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「金木犀の花が咲く頃」

また会おうよ

ここで会おうよ

このままじゃちょっとね

淋しいから

あの頃は

良かったなぁと

思っているけど

戻りたいとは

思わない

みんな昔のままじゃない

思い出だけをまぶしくする


金木犀の花が

風に揺れていた午後

子供の頃歩いた道を

久しぶりに歩いてみる

懐かしい香りに振り向いて

思い出という名の

時の足跡を追いかける

あの日

子供の私では

どうする事もできない事情で

離ればなれになった友だち

また会おうと言う約束

今頃になって守りに来たよ


昔 恋したゆうじ君は

今は一児のお父さん

私の知らないうちに

大人になって

私の知らない人と

結婚して

私の知らない物語が

君の中で紡がれたのね

昔 一緒に遊んだともこちゃんは

今は遠い空の向こう

私の知らないうちに

大人になって

私の知らない所で

自分を磨いて

何にそんなに

疲れてしまったのか

私は何も知らないけれど

ある朝その目は

開く事なく

それは静かに眠る様に


金木犀の花が咲く頃に

また会おうよ

ここで会おうよ

このままじゃちょっとね

さみしいから

時の足跡を追いかけていると

金木犀の花の香りが

かすかに

風に乗って通り過ぎた

そうね、あの頃は

良かったなぁと

思っているけど

もう戻れないと気付いた

大切なのは

歩いてきた道程と

歩いたその足

そのものですから


金木犀の花の香りを

風が運んできた午後

あの頃

まだ小さな私の歩幅で

一生懸命歩いてた

人生と言う名の

長い道の途中で出逢った

大切な人たち

思い出になる事は

悲しかったけど

これで

良かったんだと思う

また会おうよ

ここで会おうよ

まだ果たされない約束

でも破られたわけじゃないなら

私はまだ

歩いていける

大切なものは足跡ではなく

むしろその足

そのものですから

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