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『億り人だった私、老後資金が底をつく前に異世界を救います』 〜今日も散財して召喚しまくってます〜  作者: talina
第九章

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第92話 継承される理

 光が、世界を包み込んでいた。


 それは破壊ではない。


 創造でもない。


 “再定義”。


 理そのものが、書き換えられている。



 ひかりは、目を細めた。


「……すごい……」


 空が、繋ぎ直されていく。


 歪んでいた魔力の流れが、滑らかに整っていく。


 壊れかけていた世界が——


 “呼吸”を取り戻していた。


 再構築は始まった。


 だが、それは“完全”ではない。


 どこか——揺らいでいる。


 ひよりが、不安そうに呟く。


「……つむぎちゃん……大丈夫かな……」


 答えは、返らない。


 光の中心。


 そこにはもう、姿は見えない。


 その時、ひかり達の目の前の空間が揺らいだ。


 ——ギィン。


 異質な音が、空間を裂いた。


 その場の全員が警戒した。


 そこに現れたのは——


 無機質な面頬。


 黒き甲冑。


 夜を纏う騎士。


 黒騎士アークレイン。


 ひかりが目を丸くする。


「……黒崎本部長……」


「その名で呼ぶな」


 そして——


 その背後。


 ふわりと、光が揺れる。


 次の瞬間。


 一人の青年が、姿を現した。


 白いローブ。


 長い杖。


 鋭い瞳。


 ひかりがその名を、震える声で呼んだ。


「グラン……?」


 青年は、わずかに笑った。


 至高位大魔導師グラン。


 若き日の分霊体。


 ヴァルドが、眉をひそめる。


「……何しに来た」


 青年は、肩をすくめた。


「さあね」


 ひかりが、呟く。


「邪魔はしないでよ?」


 グランは、さらりと答えた。


「邪魔はしないさ……今回はね」


 空気が、わずかに緩む。


 だが——


 その目は、すぐに鋭さを取り戻した。


「……状況は把握している」


 視線が、光の中心へ向く。


「つむぎと、リリアスが接続したか」


 ひよりが、食い入るように聞く。


「大丈夫なの!?」


 若いグランは、わずかに沈黙した。


 そして——答える。


「五分だな」


 空気が、凍る。


「成功すれば、世界は安定する」


「失敗すれば—— 両者とも、消える」


 ひよりの顔が、青ざめる。


「……そんな……」


 グランの目が、細くなる。


「いずれにしろ、今、この世界で最も重要な儀式が行われている」


 光の中心。


 つむぎとリリアス。


 ひかりが、拳を握る。


「……大丈夫だよね……」


 ぽにゃが、小さく鳴く。


「ワン……」


 ひよりが、涙を拭う。


「……絶対、大丈夫」


 自分に言い聞かせるように。


「つむぎちゃんは……戻ってくる」


 その時。


 光が——変わった。


 揺らぎが、収束していく。


 暴れていた魔力が、静かに整っていく。


 分霊体のグランが、目を見開く。


「……来るぞ」


 次の瞬間——


 光の中から、“二つの影”が浮かび上がった。


 一つは——紅。


 一つは——蒼。


 ゆっくりと。


 ゆっくりと——


 その輪郭が、戻ってくる。


 世界が、息を呑んだ再構築の結末が——


 今、明らかになろうとしていた。

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