遊ぼうぜ④
あれ?これって訓練なんだよな…?なんでこんなこと…
疑問に足を止めた瞬間、また鳴り響いた銃声とともに足元に銃弾が落ちていた。楽人の右足のかかとの方に落ちる銃弾を見た瞬間、楽人は弾かれるように体を右に回し、右後ろに向かって走り出した。
「音からすると…」
そう言って立ち止まると、また銃声。今度は弾は左足の爪先の近くに落ちた。楽人はそれを見て、左前へ走り出す。走っては止まり、銃声、走っては止まり、銃声を繰り返したあと、何度目かに止まったとき、カチャリ、と音がした。
その瞬間、銃声とともに左の肩甲骨の少し上に衝撃が走った。
「うぐっ!」
思わず声を出し、涙目になりながら、楽人は左上を振り向いた。すると…やはりいた。中山がちょうどこちらに、拳銃を構えているところだった。
楽人は中山を指差し、大声で叫んだ。
「中山さん、見つけた!」
「せいかーい!」
ハクが声とともに頭上から降ってきて、楽人の肩に飛び乗った。楽人は近くの木にもたれかかり、ずるずるとそのまま腰をおろし、樹冠に覆われた空を見上げた。
「どうして俺の位置がわかった。」
樹上から降りて楽人たちのもとに来た中山が、独り言のように楽人に質問した。
「え、だってわざとわかりやすく、僕に方角を知らせる位置に弾を撃ってくれてたでしょ?」
こともなげに説明する楽人に、中山は右眉だけを上げて更に訊いた。
「俺が外しただけって可能性もあっただろ。」
「弾が偶然何発も自分の足の近くに落ちて、しかも明らかにその方向から来てたら誰が見ても方角を示してる弾だって気がつくよ。それに…」
「それに?」
「ただかくれんぼするだけじゃトレーニングにならないでしょ。だから多分走らせることで体力を鍛えつつ、戦いの中からヒントを探す力も鍛えるんじゃないかな~って思ったんだ…まあこれはただの勘だったけどね。」
中山は黙ってしゃがみ込んだ楽人の肩に乗ったハクを見つめた。ハクはにこにこと笑い、
「楽人はどうかみゃ?」とだけ嬉しそうに中山に問うた。
中山は静かにああ、とだけ言って、もう一度しゃがみ込む楽人を見た。
「さあ、次の遊びだ…日が沈む前にたくさん遊ばなきゃな…」
ええー、と楽人は言いかけて…やめた。目的意識、という言葉が頭をよぎった。何のための時間か。楽人は黙って立ち上がった。




