第三章 最終話 帰路
工房。
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静けさ。
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一段落。
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視線が、
集まる。
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ガルドに。
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ガルドが、
口を開く。
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「……盗賊は」
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短く。
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「採掘場を押さえてた」
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「良い火魔石だけを抜いてた」
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「残りは、クズだ」
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間。
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「事故に見せかけて」
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「市場を操作するつもりだった」
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沈黙。
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「キャラバンも狙った」
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「外から入る石を止めるためだ」
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全てが、
繋がる。
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沈黙。
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トールが、
息を吐く。
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「……だからか」
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低く言う。
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「妙に手際が良かった」
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リゼが、
頷く。
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「採掘場の構造も、分かってた」
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アンが、
腕を組む。
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「最初から仕組まれてたってわけね」
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ハインツが、
短く言う。
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「腑に落ちた」
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グスタフが、
鼻を鳴らす。
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「クソみてぇなやり方だ」
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ロンが、
腕を組む。
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「だが、終わった」
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低く言う。
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「これで流れは戻る」
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グスタフが、
視線を向ける。
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「……お前も動いてたんだろ」
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ロンが、
小さく笑う。
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「まぁな」
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間。
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何かを察した、
アンが言う。
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「……どういう関係?」
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ロンが、
肩をすくめる。
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「グスタフとは異父兄弟」
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短く。
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「ダンとは異母兄弟だ」
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一拍。
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「親父はグスタフと同じで」
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「お袋はダンと同じだ」
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小さく笑う。
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「グスタフの半分と、ダンの半分が俺ってわけだ」
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一同、
唖然。
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さらに小さく。
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「……面倒だろ?」
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グスタフが、
鼻を鳴らす。
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「面倒な血だ」
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アンが、
小さく言う。
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「……血って、ややこしいね」
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一拍。
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「……でも、素敵」
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とても柔らかく、
笑う。
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空気が、
わずかに揺れる。
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一息。
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グスタフが、
立ち上がる。
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「報酬だ」
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短く言う。
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奥から、
武器を持ってくる。
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まず。
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ガルドへ。
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一振りの剣。
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重く、
無駄がない。
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「これが、お前の望んでたやつだ」
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ガルドが、
受け取る。
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短く頷く。
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次に、
トールとハインツ。
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同じ型の剣。
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「前に出るやつには、同じもんだ」
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トールが、
笑う。
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「気が利くじゃねぇか」
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ハインツは、
無言で受け取る。
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リゼへ。
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短剣。
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二振り。
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「斥候は軽さだ」
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リゼが、
静かに頷く。
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アンへ。
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連弩。
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引き絞る音。
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「遠距離はこれでいい」
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アンが、
目を細める。
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「いいね、これ」
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リーネたちへ。
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グスタフが、
言う。
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「魔法用の武器はねぇ」
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だが、
続ける。
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「杖の拡張は作ってやる」
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「後で来い」
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リーネが、
頷く。
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そして。
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ジョーへ。
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グスタフが、
見る。
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「お前はどうする」
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短く言う。
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ジョーが、
少し考える。
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そして。
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「……ナイフ」
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間。
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「背中が鋸になってるやつ」
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グスタフが、
ニヤリと笑う。
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「面白ぇ」
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短く言う。
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「作ってやる」
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一息。
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ジョーが、
言う。
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「俺からも」
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全員の視線。
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ジョーが、
出す。
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大きな、
筒。
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管が、
伸びている。
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背負う形。
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「水鉄砲を大きくした」
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短く。
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「水でも使える」
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一拍。
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「できるなら、スライム液がいい」
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グスタフが、
目を細める。
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「……消すための道具か」
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ジョーが、
頷く。
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「暴発する前に、抑える」
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ドワーフたちが、
見る。
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理解する。
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一人が、
言う。
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「……使えるな」
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空気が、
変わる。
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―――
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工房の外。
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風。
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少し軽い。
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ハインツが、
口を開く。
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「俺たちはここまでだ」
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短く。
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トールが、
少し笑う。
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「名残惜しいけどよ……」
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「また村にも来てくれよな」
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ハインツが、
鼻で笑う。
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「気が向いたらな」
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リゼが、
アンを見る。
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「そっちも元気で」
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アンが、
口元を緩める。
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「村に来たら……びっくりさせてあげるよ」
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含みのある笑み。
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リゼが、
眉を上げる。
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「……何それ」
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アンは、
答えない。
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ディーターが、
静かに言う。
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「私は工房に残る」
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「杖の拡張を見届けたい」
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リーネが、
小さく頭を下げる。
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「お願いします」
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ロンが、
頷く。
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「出来たら俺が届ける」
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「リーネの分もな」
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ハインツが、
背を向ける。
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リゼが、
手を振る。
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二人は、
去っていく。
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残る者と、
去る者。
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道が、
分かれる。
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リーネが、
前を見る。
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帰る場所。
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仲間がいる。
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一人ではない。
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その事実が、
静かに残っていた。




