第36話 再び遭遇 その2
~再び遭遇 その2~
「――しゅうちゃんたち、大丈夫かなあ・・・」
花が階下を見ながら情けない声を出した。
「あの二人なら何とかするだろ。それより俺たちもやることやるぞ」
先頭で慎重に階段を一段一段のぼりながら、直は答える。
何か異常があったらすぐに察知できるようにと、耳を極限までとぎ澄ませていた。
しかし、さっきの包丁おばけみたいに宙に浮いている場合は、足音で気づくことはできないだろう。
直はささいな物音や空気の変化にも気を配っていた。何かあったら自分が身をていしてみんなを守らなければならない。
すると、ちょうど踊り場に差しかかったところで、直たちの前に、ぼてっと何かが落ちてきた。
「ん・・・?」
直が怪訝な顔をしながら、目をこらしてそれをみる。
それは、いつかこの旧校舎で見た、白い塊だった。
「これって・・・」
花が震えた声を出す。忘れようと努力していた気持ちの悪い記憶が思い出される。
白い塊は、あの時と同じようにぐにゃぐにゃと形を変え、次第に人の姿になっていった。
「うげぇ・・・」
直がまたげんなりするように声をもらした。
「お前ら、階段を降りろ。んで、巴。作戦通り、それ使うぞ」
白い人が動き出す前に、直はみんなにてきぱきと指示を出した。
巴は直の言葉に無言でうなずくと、例のものをかまえた。
「よし、俺が合図をしたらあとは頼んだぜ」
直がそう言うと、茜と巴と花は足音を殺しながら、急いで階段を駆け下りていった。
白い人からの体からぼこん、と頭が生える。前回遭遇した時と同じように、その目は黒く窪んでいた。
白い人は直の存在に気づくと、静かにクラウチングスタートの構えをとった。
「おら!捕まえてみろ!」
そう言った瞬間、直が階段を駆け下りる。すると、白い人もその後に続いて走り出した。二人は階段を猛スピードで何段もとばしながら、踊り場を転回していく。
「――今だ!!」
直が階段の一番下に差しかかるところで叫んだ。そこには茜と巴がしゃがんで待機していた。
二人は長く伸ばしたガムテープの両端を持っている。
直の合図で、二人は持っているガムテープを足元の高さまで一気に上げた。
直はジャンプしてそのガムテープを乗り越えた。しかし白い人はまんまとガムテープに足をとられると、勢いそのままに階段から突き当りの手洗い場まで、激しく転がっていった。
そこに椅子を持った花が、
「かくご!」
と言って、目をつむりながら白い人の頭に殴りかかった。
「こえーんだよ!ふざけんな!」
いつの間にか、直や茜や巴も手洗い場まで下りていた。三人も花と同じく椅子を持って、白い人を一心不乱に殴りつけた。
殴られ続けた白い人は、次第に全身がぺったんこになっていき、最終的には床にぺったりと張り付いたまま、動かなくなった。
「いやいや。最近の子どもたちは、とてつもないですなあ・・・」
その様子を見ていた校長は静かに震えた。




