応してくれるだろう」
「ギルド長は不在なんですかのぅ?
あの恰幅の良い男性がギルド長かと思ったんですがのぅ」
「あー、そりゃあ北区の区長だろうな。
ギルド長が留守だからって職員でもないのにウロついている」
「他の職員は誰も注意はせんのですかの?」
「しないと言うより出来ないんだよ。一応は区長も貴族だからな」
「あー・・・ なるほどですじゃ」
「お役人さんに対応してくれるように掛け合った人もいるみたいだから
その内対応してくれるといいんだけどねぇ」
「そうですのぅ。あのような対応が続くと信用が無くなりますじゃよ」
「商人ギルドだけではなく、街全体として信用が下がるだろうな」
「ギルド長が戻るのは4日後だったかい?」
「そのはずだ」
そのギルド長とやらがマトモな人であれば良いのだが。
どのみち私は後5日しか滞在しないので関係ない。
会話を切り上げ部屋へと戻る。
明日も旅人ギルドへ行って請けられそうな依頼がないか聞いてみよう。
そう考えながら夕食のサンドウィッチを頬張る。
体を動かしたせいかペロリと平らげる事が出来たのでやっと無くなった。
味は悪くないのだが、量が量なのでおいそれとは購入出来ないのが残念だ。
お腹も満たされ、「洗浄」で身綺麗にしベッドへと潜り込む。
疲れているのでぐっすりと眠る事が出来た。
読んで下さりありがとうございます。




