第四章 第15話 面影
日が、
傾く。
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道は、
広くなる。
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人が、
増える。
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荷を運ぶ者。
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笑う者。
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呼び声。
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匂い。
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焼いた肉の香りが、
ここまで漂ってくる。
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村とは、
違う。
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ジョーが、
足を止める。
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「これが町か……」
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思わず、
こぼれる。
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リーネが、
周囲を見る。
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目を細める。
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「こんなに人、見たの初めてかも」
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少しだけ、
楽しそうだ。
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ダンは、
変わらない。
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前を見たまま。
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「はぐれるなよ」
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短く。
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それだけ。
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門が、
見える。
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開かれている。
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人が、
出入りしている。
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止められない。
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そのまま、
通れる。
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ジョーが、
小さく呟く。
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「……普通なんだな」
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拍子抜けしたように。
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リーネが、
頷く。
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「うん……」
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少しだけ、
安心したように。
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三人は、
町へ入る。
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通りに、
並ぶ。
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屋台。
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焼く音。
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匂い。
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煙。
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リーネが、
足を止める。
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「……いい匂い」
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小さく。
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ジョーも、
目を向ける。
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肉が、
焼かれている。
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屋台の男が、
声を上げる。
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「焼きたてだ!安いぞ!」
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リーネが、
少しだけ迷う。
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「……いくら?」
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男が、
答える。
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「銅貨五枚だ」
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ジョーが、
小さく眉をひそめる。
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「……高くないか?」
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思わず。
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男が、
笑う。
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「ここは町だぞ」
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軽く。
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「村とは違う」
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リーネが、
少し考える。
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そして。
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小さく、
首を振る。
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「……三枚くらいなら、よかったのに」
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名残惜しそうに。
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ジョーが、
少しだけ笑う。
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「仕方無いさ」
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短く。
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ダンが、
振り返る。
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「行くぞ」
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それだけ。
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三人は、
また歩き出す。
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人の流れの中へ。
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人が、
多い。
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肩が、
触れる。
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声が、
重なる。
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その中で。
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ジョーが、
ふと足を止める。
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「……」
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視線の先。
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人混みの向こう。
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赤い髪。
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見覚えのある、
後ろ姿。
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一瞬。
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「……アン?」
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小さく、
こぼれる。
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だが。
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人の流れが、
遮る。
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一歩、
踏み出す。
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間に合わない。
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気づいた時には、
もういない。
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消えている。
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ジョーは、
しばらくその場に立つ。
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やがて。
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小さく首を振る。
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「……気のせいか」
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歩き出す。
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二人は、
気づいていない。
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そのまま、
三人は進む。
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ダンが、
前を見たまま言う。
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「日が落ちる前に」
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短く。
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「宿だな」
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通りを抜ける。
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一軒の宿。
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扉を、
開ける。
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中は、
明るい。
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人の声。
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木の匂い。
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受付に、
人が立っている。
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女性。
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顔を上げる。
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「いらっしゃいませ」
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柔らかい声。
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その瞬間。
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三人の視線が、
揃う。
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雰囲気が、
似ている。
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リーネが、
小さく呟く。
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「……あれ?」
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ダンも、
わずかに目を細める。
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ジョーが、
一歩前に出る。
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「……あの」
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一拍。
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「アンって、名前じゃないか?」
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女性が、
首をかしげる。
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「いいえ?」
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軽く笑う。
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「違いますよ」
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あっさりと。
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それだけ。
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リーネが、
小さく息を吐く。
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「……だよね」
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指を折るように、
確認する。
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「声も違うし……」
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「髪も、赤じゃないし……」
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一拍。
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「……頬の傷も、ない」
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ダンが、
短く言う。
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「似てるだけだ」
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それで、
終わる。
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ジョーも、
それ以上は言わない。
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分かっている。
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違うと。
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それでも。
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どこか、
引っかかる。
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「……どうかされました?」
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受付の女性が、
キョトンとしてる。
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ダンが、
前に出る。
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「三人だ」
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短く。
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「一泊」
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手続きを、
済ませる。
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鍵を受け取る。
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「朝食は日の出後になります」
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女性が、
言う。
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変わらない、
笑顔。
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三人は、
部屋へ向かう。
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二つに分かれる。
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ジョーとダン。
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リーネは、
一人。
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扉が、
閉まる。
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静かになる。
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ダンが、
椅子に腰を下ろす。
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「……浮つくなよ。明日は面会だ」
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短く。
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それだけ。
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ジョーは、
何も言わない。
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分かっている。
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明日は、
領主との面会。
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失敗は、
できない。
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ダンが、
続ける。
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「もう休め」
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「明日は早い」
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ジョーが、
小さく頷く。
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灯りが、
落ちる。
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一方。
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リーネの部屋。
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帽子を外す。
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ベッドに、
腰を下ろす。
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静かだ。
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今日のことを、
思い返す。
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そして。
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小さく、
こぼれる。
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「……アン、元気にしてるかな」
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返事は、
ない。
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夜が、
更けていく。




