第二章 第2話 慣れ
森の中。
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空気が、
違う。
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湿り気が、
肌にまとわりつく。
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足元の感触も、
変わっていた。
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柔らかい。
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沈む。
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「……いるな」
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トールが、
小さく言う。
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草が揺れる。
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一つ。
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現れる。
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透明な塊。
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「任せとけ」
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軽く言う。
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踏み込む。
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剣を振る。
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斬る。
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崩れる。
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一瞬だった。
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「……こんなもんだ」
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振り返る。
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ジョーは、
何も言わない。
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ただ、
見ている。
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しばらく進む。
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二度目。
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同じ。
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斬る。
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崩れる。
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問題ない。
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だが。
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三度目。
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剣が、
わずかに止まる。
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「……?」
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切り抜ける。
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崩れる。
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だが、
違和感が残る。
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刃先に、
何かが絡む。
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粘る。
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ぬるい。
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トールが、
剣を振る。
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払う。
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完全には取れない。
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そのまま進む。
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四度目。
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同時に、
揺れる。
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二つ。
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トールが動く。
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踏み込む。
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振る。
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だが、
鈍い。
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「……っ!」
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一体は斬る。
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崩れる。
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だが、
もう一体。
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間に合わない。
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トールが、
舌打ちする。
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そして、
剣を投げた。
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「使え!」
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短い声。
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ジョーが、
受け取る。
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重い。
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だが、
迷わない。
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踏み込む。
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そのまま、
振る。
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斬る。
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だが。
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浅い。
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刃が、
滑る。
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切れない。
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「……!」
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違和感。
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その瞬間。
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トールが叫ぶ。
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「拭け!」
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ジョーが、
一瞬だけ止まる。
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刃を見る。
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付着している。
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粘る体液。
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「……なるほどね」
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理解する。
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だが。
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その直後。
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横から、
衝撃。
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スライムの体当たり。
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体勢が崩れる。
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そのまま、
倒れる。
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背中を打つ。
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視界が揺れる。
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そのまま、
スライムが迫る。
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跳ねる。
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一直線に。
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ジョーの持つ剣へ。
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まるで、
吸い寄せられるように。
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突っ込む。
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刺さる。
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刃に絡みつく。
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「……っ!」
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ジョーが、
歯を食いしばる。
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そのまま、
剣を握る。
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持ち上げる。
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重い。
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だが、
離さない。
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そのまま。
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振る。
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叩きつける。
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地面へ。
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上下に。
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左右に。
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何度も。
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無理やり、
形を崩す。
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潰す。
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裂ける。
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崩れる。
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消えた。
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静寂。
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ジョーは、
その場で止まる。
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動かない。
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息が、
荒い。
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肩が、
上下する。
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トールが、
見ている。
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やがて、
小さく言う。
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「……悪い」
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ジョーは、
首を振る。
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「……いや」
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短く。
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「分かった」
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それだけだった。
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その場に座る。
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剣を地面に置く。
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呼吸を整える。
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しばらく、
何も言わない。
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やがて、
立ち上がる。
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トールが、
剣を拾う。
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軽く拭う。
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今度は、
忘れない。
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二人は、
歩き出す。
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森の奥へ。
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少し進むと、
空気が変わる。
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湿り気が、
さらに増す。
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水の気配。
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前方が、
開ける。
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木々の隙間。
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光が差す。
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二人の足が、
止まる。
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その先に。
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泉が、
目の前に開けた。




