第五章 第9話 お酒の味
夜。
---
静かだ。
---
宿の奥。
---
湯気が、
立ち上る。
---
ジョーは、
湯に浸かる。
---
肩の力が、
抜ける。
---
一日。
---
動いた。
---
考えた。
---
組んだ。
---
「……腹減ったな」
---
小さく。
---
湯から、
上がる。
---
体を拭く。
---
外に出る。
---
リーネが、
待っている。
---
「どうだった?」
---
「いい湯だった」
---
短く。
---
一拍。
---
「飯、行くか」
---
リーネが、
少し笑う。
---
「うん」
---
夜の町。
---
灯りが、
揺れる。
---
アーデルハイトに聞いた、
食堂へ向かう。
---
扉を開ける。
---
温かい空気。
---
匂い。
---
肉。
---
香辛料。
---
席に着く。
---
料理を頼む。
---
少しして、
運ばれてくる。
---
リーネが、
ふと呟く。
---
「ベルンハルトさん、お酒強そうだったね」
---
ジョーが、
肩をすくめる。
---
「飲んでたな」
---
リーネが、
少しだけ困った顔をする。
---
「私、飲めるけど弱いからな」
---
正直に。
---
「無理して飲むもんじゃない」
---
リーネが、
少し考える。
---
そして。
---
「……一口くらいなら」
---
小さな、
ワインを頼む。
---
運ばれてくる。
---
グラスを持つ。
---
一口。
---
口に含む。
---
少しだけ、
目を細める。
---
飲み込む。
---
そして。
---
グラスを差し出す。
---
「残り、飲んでね」
---
自然に。
---
ジョーが、
受け取る。
---
そのまま、
飲み干す。
---
食事を終える。
---
外に出る。
---
夜の空気。
---
少し、
冷たい。
---
帰り道。
---
歩く。
---
だが。
---
少し、
道を外れる。
---
灯りが、
減る。
---
静かになる。
---
商館通り。
---
人気が、
少ない。
---
リーネが、
腕に絡む。
---
ぎゅっと。
---
「……早く抜けよう」
---
小さく。
---
声が、
少し硬い。
---
ジョーは、
何も言わない。
---
ただ、
足早になり……
通りを抜ける。
---
再び、
灯り。
---
人の気配。
---
宿に戻る。
---
扉を開ける。
---
中は、
静かだ。
---
部屋。
---
ジョーが、
腰を下ろす。
---
その時。
---
扉が、
静かに開く。
---
リーネ。
---
少しだけ、
頬が赤い。
---
一口の酒。
---
それだけなのに。
---
目が、
揺れている。
---
ゆっくり、
近づく。
---
止まる。
---
視線を、
逸らさない。
---
そして。
---
「……抱いて」
---
小さく。
---
だが、
はっきりと。
---
見つめ合う、
二人。
---
「……リーネ」
---
名前を呼ぶ。
---
手を伸ばす。
---
引き寄せる。
---
距離が、
消える。
---
口づけ、
舌を絡める。
---
先ほどの、
ワインの味が、
する。
---
そのまま。
---
そっと、
ベッドへ倒れ込んだ。




