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待ち合わせに遅れそうだ

仕方がない。

後日別の姿で買いに来よう。


店内を見て回れば布製や革製の服や靴、帽子や外套などが並んでいる。

下着もあったのだが男女共に褌スタイルの物だった。

さすがに私も褌をしめた事は無いので困った。

金属製の物は取り扱う店が違う様で見当たらなかった。


あまり多くても嵩張り邪魔になりそうだ。

考えた末ズボン2本とシャツを3枚と薄手の上着を1枚、下着を3枚と靴下を4足と靴を1足買う事にした。

色は黒で統一させ、シャツと薄手の上着は差し色が入っている物を選んだ。

大量買いとなってしまったが必要な物なので仕方がない。

お金はチュートリアルのお陰で事足りている。


服と靴が同じ店で購入する事が出来たので少し時間がある。

今後の事を考えるとリュックの様な背負い鞄が欲しいと思ったので鞄屋へ行ってみる事にした。

鞄屋を探して歩いていると世紀末覇者映画に出てきそうな人相の悪い男に声を掛けられてしまった。


「おいじいさん、随分と大荷物だな。持ってやろうか」

「いえ、大丈夫ですじゃ。お気遣いありがとうございます」


見るからに怪しいので断る。


「遠慮すんなって。ほら、かしてみろよ」

「いえ、大丈夫ですから・・・」


押し問答をしながら困っているとこれまた人相が悪そうな女の人が現れて男の頭をポカリと殴った。


「あー、おじいさんごめんね。兄も悪気があった訳じゃないんだよ。

 うちら兄妹なんだけど、見ての通りの人相だろ?

 うちの部族は皆こんな感じでさ、よく勘違いされるんだよ」


なるほど。部族の特徴だったのか。

見た目で判断してしまい申し訳なくなる。


「そうでしたか。

 部族の特徴とはつい知らず、失礼な態度をとってしまい申し訳ありません」

「気にしないで。そもそも兄の話し方がいけないんだから。

 兄さん、いつも言ってるでしょう?

 まずは大丈夫ですか、何かお手伝いする事はありますかと

 相手の都合を聞きなさいって!」

「そう言ったぞ? なぁじいさん」

「 ・・・ 」


あれはそういった意味合いだったのか。分かりづらい・・・

どう答えてよいやらわからずに笑ってごまかした。


「それにしても本当に大荷物だね。

 収納鞄は持っていないの?」


持っている。しかも極上品を。

だがそうとはは言えないのでこれから買いに行くつもりだと答えた。


「だったら冒険者ギルドの売店を見てみるといいわよ。

 ドロップ品や中古品を扱っているから手頃なのが見つかると思うわ」

「そうなのですか。ありがとうございます。行ってみますじゃよ」

「買う時はナーガの紹介だって言えば安くなるよ」


そう言って女の人は1枚のカードを渡してくれた。

これを見せればいいらしい。

ありがたく受け取り礼を言って別れ、冒険者ギルドへと向かう事にした。


冒険者ギルドは宿屋「ヒバリ」の3軒隣と思ったよりも近くにあった。

中へと入り売店を探して視線を動かせば受付の男性に声を掛けられた。


「いらっしゃいませ。どういったご用件でしょうか」

「すみません、こちらに売店があると伺ったのですが」

「売店ですか。

 申し訳ありませんが冒険者登録はお済でしょうか。

 売店を利用するには冒険者登録証が必要となるのですが」

「そうなのでしたか。冒険者登録はしておりませなんだ。

 ナーガさんに勧められて足を運んだのですが

 そういった事でしたら仕方がありませんのぅ。お邪魔いたしました」

「ナーガのですか」


ナーガの名前を出したとたんに周囲の冒険者がざわめく。

有名な人達だったのだろうか。

折角紹介して貰ったが冒険者でなければ購入出来ないのであれば仕方があるまい。

時間もあまりない事だし他の店へ行く事にしよう。


「お待ちください。ナーガの紹介だと証明出来るものはございますか」

「頂いたカードなら持っておりますが」


「カードだと?・・・」

「嘘だろ・・・」


冒険者達が驚いているのを他所眼に受付の男性へとカードを見せる。


「拝見いたしました。確かにナーガのカードで間違いありません。

 確認出来ましたので売店のご利用が可能となります。

 担当者を呼んでまいりますので少しお待ちいただけますか」

「お手数をおかけしますのぅ」

「とんでもございません」


男性は奥の部屋へと入り誰かと会話を交わすと担当者らしき女性と一緒に戻って来た。


「お待たせいたしました。こちらが担当者です」

「お待たせいたしました。さっそくご案内させて頂きます」

「宜しくお願いします」


なんだか思っていたのと違う。

学校だの駅だのにある売店を想像していたのだが、このように仰々しいとは思わなかった。

非常に場違いな感覚を覚える。

手持ちの金で足りるのだろうか。


結局は個室へと通され、何を求めているのかを聞かれたので背負うタイプの収納鞄を探しているのだと答えた。

担当者は別室から幾つかの収納鞄を持ってきて見せてくれる。

リュックというよりは背嚢に近い。


「お勧めはこちらの物でしょうか。

 ナーガさんが委託で出されている物で重量軽減の大が付いております。

 通気性も良く防水性も高いのでかなり良い代物ですよ。

 お値段も性能の割には安価でして」

「あー、それでいいならあげるよ?」


担当者が説明をしている途中で聞き覚えのある声が割り込んで来た。

ナーガさんだ。


「いやちょっと心配になってね。

 様子を見に来たら丁度商品見せてるっていうからさ、覗きにきちゃった」


そう言ってナーガさんは背嚢を掴み上げると穴やほつれが無いか隅々まで確認して私に押し付けて来た。


「委託は取り下げで。悪いね」

「畏まりました。手続きはしておきますね」

「って事で、おじいさん。これ持って行きなよ」

「代金を・・・」

「いらない、いらない」

「しかしそういう訳にも」

「じゃあさ、連絡先交換してよ。

 なんか故郷のじぃさま思い出してさ、気になっちまうんだよね。

 時々でいいからさ、近況とか聞かせてくれないかな」

「連絡先だけでよろしいのですかのぅ?」

「うんうん」

「なんだか申し訳ないような気がするんじゃがのぅ」

「じぃさま孝行って事でさ、受け取ってよ。ね?」


ここまで言われてしまえば断るのは失礼になってしまう。

私はありがたく背嚢を頂戴する事にした。


「ありがとうございますじゃよ。大切に使わせて頂きますじゃ」

「よかった。じゃあ連絡先交換しよう」


握手を交わし指輪同士が触れる。


「うん、これで大丈夫だね。

 この街にはまだ居るんでしょ?なにか困った事があれば声かけてね!」

「ありがとうございますじゃよ」


別れた後でギルドのトイレへ入り、小声で「フレンドリスト確認」と呟いてみた。

新しい名前にNewが付いている。

タップして開いて見て私は衝撃を受ける。

「ナーガ」は名前ではなくて種族名で、彼女の名前はアナンタ・ナーガラジャ。

ナーガ族族長の娘だと記載してあった。

こんな風に記載されるのか。

では私達はどう記載されているのだろうか。

試しにルリリの名前をタップしてみれば、異邦人と記載されている。

いいのか、これ・・・

疑問に思っていると正午の鐘の音が聞こえた。


しまった、待ち合わせの時間になってしまったではないか。

私は背嚢を肩掛け収納鞄にしまい込み、急いでトイレから出て冒険者ギルドを後にした。

読んで下さりありがとうございます。

リアクションやブックマーク、評価等励みになっております。

ありがとうございます!(*'ω'*)

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