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「ホウレイ線」
裏も表も知らずに
いつも笑っていられる程
もう若くはないけれど
何気ないひと言で
笑顔がこぼれるのなら
それはそれで
悪くないわ
鏡と向かいあって
ドライヤーを当てる
笑窪の内側にある溝に
私も年を取ったわね
とポツリ
それを聞いたあなたは
ニヤニヤしながら
豊麗線は
「笑い皺」って言うんだぞ
ほうれい線じゃなく
笑い皺
笑った分だけ刻まれていく
笑顔の代償としては
悪くはないわね
ほうれい線は女の敵
年を重ねる度に
深く体に刻まれて
他人がそれを見て
幸せだとか
不幸だとか
何と思われようと
どっちでも良いけど
こうやって二人
時を重ねて
笑顔が絶えないのなら
それはそれで
良いかも知れない
ドライヤー片手に
鏡に向かい合う
笑窪の内側の溝は
容赦なく体に
刻まれていくけど
くすりと笑うあなたの隣で
釣られて笑う私の心が
こんなに穏やかなんだから
こうやって
歳を重ねるのも
悪くはないわ
それを他人が見て
幸せなのか
不幸なのか
そんな事
どう思われようと
知った事じゃないけど
こうやって
時を刻む私たちを
幸せだとも
不幸だとも
言わせない事も
できるだろう




