表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/108

第六章 第4話 備えあれば……

ダンの家。


……もとい。


併設した自警団待機所に、


人が集まっている。



---


クベルハイム。



---


そして、


隣村モンテールの面々。



---


合併を控えた、


二つの村の自警団。



---


机を挟み、


向かい合う。



---


外では、


冷たい風が鳴っていた。



---


初冬。



---


村人達は、


まだ冬支度を終えていない。



---


薪。



---


炭。



---


保存食。



---


火を使う仕事も、


増えていた。



---


部屋の中央。



---


ダンが、


炭を手に取り、


机に線を引く。



---


「……ここが泉で」



---


短く。



---


さらに、


線を書き込む。



---


「こっちがクベルハイム」



---


反対側。



---


「森を挟んで、モンテール」



---


炭の線。



---


簡素な地図。



---


その時、


装備の整った男が身を乗り出した。



---


腰の剣。



---


革鎧。



---


年は、


ジョー達とそう変わらない。



---


だが。



---


胸を張る姿には、


強い自負が見えた。



---


「モンテール自警団長、ハインだ」



---


短く。



---


「モンテール側には、泉からの用水路を着工中だ」



---


少し、


誇るように。



---


炭の線を、


指でなぞる。



---


「次はクベルハイム側だ」



---


「合併するなら、水を使いやすくしないと」



---


数人が、


頷く。



---


実際、


間違ってはいない。



---


冬は、


水汲みも重労働になる。



---


火を使うなら、


水も必要だ。



---


ハインは、


さらに続けた。



---


「泉の待機所も建て始めてる」



---


一拍。



---


「水汲み桶の保管場所にも使える」



---


「見回りの拠点にもなる」



---


だが。



---


ダンが、


低く口を開いた。



---


「大きさは?」



---


静かに。



---


「村人も増える」



---


「自警団も増える」



---


その時。



---


モンテール側の男が、


口を開いた。



---


「徒歩じゃ限界になるな」



---


低い声。



---


「範囲も広くなるしな」



---


部屋の空気が、


少し変わる。



---


それは、


全員が感じていた事だった。



---


領地は広がった。



---


人口も増えた。



---


自警団の人数も、


増えてはいる。



---


だが。



---


村人総数に対する、


一人頭の負担は増えている。



---


夜警。



---


見回り。



---


火の確認。



---


森。



---


泉。



---


全部を、


徒歩だけで回るには限界がある。



---


ダンが、


短く言った。



---


「待機所を大きくし、厩も併設だな……」



---


一拍。



---


「巡回を、手間取らない方向へ……」



---


そこで、


ガルドが口を開いた。



---


「馬は増やそう」



---


短く。



---


全員の視線が向く。



---


ガルドは、


続けた。



---


「森や山で捕まえる」



---


一拍。



---


「人に慣らす」



---


短い言葉。



---


だが、


現実的だった。



---


その横。



---


獣人の女性が、


静かに頷く。



---


森。



---


獣。



---


その扱いは、


彼女達の方が慣れている。



---


ダンが、


腕を組む。



---


「出来るのか」



---


ガルドは、


即答した。



---


「任せろ」



---


短く。



---


その言葉に、


無駄は無かった。



---


沈黙。



---


モンテール側の男が、


小さく息を吐く。



---


「建て直しか……」



---


少し考え、



---


「いや」



---


「増築、だな」



---


ダンが、


静かに頷いた。



---


「小さいと何かと面倒だからな」



---


短く。



---


「動線も変わる」



---


「水桶置き場も増やす」



---


「仮眠場所も必要だ」



---


一拍。



---


「中途半端に建てるなよ」



---


静かな声。



---


だが、


重い。



---


一方。



---


ハインが、


小さく鼻を鳴らす。



---


「まぁ、見回りはちゃんとやってる」



---


軽く。



---


「さっきも小火を見つけて消したばかりだ」



---


誇るように。



---


「やるべき事は、ちゃんとやってる」



---


一拍。



---


「村人は炭を作る」



---


「冬を越える準備もしてる」



---


「俺達は、それを見て回る」



---


モンテール側の数人が、


頷いた。



---


ジョーは、


小さく視線を落とす。



---


火を、


知らない訳じゃない。



---


ただ。



---


向き合い方が違う。



---


そして。



---


火は、


そんなのお構いなしだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ