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ギルド登録と口座

まずは私が宿泊している「ヒバリ」で空き室が無いか聞いてみた。

1部屋でよければ空いているとの事だったので、其処をアズールとオズワルドに使ってもらう。

ルリリは私の部屋で寝て貰う事にした。


ルリリ達の泊まる部屋も確保出来たので夕食を食べに出掛ける。

おかみに教えて貰った「森の子ヤギ」という店でマクブースという炊き込みご飯のような物を皆で食べた。

見た目は黄色くサフランライスのような感じなのだがスパイスが効いていてとても美味しかった。

米と一緒に炊かれていた鳥の腿肉も柔らかくジューシーだった。

ルリリ達3人はお代わりをしていたが、私はそれを見ているだけでお腹がいっぱいだった。


食べ終わって宿に戻る途中で3人はお菓子を買っていた。

まだ食べるのかと驚いてしまう。


宿へ戻れば私の部屋に集まり話を再開するのだが、その前に私は変身を解いた。


「それがぷるたんの本体・・・ くっ、負けたぁ」


ルリリの視線は私の胸元に向いている。

何処を比べているのだ・・・


「ぷるさんは今後どうするんです?このまま主都で生活を?」

「んにゃぁ。しばらくはいますがの。適当に旅をするつもりですじゃ」

「旅、ですか」

「というか、ずっとその喋り方ですか?」

「そのつもりですじゃよ」

「そうですか。いえ、その方がいいかもしれませんね」

「あずたん、どうかしたのぉ?」

「キャラで喋り方が違うとうっかり素が出てしまう事があるだろ」

「あー、統一させた方がいいって事だねっ」

「ぷるさんが好きなようにすればいいんじゃないか?」

「まぁそうだね」

「儂はこれが一番落ち着きますんでのぅ」


それからはお互いの今後の事や目標なんかを話した。


私としてはいずれどこかに落ち着いて暮らしたい。

気に入った場所が見つかるまではのんびりと旅をしようかと思っている。

ジョブに関しても暮らす場所が決まるまでしばらくはノービスでいいと思っている。

でもサブジョブが決めれるというのでサブジョブは決めておきたい。

ルリリ達には「ぜひ薬師(ハーバリスト)に!」と言われたので候補に入れておこうと思う。


ルリリ達は西の国境の街に定住するそうだ。

降り立つ前に人手不足の場所を教えて貰い決めたのだという。


ジョブに関してはあのチュートリアルである程度の経験値が稼げており、3人共すでに転職していた。


ルリリは治癒師になっていた。サブジョブを付与術師(エンチャンター)にしている。

治癒師と付与術師、支援型で良い組み合わせなのではないだろうか。


アズールは魔術師(ウィザード)でサブジョブを弓師にしていた。

どちらも遠距離火力か。魔法と物理で使い分け出来るのでいいと思う。


オズワルドは盾師(タンカー)。サブジョブを魔法剣士(パラディン)。

どちらも耐久力に優れている。よほどタンク役が好きなのだろうか、Mっ子か?


3人はここでもチームを組んでおり、チーム名は「どーなっつ」。

命名したのはリルルだろうと思ったのにオズワルドだった。


「好きなんですドーナツ・・・」


だからと言ってチーム名としてはどうなんだと思ったが黙っておく。

本人達が納得しているのであればそれでいい。


3人の目標は街に暮らす人々を守れるように強くなる事らしい。

私の目標は終の棲家を見つけてのんびり猫と暮す事だろうか。


「あー、それもいいね!私はわんちゃんと暮したーい」

「俺も家族と住むマイホーム欲しいかも」

「オズは先に彼女見つける事からじゃなぁい?」

「リルルだってそうだろ」

「私はその内すぐ見つかるもん。たぶん」

「マイホームかぁ。俺ログハウスが夢だったんだよな」

「私、お菓子の家にしよっかなぁ」

「虫だらけになるぞ」

「うっ・・・」


そんな話をしている内に余は更けていき、寝る事にする。

リルル達は明日、色々な店を覗いた後で帰ると言う。

私は何をして過ごそうか。

のんびりと町の散策でもしてみようか。


いや違う。

取り敢えずは旅人ギルドで登録して口座を作らねば・・・

大金を持ち歩くのは怖い。



翌日朝食を済ませルリリ達と別れの挨拶を交わす。


「ぷるたん、また連絡するね!」

「何か分からない事とかあれば連絡して下さいね」

「いくら感情が高ぶったからって忘れすぎなんですよ、あの神さま」

「まったくで・・・ そうだ。

 すっかり忘れておりましたわぃ。

 看破1位特典を譲って頂きありがとうございました」

「えー、気にしなくていいのにぃ」

「そうですよ。あれは実質ぷるさんが1位だったんですから」

「それに俺達は3人で行動するので荷物も分担できますからね」

「なるほど。それでも気持ちが嬉しかったですじゃよ」

「えへへ」


すっかり忘れていたお礼も思い出し伝える事が出来た。

たまには一緒に食事をしようと約束し別れて旅人ギルドへと向かう。

目印は木の棒に荷袋がぶら下がっている絵の描いてある水色の看板だと教えて貰った。

通りを進んで行けば右手にこじんまりとした旅人ギルドの建物を見つける事が出来た。



中へ入れば受付係員に声を掛けられる。


「いらっしゃいませ。ご用件は何でしょうか」

「こんにちは。ギルド登録と口座の開設をお願いしたいのですが」

「かしこまりました。ではこちらの申し込み用紙にご記入をお願いします」


申込用紙を受け取り背後にあるテーブルで記入を始める。

氏名とジョブ、旅の目的。それにギルド履歴を記入していく。

旅の目的は「移住先を探す旅」でいいとして、ギルド履歴が「無し」なのは大丈夫なのだろうかと心配になった。

書き終わった用紙を持って受付へ戻る。

係員は一瞬驚いた顔をしたがすぐに平静に戻り水晶玉を取り出した。


「こちらの水晶玉に、身分証の指輪が付いている手をかざして下さい」

「はい」


水晶玉が淡く光った後に小さな画面が浮き出てきた。


「画面に表示された登録内容をご確認下さい。

 内容に間違いが無ければ登録完了となります。

 口座の方もすぐにご利用になれますよ」

「ありがとうございます。内容は確認出来ましたじゃ。

 間違いはありませなんだ。

 口座に入金したいのですが、どうすればよいでしょうかのぅ」

「表示された画面の右下に口座と書かれた場所があります。

 小さいので見えにくいかもしれませんが大丈夫でしょうか」

「右下、ああ、ありましたじゃ」

「そこを押してして頂ければ次の画面が出てきますので

 後は画面の指示に従っていただければ大丈夫ですよ」

「ありがとうございます」


ここでも画面は他の人には見えないので安心してよいようだ。

出て来た画面は見慣れたATMの画面の様だった。

入金と書かれた場所を押せば、次に金額を指定する画面が出てくる。

金額をしていすると硬貨の投入口として水晶玉の一部がパカリと口を開けた。


「ぅわぃっ」


思わず出た声に係員は小声で「大丈夫です、私も初めての時は驚きました」と微笑んでくれたのだが少々恥ずかしい。

取り敢えずは大中小の金貨をすべて預けた。

銀貨だけでもしばらくは大丈夫であろう金額は持っている。

それに何か仕事がありそうならば少しやってみたいと思う。

旅人の中には数日街に滞在して旅費を稼ぐ人もいるようで、旅人ギルドにはそういった人向けの依頼があるのだと係員が教えてくれた。

画面には入金完了の文字と残高が表示されていた。

【 大金貨5枚 中金貨3枚 小金貨4枚 】

いくらだ・・・

690万? 

ぐはっ あっぶなっ! 本気で危なかったではないか。

私は画面をそっと閉じ、何食わぬ顔で係員に礼を言って立ち去った。


教会、そうだ教会へ行こう。これはクレーム案件でいいだろう。

読んで下さりありがとうございます。

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