表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
103/118

第六章 第5話 備えの形

朝。


---


空気は、


冷たい。


---


吐いた息が、


白く流れる。


---


ジョー達は、


泉へ向かっていた。


---


先頭を歩くのは、


ダン。


---


その後ろに、


ジョー。


---


そして、


モンテール自警団長ハイン。


---


森を抜け、


やがて。


---


水の流れる音が聞こえた。


---


泉。


---


そして。


---


掘り進められた、


用水路。


---


「……思ったより進んでるな」


---


ジョーが、


小さく呟く。


---


ハインが、


少し口元を上げた。


---


「モンテール側は、もう少しで繋がる」


---


誇るように。


---


水路沿いでは、


数人の男達が土を運んでいた。


---


その中に、


人間より頭一つ小さい影が混ざっている。


---


丸い耳。


---


土に汚れた手。


---


ずんぐりとした体。


---


ノーム。


---


一人のノームが、


地面に耳を当てていた。


---


そして、


ゆっくり立ち上がる。


---


「……水の流れは悪くない」


---


低い声。


---


「だが、少し固めが甘い」


---


一拍。


---


「土がまだ言う事聞かない」


---


ハインが、


眉を寄せた。


---


「崩れるってのか?」


---


ノームは、


肩をすくめる。


---


「この進捗だと……補強が必要だな」


---


「やらなきゃ、最初は暴れるぞ」


---


水路を見る。


---


まだ、


掘り返したばかりの土。


---


踏み固められてはいる。


---


だが。


---


どこか、


脆さが残っていた。


---


ダンが、


静かに息を吐く。


---


「……だから焦るなって言ったんだ」


---


ハインが、


口を閉じる。


---


ジョーは、


黙って水路を見ていた。


---


流れる水。


---


湿り始めた土。


---


その時。


---


ジョーが、


小さく呟く。


---


「……ベルンハルト呼ぶか」


---


ダンが、


視線を向けた。


---


ジョーは、


続ける。


---


「鍛冶だけじゃない」


---


「アイツ、建築も出来る」


---


一拍。


---


「石も木も知ってるドワーフだ」


---


「補強なら、ノームとも相性いいだろ」


---


ノームが、


少しだけ目を細めた。


---


「石を分かるドワーフか」


---


短く。


---


「なら、話は早い」


---


その時。


---


別の場所から、


木を打つ音が響いた。


---


待機所。


---


まだ骨組みだけの建物。


---


以前より、


明らかに広くなっている。


---


「最初の予定より、二回りは大きいな」


---


ジョーが、


見上げながら言う。


---


ダンが、


頷いた。


---


「人数が増えた」


---


「馬も入るし」


---


「水桶も置く」


---


一拍。


---


「狭いと、いざって時に動けなくなる」


---


その言葉に、


ジョーは小さく頷いた。


---


人が詰まる場所は、


危険になる。


---


だからこそ。


---


動ける空間が必要だった。


---


その時。


---


ガルドが、


建物の柱を軽く叩いた。


---


「こっちは問題ない」


---


短く。


---


「問題は時間だ」


---


自警団全員分。


---


残り、二十四頭。


---


少し前、森。


---


さらに奥。


---


冷たい風が、


木々を揺らしていた。


---


ガルド。


---


そして、


獣人の女奴隷。


---


静かに、


森を進む。


---


足音は、


ほとんど無い。


---


獣道。


---


地面の跡。


---


折れた枝。


---


獣人の女が、


しゃがみ込む。


---


「近い」


---


短く。


---


ガルドが、


頷く。


---


少し先。


---


茂みの向こうで、


馬が草を食んでいた。


---


野生馬が二匹。


---


人を警戒し、


耳を動かしている。


---


ガルドが、


片手を軽く上げる。


---


獣人の女も、


静かに動きを止める。


---


小さく。


---


「彼らは、人を深く知らない……」


---


風。


---


流れ。


---


匂い。


---


獣人の女が、


静かに位置を変える。


---


逃げ道を、


塞ぐように。


---


そして。


---


獣人の女が、


ゆっくり前へ出る。


---


焦らず。


---


静かに。


---


少しずつ、


距離を詰めていく。


---


馬は、


耳を動かす。


---


だが。


---


逃げない。


---


そして。


---


そっと首筋へ手を伸ばす。


---


「……怖くないよ」


---


優しく。


---


指先が、


毛並みを撫でる。


---


野生馬が、


短く鼻を鳴らした。


---


その隙に。


---


ガルドが、


静かに縄を掛ける。


---


縄が締まり、


馬が、


(いなな)く。


---


だが。


---


暴れない。


---


やがて。


---


二匹は、


大人しく鼻を鳴らした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ