第三章 第18話 教訓
採掘場は、
取り戻された。
---
盗賊団は、
壊滅。
---
残ったのは、
静寂と、
焦げた匂い。
---
―――
---
グスタフの工房。
---
ドワーフたちが、
集まっている。
---
酒。
---
並んでいる。
---
だが。
---
誰も、
手をつけない。
---
入口。
---
足音。
---
ロンが、
入ってくる。
---
周囲を見回す。
---
「……終わったか」
---
低く言う。
---
グスタフが、
頷く。
---
「片はついた」
---
ロンが、
静かに頷く。
---
場の空気を、
感じ取る。
---
リーネが、
前に出る。
---
静かに言う。
---
「……やめよう」
---
短く。
---
アンが、
続く。
---
「飲みながらの作業」
---
「危ないって、分かるでしょ?」
---
ドワーフたちが、
顔をしかめる。
---
一人が、
ぼそりと言う。
---
「今まで問題なかった」
---
空気が、
揺れる。
---
その時。
---
ハインツが、
動く。
---
無言で、
鎧に手をかける。
---
外す。
---
背中を、
見せる。
---
大きな、
傷跡。
---
焼けただれた、
痕。
---
工房が、
静まり返る。
---
ハインツが、
低く言う。
---
「この背中は」
---
「酒での失敗だ」
---
誰も、
動かない。
---
ハインツは、
続ける。
---
「お前らの酒での失敗は」
---
視線を、
向ける。
---
「仲間が腕を失った」
---
沈黙。
---
さらに低く。
---
「もう」
---
「鍛冶がしたくても、できねぇ」
---
ドワーフたちが、
俯く。
---
ハインツが、
言う。
---
「それでも」
---
「飲みながら鍛冶すんのか?」
---
重い。
---
誰も、
答えない。
---
ハインツが、
鎧を拾う。
---
「飲むなとは言わねぇ」
---
「飲むなら打つな」
---
「打つなら飲むな、だ」
---
沈黙。
---
長く。
---
ロンが、
腕を組む。
---
小さく言う。
---
「……外の連中も同じだ」
---
「酒で判断を誤れば、死ぬ」
---
短く。
---
重い言葉。
---
やがて。
---
一人が、
酒を遠ざける。
---
また一人。
---
また一人。
---
空気が、
変わる。
---
―――
---
ジョーが、
前に出る。
---
「次だ」
---
短く言う。
---
火魔石。
---
置かれる。
---
グスタフが、
横に並ぶ。
---
小さな、
模型。
---
壁。
---
距離。
---
配置。
---
精巧に、
作られている。
---
ジョーが、
指す。
---
「離隔距離」
---
短く。
---
「火を近づけるな」
---
間を、
取る。
---
「これだけ離せ」
---
壁を、
指す。
---
「防火壁」
---
「間に挟め」
---
グスタフが、
頷く。
---
「熱は遮れる」
---
ドワーフたちが、
前に出る。
---
模型を、
見る。
---
触れる。
---
理解する。
---
ロンが、
模型を見る。
---
頷く。
---
「理にかなってる」
---
ドワーフたちに向けて、
言う。
---
「外でも通じるやり方だ」
---
ジョーが、
続ける。
---
「扱いを間違えれば」
---
短く。
---
「全部吹き飛ぶ」
---
沈黙。
---
だが。
---
今度は、
違う。
---
恐れではなく、
理解。
---
一人が、
言う。
---
「……やり方を変える」
---
別の者が、
続く。
---
「もう、同じことはしねぇ」
---
グスタフが、
小さく笑う。
---
「それでいい」
---
短く言う。
---
火魔石は、
危険だ。
---
だが。
---
扱いを知れば、
力になる。
---
静かに、
意識が変わっていく。




