第四章 第13話 調合薬
2日後の朝。
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道は、
続いている。
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岩山を横目に、
進む。
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その向こうは、
ドワーフ領。
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越えれば近い。
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だが。
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選ばない。
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迂回する。
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領主の町へ。
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風が、
乾いている。
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草が、
擦れる音。
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その時。
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道が、
詰まっている。
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荷車。
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商隊。
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止まっている。
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人が、
集まっている。
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呻き声。
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何人かが、
地面に崩れている。
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腹を、
押さえている。
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苦しそうだ。
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ダンが、
足を止める。
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「……様子がおかしいな」
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ジョーたちも、
近づく。
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商隊の男が、
顔を上げる。
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「た、頼む……!」
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息が、
荒い。
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「仲間が……急に……!」
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リーネが、
前に出る。
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しゃがむ。
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触れる。
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熱。
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汗。
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腹部。
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反応。
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目を細める。
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「……これ、食べたのは?」
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短く。
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男が、
鍋を指す。
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残り物。
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肉。
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リーネが、
それを取る。
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観察する。
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切る。
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断面。
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米粒ほどの、
白い点。
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リーネの目が、
揺れる。
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「……これ、サシじゃない……」
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一拍。
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「違う……」
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指で示す。
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「……寄生虫……!」
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空気が、
止まる。
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リーネが、
顔を上げる。
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「このままだと……!」
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声が、
震える。
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「お腹の中で増えちゃう……!」
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一拍。
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「すごく早く……!」
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息を飲む。
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「……最後は……」
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言葉を選ぶ。
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「体の中が壊れちゃう……!」
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沈黙。
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恐怖が、
広がる。
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リーネが、
立ち上がる。
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「急がないと……!」
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すぐに、
カバンを開く。
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草。
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オイル。
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潰す。
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混ぜる。
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練る。
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手が、
止まらない。
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「これ……飲ませて……!」
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一人に。
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「大丈夫……」
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また一人に。
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「今、効くから……!」
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トールが、
支える。
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ガルドが、
静かに補助する。
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ジョーが、
周囲を見る。
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足りない。
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すぐに分かる。
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リーネの手が、
止まる。
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「……センダンの皮が足りない……!」
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顔を上げる。
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ジョーたちを見る。
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「お願い……!」
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強く。
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「センダンの皮、取ってきて……!」
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ジョーが、
頷く。
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「行くぞ」
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三人が、
走る。
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森へ。
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木々の中。
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ジョーが、
立ち止まる。
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見渡す。
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分からない。
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同じに見える。
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トールが、
苛立つ。
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「……くそ、どれだよ……」
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ガルドが、
低く言う。
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「落ち着け」
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一歩、
前に出る。
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木を見上げる。
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「探せ」
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一拍。
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「薄紫の煙を纏ってるような花をつける木だ」
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ジョーが、
目を細める。
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煙。
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花。
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風。
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揺れる。
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霞む。
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「……あれか」
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短く。
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トールが、
反応する。
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「見えた……!」
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走る。
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木に、
手をかける。
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皮を、
剥ぐ。
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ガルドが、
横でまとめる。
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「急げ」
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短く。
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ジョーも、
手を貸す。
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無言。
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だが、
速い。
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「……これで足りるか」
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ジョー。
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ガルドが、
即答する。
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「足りなきゃ終わりだ」
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トールが、
吐き捨てる。
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「なら足りる分持ってく!」
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剥ぐ。
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集める。
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止まらない。
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「戻るぞ!」
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ジョー。
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三人が、
走り出す。
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戻る。
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リーネが、
まだ作業している。
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止まらない。
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センダンの皮を、
受け取る。
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すぐに、
潰す。
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混ぜる。
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濃くする。
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「……もう少し……!」
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飲ませる。
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一人。
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また一人。
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「大丈夫……」
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「大丈夫だから……!」
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時間が、
流れる。
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呻き声が、
弱くなる。
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呼吸が、
整う。
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腹を押さえる手が、
緩む。
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一人が、
顔を上げる。
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もう一人も。
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助かった。
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完全ではない。
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だが。
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命は、
繋がった。
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商隊の男が、
頭を下げる。
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「……助かった……!」
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震える声。
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リーネが、
その場に座り込む。
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力が、
抜ける。
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「……よかった……」
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小さく。
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ジョーが、
それを見る。
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何も言わない。
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だが。
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確かに、
分かっていた。
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リーネが、
守ったのだと。




