第五章 第12話 水を撃つ
滝の音が、
響く。
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水は、
流れている。
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屋根から、
雨樋へ。
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竈の横を通り、
熱を拾う。
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風呂へと、
落ちる。
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満ちる。
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溢れる。
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だが、
溢れない。
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一定の高さで、
流れ出す。
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筒を通り、
川へ戻る。
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無駄はない。
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そして、
別の流れ。
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滝。
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落ちる水。
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車輪を、
打つ。
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押す。
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回る。
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ゆっくりと。
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だが、
確実に。
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歯車が、
動く。
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繋がる。
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上へ。
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伝わる。
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上下に、
動く。
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規則正しく。
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止まらない。
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滝がある限り。
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働き続ける。
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「……これだな」
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ジョーが、
呟く。
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ベルンハルトが、
腕を組む。
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「で?」
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短く。
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「何に使う」
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ジョーが、
振り返る。
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「水鉄砲、知ってるか?」
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ベルンハルトが、
眉を上げる。
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ジョーが、
取り出す。
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一本の、
道具。
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ドワーフ領で、
作ったもの。
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グスタフの、
初期作。
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「使ってみろ」
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ベルンハルトが、
受け取る。
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構える。
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押す。
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水が、
飛ぶ。
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一直線に。
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ベルンハルトの目が、
見開く。
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「……飛んだな」
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低く。
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アーデルハイトも、
試す。
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水が、
届く。
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距離を、
取ったまま。
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ジョーが、
言う。
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「近づかなくても、水を撒ける」
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一拍。
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「火に対してもな」
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アーデルハイトの目が、
変わる。
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理解する。
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「……各家庭に」
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小さく。
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「一つ」
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ジョーが、
頷く。
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「ああ」
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短く。
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「最初の一手だ」
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アーデルハイトが、
息を整える。
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「これは……」
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一拍。
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「自警団に持ち帰り、緊急会議を開きます」
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少しだけ、
熱が入る。
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ベルンハルトが、
笑う。
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「ほんっとに面白れぇヤツだな!」
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ジョーが、
滝を見る。
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水。
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流れ。
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まだ、
足りない。
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「これからだな」
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小さく。
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「この町の、防災を変える」
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短く。
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視線を、
横へ。
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リーネ。
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目が合う。
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リーネが、
笑う。
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優しく。
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頷く。
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その時。
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遠く。
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煙が、
上がる。
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細く。
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だが、
確かに。
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町の一画。
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ジョーの目が、
細くなる。
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空気が、
変わる。
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一拍。
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視線は、
外さない。
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「……おい、アーデルハイト」




