第二章 第12話 水の中
冷たい。
---
暗い。
---
音が、
消える。
---
沈んでいく、
ジョー。
---
水が、
触れる。
---
弾く。
---
だが。
---
圧は、
消えない。
---
重い。
---
息が、
削られる。
---
視界が、
揺れる。
---
上は、
遠い。
---
下は、
見えない。
---
ただ。
---
暗い。
---
深い。
---
手を、
動かす。
---
探る。
---
何かを。
---
触れる。
---
違う。
---
石。
---
砂。
---
また、
動く。
---
沈む。
---
その時。
---
光。
---
わずかに。
---
揺れている。
---
遠い。
---
だが、
確かに。
---
息が、
限界に近づく。
---
肺が、
軋む。
---
視界が、
狭まる。
---
ジョーの手が、
止まる。
---
縄が、
張る。
---
引かれる。
---
一気に。
---
上へ。
---
水面。
---
割れる。
---
空気。
---
吸う。
---
咳き込む。
---
トールが、
縄を握る。
---
「無茶すんな……!」
---
低く言う。
---
ジョーは、
息を整える。
---
荒い呼吸。
---
短く、
吐く。
---
「……見えた」
---
それだけ言う。
---
ダンが、
目を細める。
---
「どこだ」
---
短く言う。
---
ジョーが、
指で示す。
---
「この下だ」
---
それだけだった。
---
五分。
---
短い休息。
---
誰も、
無駄口は叩かない。
---
ジョーが、
立つ。
---
ダンを見る。
---
「細い縄を用意しろ」
---
短く言う。
---
「印をつける」
---
ダンは、
すぐに動く。
---
無言で、
渡す。
---
細い。
---
だが、
強い。
---
ジョーが、
受け取る。
---
再び。
---
水面へ。
---
沈む。
---
二度目。
---
冷たい。
---
暗い。
---
だが、
迷わない。
---
進む。
---
先ほどの場所へ。
---
光。
---
そこにある。
---
祠。
---
辿り着く。
---
息が、
削られる。
---
急ぐ。
---
縄を、
巻き付ける。
---
固定する。
---
だが。
---
肺が、
悲鳴を上げる。
---
限界。
---
縄が、
張る。
---
引かれる。
---
再び。
---
上へ。
---
水面。
---
割れる。
---
空気。
---
吸う。
---
強く。
---
何度も。
---
トールが、
息を吐く。
---
「……生き急ぎすぎだろ」
---
小さく言う。
---
ジョーは、
何も返さない。
---
ただ、
呼吸を整える。
---
視線は、
泉。
---
三度目。
---
沈む。
---
縄を、
辿る。
---
迷わない。
---
一直線。
---
すぐに、
届く。
---
祠。
---
掴む。
---
力を、
込める。
---
泥が、
抵抗する。
---
引く。
---
びくともしない。
---
さらに、
力を込める。
---
歪む。
---
泥が、
崩れる。
---
外れる。
---
その瞬間。
---
揺れる。
---
周囲が。
---
ざわつく。
---
集まる。
---
小さな、
塊。
---
スライム。
---
寄ってくる。
---
時間が、
無い。
---
引く。
---
全力で。
---
縄が、
張る。
---
上へ。
---
引かれる。
---
一気に。
---
肺が、
焼ける。
---
視界が、
白くなる。
---
だが。
---
離さない。
---
祠を、
握る。
---
光。
---
近づく。
---
水面。
---
割れる。
---
空気。
---
吸う。
---
咳き込む。
---
体が、
震える。
---
だが。
---
手は、
離さない。
---
祠を、
持っている。
---
周囲が、
静かになる。
---
炎が、
弱まる。
---
水面が、
落ち着く。
---
揺れが、
消える。
---
トールが、
息を吐く。
---
「……止まった」
---
小さく、
言う。
---
ダンが、
祠を見る。
---
何も言わない。
---
だが。
---
その目は、
離さない。
---
泉は、
静かだった。




