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7 見つけた希望

5年後―

人形程に小さい子供を腕の中に、僕と優香は微笑み合う。

そう、僕達は、めでたく夫婦(めおと)となったのだ。

優香の『島崎(しまざき)』という姓は『宇宮(うみや)』に変わった。

子供は、男の子だ。僕達はその子に、“雄志(ゆうじ)”と名付けた。文字通り、勇ましく、志を持っていてほしいという願いもある。だがそれ以外にも、『翔二(しょうじ)』と『優香(ゆか)』の間を取ったような名前にしたかったのだ。僕達の絆を証明するかのように。


―あれ以来、2人でたくさん踏ん張ってきた。今にも壊れそうな橋を渡っているような感覚だった。僕が仕事を探している間、優香は本当に頑張ってくれた。そのおかげで、今はちゃんと職に就き、貧乏とも裕福とも言えない生活を送っている。

諦めずに走り続けてきたからこそ、この幸せな光景がある。


―なぜ、諦めずにここまで来ることができたか。優香に限らず、色々な人の支えがあった。でも、その中で一番、僕に影響していたのは…。

あの手紙―つまりは、過去の自分だ。

あの手紙が、僕に大切なことを教えてくれた。あの手紙が無ければ、途中で挫折してしまっていただろう。


『つらいことがあっても、あきらめそうになっても、笑顔になって、希望を持っていてほしいです。いつも夢に向かって、走り続けてください。』


あの手紙の言う通りだ。ずっと希望を持ち続けてきたからこそ、ここまで走り抜くことができた。

あの手紙が伝えたかったこと……それは、この世界が、絶望だけじゃないということだったのかもしれない。

辛い事ばかりじゃない。楽しい事もある。夢に向かって走り続けていれば、その先には、幸せな光景がある、ということだったのだろう。

無論、子供の僕が実際にこの手紙を書いている時、そんなことを伝えようと思っていた訳ではないだろう。子供なんて、“絶望”なんて言葉は、ちゃんと分かっていないだろうから。ただ、こうして大人になり、“絶望”という言葉を知った今、この手紙の『新しい意味』が見えてくるようになったのだ。


そして、その『新しい意味』を深めてくれた人物がいる。―優香だ。

彼女は、真っ黒になっていた僕の心に、彩りをくれた。

彼女だって、悲しかったはずだ。辛かったはずだ。それでも、頑張って僕を笑顔にさせてくれた。彼女には、本当に感謝している。


彼女にプロポーズをしたのは、あの時と同じように、僕からだった。そして彼女は、あの時と同じように、二つ返事で受け入れてくれた。彼女となら、きっと、幸せな生活を送ることができる。その瞬間に感じたことは、変わらなかった。

辛いことがあっても、諦めなかったから。いつも夢に向かって、走り続けてきたから。この“幸せ”を、手に入れることができた。

過去の僕は、今の僕に―未来を生きる僕に、伝えたかったのだ。一寸先、闇か光かも分からないということを。ただ、一つ確かなのは、その全てが、闇ということではないのだと。

僕は、救われた。優香に。あの手紙に―過去の自分に。


ありがとう。これで―


―これで、頑張れるよ。


『未来の僕へ―


がんばれ。』

これで終わりだと思ったか……?

翔二と優香に嫉妬した人、ぜひ続編も読んでください!

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