第四章 第2話 受け継ぐモノ
村。
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昼。
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音が、
増えている。
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木を運ぶ音。
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布を張る音。
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声。
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指示。
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「そこ、空けとけ」
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ダンの声。
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短い。
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「火の風が回る」
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迷いがない。
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男が、
すぐに動く。
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トールが、
小さく言う。
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「……仕切ってんな」
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リーネが、
それを見る。
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違和感。
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だが。
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自然だ。
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必要な動き。
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ジョーが、
口を開く。
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「……村長に、報告を」
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短く。
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ダンの動きが、
止まる。
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ほんの一瞬。
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沈黙。
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風が、
通る。
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ダンが、
言う。
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「……いない」
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それだけ。
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トールが、
顔を上げる。
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「……は?」
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ダンが、
続ける。
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「お前らを見送って」
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一拍。
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「二週間後だ」
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短く。
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「寿命だった」
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静かに、
落ちる。
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リーネが、
目を伏せる。
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思い出す。
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あの背中。
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アンが、
息を止める。
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トールが、
息を吐く。
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「……マジかよ」
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低く。
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言葉が、
続かない。
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ジョーも、
何も言わない。
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沈黙。
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アンが、
小さく言う。
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「……人が増えたのは?」
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視線が、
外へ向く。
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ダンが、
言う。
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「……隣も、やられてた」
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短く。
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「隣村の村長は、もっと前に……」
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言葉を濁す。
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一拍。
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「若かったのに……」
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静かに、
落とす。
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トールが、
目を伏せる。
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拳が、
わずかに、
握られる。
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ダンが、
続ける。
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「弔いだ」
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短く。
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「うちが、討った」
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一拍。
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「その礼だ」
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リーネが、
顔を上げる。
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「……合併?」
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ダンが、
頷く。
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「森も、泉も」
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「同じだ」
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短く。
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アンが、
小さく息を吐く。
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「……だからか」
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ダンが、
続ける。
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「領主に通した」
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「今は準備中だ」
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それだけ。
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周囲を見る。
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動く人。
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知らない顔。
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だが、
同じ動き。
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同じ手順。
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教えられている。
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受け継がれている。
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リーネが、
それを見る。
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胸の奥が、
少しだけ、
熱い。
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ダンを見る。
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さっきの指示。
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迷いのなさ。
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理由が、
分かる。
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「……ダン」
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小さく呼ぶ。
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ダンが、
視線を向ける。
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リーネが、
少しだけ、
言葉を探す。
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「……大変だったね」
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短く。
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ダンが、
一瞬だけ、
止まる。
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そして、
息を吐く。
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「……まぁな」
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それだけ。
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だが。
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それで、
十分だった。
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村。
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受け継がれたもの。
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失ったもの。
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そして。
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繋がっていくもの。




