第五章 第10話 作業再開
朝。
---
光が、
差し込む。
---
静かだ。
---
ジョーが、
目を開ける。
---
天井を見る。
---
昨夜の、
余韻。
---
体に、
残っている。
---
隣に、
気配。
---
リーネ。
---
眠っている。
---
穏やかに。
---
少しだけ、
距離が近い。
---
ジョーは、
ゆっくりと起き上がる。
---
音を立てないように。
---
だが。
---
リーネの目が、
開く。
---
一瞬、
視線が合う。
---
すぐに、
逸らす。
---
「……おはよう」
---
小さく。
---
ジョーが、
頷く。
---
「おはよう」
---
短く。
---
一拍。
---
沈黙。
---
だが。
---
気まずくはない。
---
どこか、
落ち着かないだけだ。
---
リーネが、
少しだけ笑う。
---
「……変な感じ」
---
ジョーも、
口元を緩める。
---
「……だな」
---
短く。
---
二人は、
支度を整える。
---
宿を出る。
---
朝の町。
---
人の気配が、
戻り始めている。
---
空気が、
澄んでいる。
---
リーネが、
隣を歩く。
---
少しだけ、
距離が近い。
---
だが、
何も言わない。
---
そのまま、
歩く。
---
滝へ向かう。
---
水の音が、
近づく。
---
見えてくる。
---
小屋。
---
まだ、
未完成。
---
だが、
形はある。
---
その前に。
---
一人、
立っている。
---
ベルンハルト。
---
腕を組み、
待っている。
---
こちらに気づく。
---
ニヤリと、
笑う。
---
「遅ぇな」
---
短く。
---
ジョーが、
肩をすくめる。
---
「朝だぞ」
---
ベルンハルトが、
鼻で笑う。
---
「だからだ」
---
一拍。
---
「朝からやる」
---
当然のように。
---
「ところで、屋根に塗ってたあれは……」
---
ベルンハルトが、
ちらりと見る。
---
「見るか」
---
ジョーが、
ニヤリと笑う。
---
屋根の上に、
ベルンハルト。
---
「濡れないように、気を付けろ」
---
桶の水を、
屋根に放つ。
---
着水。
---
滑らかに、
流れる。
---
一箇所へと、
集まる。
---
落ちる。
---
「これは……!」
---
ベルンハルトが、
目を丸くする。
---
ジョーも、
リーネも、
笑顔で頷く。
---
「初めて見たぜ……」
---
呟きながら、
降りてくる。
---
「後で、教えろ」
---
「当然だ」
---
お互いの知らない、
知識が広がる。
---
「さぁ、始めよう」
---
床材を置く。
---
削る。
---
合わせる。
---
昨日の続き。
---
だが、
違う。
---
手が、
馴染んでいる。
---
流れが、
できている。
---
ベルンハルトが、
短く指示を飛ばす。
---
「そこ」
---
「もう少し削れ」
---
無駄がない。
---
ジョーが、
応える。
---
迷いがない。
---
音が、
揃う。
---
打つ音。
---
組む音。
---
繋がる。
---
リーネが、
材料を運ぶ。
---
ジョーが、
短く言う。
---
「助かる」
---
自然に、
手伝う。
---
アーデルハイトが、
遅れてやってくる。
---
その様子を見る。
---
一歩引いて。
---
観察するように。
---
そして。
---
「おはようございます」
---
「ああ」
---
「おはよう」
---
「おはようございます」
---
リーネの方を向く。
---
何かに、
気づいている。
---
作業は、
続く。
---
止まらない。
---
昨日の続き。
---
だが、
確実に進んでいる。
---
その時。
---
アーデルハイトが、
そっと近づく。
---
リーネの隣へ。
---
顔を寄せる。
---
声を落とす。
---
「……夜は」
---
一拍。
---
「もう少し、お静かにお願いします」
---
ごく、
小さな声で。
---
リーネが、
一瞬止まる。
---
理解する。
---
頬が、
熱を持つ。
---
何も言わない。
---
だが。
---
そのまま、
作業に戻る。
---
滝の音が、
響く。
---
木が、
組まれる。
---
何も変わらない。
---
だが。
---
少しだけ、
違う。




