第四章 最終話 分岐点
町の中を、
歩く。
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人は多い。
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声もある。
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物も、
溢れている。
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賑わっている。
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確かに。
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だが。
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ジョーが、
足を止める。
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「……なぁ」
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小さく。
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リーネが、
振り返る。
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「どうしたの?」
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ダンも、
視線だけを向ける。
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ジョーが、
周囲を見る。
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人。
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多い。
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だが。
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「……笑ってる奴、少なくないか」
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ぽつりと。
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リーネが、
少しだけ考える。
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周囲を見る。
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確かに。
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声はある。
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だが。
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楽しそうではない。
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「……言われてみれば」
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小さく。
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ダンが、
腕を組む。
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「物はある」
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短く。
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「だが、余裕がない」
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静かに。
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「張り詰めてる」
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三人の間に、
沈黙が落ちる。
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ジョーが、
呟く。
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「……何かが足りない、か」
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クラウスの言葉を、
なぞる。
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リーネが、
小さく言う。
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「それに……」
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一拍。
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「噂はあるのに、誰もちゃんと話さない」
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違和感。
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はっきりしない。
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だが、
確かにある。
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ダンが、
口を開く。
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「俺は戻る」
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短く。
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ジョーとリーネが、
見る。
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「村長としての仕事がある」
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事実だけ。
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「合併の処理もある」
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一拍。
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「ここには残れん」
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ジョーが、
小さく息を吐く。
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「……だよな」
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納得している。
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ダンが、
二人を見る。
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「ここから先は、お前らだ」
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短く。
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「調べろ」
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それだけ。
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リーネが、
頷く。
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「うん」
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迷いはない。
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ジョーも、
頷く。
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「……やるよ」
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ダンが、
わずかに頷く。
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「浮つくなよ」
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いつもの一言。
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それだけで、
十分だった。
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三人は、
自警団詰所へ向かう。
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通りを抜ける。
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人の流れが、
少しだけ途切れる。
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石造りの建物。
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入口に、
簡素な看板。
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ヴァルデン自警団。
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扉を、
押す。
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中は、
騒がしい。
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人の声。
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紙の音。
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足音。
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忙しない。
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一人の男が、
顔を上げる。
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「……なんだ?」
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警戒。
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その時。
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ダンが、
一歩前に出る。
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「クベルハイム自警団だ」
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短く。
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場の空気が、
わずかに変わる。
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奥から、
声が飛ぶ。
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「ほう?」
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低く。
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「珍しい客だな」
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男が、
歩み出てくる。
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「俺がヴァルデン自警団リーダー」
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一拍。
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「ウィンブロンだ」
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ダンが、
頷く。
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「ダンだ」
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簡潔に。
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「クベルハイム自警団のリーダーだった」
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一拍。
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「だが、村長になる」
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「引退だ」
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ウィンブロンが、
目を細める。
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ダンが、
続ける。
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「だから」
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短く。
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「こいつらに、知識を広めさせたい」
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ジョーとリーネを、
示す。
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「交流を頼みたい」
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静かに。
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真っ直ぐに。
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ウィンブロンが、
しばらく見る。
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やがて。
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「……いいだろう」
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低く。
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「面白い話だ」
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「案内役を付けてやる」
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振り返る。
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「おい」
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数人が、
顔を上げる。
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その中から、
一人が立ち上がる。
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女。
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「では、私が案内いたします」
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落ち着いた声。
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ウィンブロンが、
頷く。
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女が、
歩み寄る。
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「あら?」
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小さく、
首をかしげる。
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リーネが、
声を上げる。
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「……宿の人?」
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女が、
やわらかく笑う。
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「はい、そうです」
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軽く一礼。
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「受付も務めておりますが、本職はこちらです」
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一拍。
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再び、
丁寧に頭を下げる。
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「アーデルハイトと申します」
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穏やかに。
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「ヴァルデン自警団の団員になります」
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ウィンブロンが、
口を開く。
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「こいつに任せろ」
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短く。
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「無駄に詳しい」
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アーデルハイトが、
少しだけ目を細める。
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「“無駄”は余計です」
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それでも、
口調は崩さない。
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三人へ向き直る。
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「町のことでしたら、ご案内できます」
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「よろしければ、このままご一緒に」
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自然な誘い。
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ダンが、
一歩引く。
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ジョーとリーネを見る。
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「……俺はここまでだ」
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短く。
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ジョーが、
頷く。
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「戻るんだな」
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ダンが、
頷く。
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「ああ」
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「村長の仕事がある」
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「合併の処理もな」
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一拍。
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「ここには残れん」
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リーネが、
小さく頷く。
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「……うん」
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ダンが、
続ける。
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「ここから先は、お前らだ」
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「調べろ」
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リーネを見る。
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「支えろ」
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二人の役割。
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ジョーが、
頷く。
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「……ああ」
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リーネも、
頷く。
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「任せて」
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ダンが、
わずかに頷く。
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「浮つくなよ」
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それだけ。
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背を向ける。
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歩き出す。
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振り返らない。
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その背中が、
遠ざかる。
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やがて、
人の流れに紛れる。
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見えなくなる。
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残されたのは、
二人。
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ジョーと、
リーネ。
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その横で。
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アーデルハイトが、
静かに言う。
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「……行きましょうか」
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ジョーが、
頷く。
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「……頼む」
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リーネも、
一歩踏み出す。
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三人は、
歩き出す。
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町の奥へ。
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見えない何かを、
探しに。




