ハクとの生活④
ハクの勉強の見方は少し変わっていた。
楽人に答えを教えたり、誤りを正したりするいわゆる「教える」ではなく、ひたすら
「どう考えてそう思うみゃ?」
「他に答えるとしたらどういうのがあるみゃ?」
「次にこういう問題が出たらなんて答えるみゃ?」
と聞くばかりだった。
楽人はそんなハクにしびれをきらして質問した。
「あのー…ハク。さっきから僕の答えって結局合ってるの?間違ってるの…?」
「うーん、そうだね…合ってるのも違うのもあるけど…それより何ていうか…楽人がどう考えるかを見てるって感じみゃ…」
「なにそれ…」
楽人はため息をついて仕方なく教科書のページをめくった。
5教科の勉強を一通り終えて楽人の疲労がピークを迎えた時、ハクは言った。
「楽人は考えたりひらめいたりするのが得意そうみゃ。知識が追いついてないから学校の勉強は少しずつ苦手に感じているかもだけど…覚えるコツを掴むと良さそうでみゃ。」
「ありがとう…ハク…」
肉体も頭も酷使した楽人は、半ば魂が抜けたような状態になりながらハクに礼を言った。
「楽人は、勉強が嫌いかみゃ?」
少し困ったような顔でハクは楽人に訊いた。ハクの様子が気になりつつ、楽人は答えた。
「うーん…嫌い…ではないと思うなあ。」
実際、楽人は中学受験で地元のそれなりの中学に合格するくらいではある。小学校ではもちろんトップの方の成績だった。確かに中学に入ってから小学校のときほど勉強がスムーズに理解できている訳ではない。優秀な兄と比較してしまう部分もある。しかし、勉強で少しずつ知らなかったことを理解できている感覚や解けなかった問題を溶けるようになった瞬間は、確実に楽しさを感じていた。
「うん、嫌いじゃない…と思う。」
改めて答える楽人に、ハクは表情を明るくした。
「それはよかった!じゃあそろそろ寝ようみゃ。」
楽人がふと時計を見ると、時刻は0時を回っていた。
「げ!」
楽人は入念に目覚まし時計をセットし、ベッドに入った。




