ハクとの生活②
「今から僕が楽人に攻撃するから、楽人は僕の攻撃を交わしたり防いだりして、僕に攻撃してみてみゃ。」
「え、で、出来ないよそんなの…痛いじゃん…」
「大丈夫みゃ、さっき防御の術を使ったから、遠慮なくびしっ!とやっちゃって!」
「そ、そう言われても…」
戸惑う楽人を尻目に、ハクは「みゃ~」と言いながら茂みに入っていった。
静まり返った森の中で、ハクが動くガサガサという音だけがわずかに聞こえる。
楽人は右手に枝を携え、どこから来られてもいいように空き地の真ん中で構えた。
完全に音が消えた次の瞬間、がさっ!という大きな音がなった。
慌てて辺りを見回した楽人だがハクの姿は見えない。
次の瞬間、肩に衝撃を感じた。
「惜しいみゃ~、上みゃ。えい!」
楽人の頬に猫パンチをしたハクは、素早く楽人の肩から飛び降りて楽人と対峙した。
「行くみゃ!」と言いながらすぐに楽人の顔面めがけて飛びかかってきた。
楽人が思わず手で顔をかばうと、その腕に乗って楽人の頭に猫パンチをした。
「これで二発目みゃ、まだまだいくみゃ~」
ハクは次々と楽人に猫パンチを入れていった。明らかに手加減されている猫パンチで、特に痛くはない。だが、それはそれとしてやられっぱなしなことは悔しい。
20発ほど猫パンチを入れられた辺りで、楽人は気付いた。ハクの攻撃にはパターンがある。茂みに隠れる、出てくる、顔に飛びかかるか、できなさそうな場合は後ろに回り込んで左後ろから攻撃をしてくる。左後ろから攻撃をしてくるのは、右利きの楽人から最も攻撃しにくい場所だからだろう。
ハクは今、茂みに隠れている。次の攻撃を回避するのが一番難しい。だがハクにも癖がある。それは…
茂みの音が消えた瞬間、楽人はすかさず一歩前に出て、後ろを振り向いた。
楽人が元いた場所に飛びかかるハクと目があった。
ハクが飛びかかる一瞬前、無音になる瞬間がある。その瞬間を掴むことが勝利の鍵だった。
楽人は両手で構えた枝を横にして、飛びかかるハクに当てに行った。
やばい!手加減出来てない!ハクが怪我する!
次の瞬間、ふわっとした不思議な手応えがあったあと、ハクが体勢を崩さずにそのまま後ろに着地した。枝はハクに直接当たらず、ハクの周辺に風船があるような不思議な手応えだった。ハクはニコニコとしている。
「いい攻撃みゃ~。防御の術使っててよかったみゃ。どんどんいくみゃ!」
ハクはそのまま飛びかかる仕草を見せた。尻尾が下がっている。これはフェイントだ。
飛びかかりを防ぐよう枝を構えた直後、ハクが楽人の左側に回り始めた。楽人は思い切り体を回し、左斜後ろから飛びかかってくるハクに枝を振り下ろした。
またも風船を叩くような手応えのあと、ハクは空中で見事な旋回を見せ、地面に着地した。




