表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/108

第一章 第4話 残り火

足音が近づいてくる。


---


草を踏み分ける音。


---


「持ってきた!」


---


トールだった。


---


両手で抱えるように、水の入った容器を持っている。


---


息は上がっていない。


---


ジョーは、それを一瞥した。


---


「そこ置け」


---


短く言う。


---


トールは、言われた通りに置いた。


---


ジョーはしゃがむ。


---


焦げた地面に手をかざす。


---


熱が、まだ残っている。


---


「……やっぱりな」


---


小さく呟く。


---


表面は消えている。


---


だが、


中は違う。


---


「……そこ、踏むな」


---


近寄ろうとした、トールの足が止まる。


---


「まだ熱、残ってる」


---


足元を指す。


---


焦げた地面。


---


黒くなった草。


---


見た目は消えている。


---


だが、中は違う。


---


土の隙間から、まだ煙が出ている。


---


「……燃え直すぞ」


---


短く言う。


---


トールが、ゆっくりと足を引いた。


---


ガルドが、眉をひそめる。


---


何も言わない。


---


だが、


視線は鋭い。


---


その辺の枝で、地面に小さく穴を開ける。


---


数秒のうちに、火が顔を出した。


---


トールの目が見開かれる。


---


「……わかった」


---


短く頷く。


---


ジョーは、まず土をかける。


---


覆うように。


---


押さえ込むように。


---


煙が、一瞬だけ強くなる。


---


だが、


すぐに弱まる。


---


「……ここだ」


---


一点を指す。


---


そこから、まだ細く煙が出ている。


---


「そこに水」


---


トールが、水をかける。


---


じゅ、と音がして――


---


泥となった部分が、ほんの少し跳ねた。


---


蒸気が立ち上る。


---


ジョーは目を細める。


---


「一気にかけるな」


---


トールが手を止める。


---


「少しずつだ」


---


慎重に。


---


確実に。


---


煙が、完全に消えるまで。


---


繰り返す。


---


やがて。


---


煙は、止まった。


---


ジョーは、もう一度手をかざす。


---


もう、触れられる。


---


「……よし」


---


短く言った。


---


立ち上がる。


---


トールが、ポツリと言う。


---


「……すげぇな」


---


素直な感想だった。


---


ガルドは、腕を組んだまま黙っている。


---


だが、


さっきとは違う目で見ていた。


---


やがて、頭を掻きむしる。


---


リーネは、一歩近づく。


---


「……ねぇ」


---


ジョーを見る。


---


「なんで分かるの?」


---


純粋な疑問だった。


---


ジョーは、少しだけ間を置いた。


---


答えは、簡単だ。


---


だが、


ここでは通じない。


---


「……役目だからだ」


---


それだけ言った。


---


三人の反応は、それぞれ違った。


---


トールは納得した顔をする。


---


リーネは、さらに興味を持つ。


---


ガルドは、まだ言葉を探している。


---


だが、


否定はしなかった。


---


風が吹く。


---


もう、


煙の匂いはしなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ