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序章11 山林火災

 初冬だった。


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 空気が乾いている。


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 風が強い。


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 嫌な条件が揃っていた。


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「山火事だ!○○山、延焼中!」


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 スマホに連絡が来る。


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 間違いなく、広がる火。


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 詰所に着いたら2人、出動する所だった。


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「行くぞ!」


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 消防車が走る。


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 山に入る。


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 煙は、すぐに見えた。


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 黒い。


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 風に流されて、形を変える。


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 近い。


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「急げ!」


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 車を降りる。


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 足場が悪い。


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 枯葉。


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 枝。


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 斜面。


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 踏み外せば終わる。


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 だが、


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 そんなことを考える余裕はない。


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 火は、もう見えている。


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 走っている。


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 横に。


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 上に。


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 広がっている。


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「風、変わったぞ!」


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 誰かが叫ぶ。


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 一瞬だった。


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 火の向きが変わる。


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 流れが変わる。


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 回り込まれる。


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「ジョー下がれ!」


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 声が飛ぶ。


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 だが――


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 遅い。


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 煙を吸う。


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「っ……!」


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 咳が出る。


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 止まらない。


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 息が出来ない。


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 目が開かない。


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 視界が潰れる。


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 どこだ。


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 どっちだ。


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 分からない。


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 熱が来る。


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 近い。


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 囲まれている。


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 逃げ場がない。


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 終わる。


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 そう分かった。


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 足が止まる。


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 動かない。


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 動けない。


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 熱が、来る。


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 火が防火衣に触れる。


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 その瞬間――


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 音が、消えた。


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 風も、


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 火も、


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 全部、消えた。


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 熱だけが残る。


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 そして――


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 何もなくなった。

あとがき


序章、ここまで読んでくれてありがとうございます。


この話は、自分が実際に経験してきた現場や知識をベースに書いています。

なので、専門用語や動きなんかも、できるだけリアルに寄せています。


第7話のクローゼットと箪笥の言い違いも、その一つです。

特に説明は入れませんでしたが、そんな現場もあるんだな、くらいで受け取ってもらえればと思います。


ここからは異世界に舞台が移りますが、やることは変わりません。

火と向き合う、それだけの話です。


出来るだけ早目に一章を練り込み、投稿していきますので、よければ、この先も付き合ってもらえたら嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
ここまで読ませていただきました!感想失礼します! 不穏な雰囲気の描き方が上手ですね、そして理不尽に命を奪う火事の恐ろしさ、主人公の成長もよく伝わってきました。創作の参考にさせていただきます! 異世界編…
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