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うつ病患者の再生物語  作者: はなかみ
ミーミル
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ある商人の回想

初めて投稿しています。

更新頑張ります。拙い部分も目に付くと思いますが、気長に見守って頂けると喜びます。


俺は商人のコール。


まあ名は良い。


トワイス共和国の王都に店を構え、着実に商いをしていた。


だが、ある日衝撃が襲った。


王都にやってきた商隊の一団だ。


その規模にも驚かされたが、商隊を引くのはスレイプニルだった。


スレイプニルって人に懐くんだな…


知らなかった。


これは良いアイディアだと思い、自分の行商にもスレイプニルを。と考えていたのだが驚いたのはそんな事じゃない。


取り扱う商品だ。


塩は見た事も無いほどに白い。


砂糖もだ。


さらに見た事も聞いた事も無い香辛料。


抜群の鮮度だと一目でわかる魔物の肉。


魔物素材の魔道具に至ってはその効果すら予想出来ない。


そして海産物。


何処に海がある?王都から最も近い海岸線は800kmは離れている。


馬車で1か月の距離だぞ?


さらに海産物を加工して作られる調味料。


それだけじゃない。


見た事も聞いた事も無い調味料も数え切れないくらいに用意されていた。


醤油?味噌?酢?みりん?


なんだ?…それは…?


加えて革に布だ。


綿は分かる。絹も。だがその品質はなんだ…


同じ綿でも、風を通す編み方から滑るような手触りの物まで…


駄目だ…俺の商人としての人生はここで終わる。


こんな物を相手に俺の扱う商品が売れる訳が無い。


と、思っていたらトドメが来た。


その値段だ。


俺らの商品より少し高い程度…


完全に終わった…


と、思っていたのだが…その商隊の主はなんと仕入先を教えてくれた。


その値段も。


は…?そんな事が有り得るのか?


一緒に話を聞く商人仲間も懐疑的だ。


だが、最後にその商隊の主ポーロはこう締めくくった。


「行ってみれば分かる」と。


確かにそうだ。このままでは座して死を待つのみ。


行くしかあるまい‼


他の商人たちも同じようで顔を見合わせて頷き合う。


話に聞いた場所は果ての街道…


中々に厳しい道のりだ。


辺境に近付くにつれて街道の魔物も強さを増しながら増えてくる。


幸い人死も無く、何とか辿り着いたその地はソフィー・バザールという町だった。


旅の疲れを堪えて町を見て回れば、ポーロ氏の扱う商品…いやそれ以上の品質の物が町に溢れていた。


そのどれもが王都の同商品よりも安い。


良かった…


俺はまだ商人として生きていけるようだ。


この時点でこの過酷な旅の、この先の人生の勝利を確信する。


だが、この町は更なる衝撃に満ちていた。


宿に敷かれる布団は極上の安らぎを、公衆浴場という風呂屋では天に召されるような癒しを提供された…


そして屋台と料理屋、宿での食事…


1晩を過ごした俺は、もうどうやってこの町で暮らして行くか。という事以外は考えられなくなっていた。


この町と王都の商売で得られるであろう利益への考えも、何もかもの全てが…


どうしたらこの町で自分が生活出来るようになるか?


という考えにしか行き着かない…


商人としての本分や矜恃?


そんな物でこの快適な暮らしが手に入るのか?


その後の行動はさして苦でも無かった。


過酷な行商もあの暮らしが待っていると思えば頑張れた。


3度の行商をこなす頃…


ソフィーの商品は求める者の多さによってとんでも無い価格になっていた。


追い風だ。


さっさと売り払ってソフィーに行こう。


あの極楽へ。


王都に構えた店も売り払って俺はソフィーへと向かった。


この町に拠点を持って商売を始めたい。と言った俺に快く家を提供してくれたリミルという方がこの町のトップのようだ。


天使だろうか?


いや、エルフだな。


この町は無税であり、物価もとても安い。


家も格安で提供された。


今までの利益と王都の清算で得た資金があれば働かずとも生きて行ける。


だが、リミル様は商人としての俺を歓迎してくれたのだから、その働きに期待しているのだろう。


ならばそれに応えるのは使命だ。


王都の店の元使用人を使って行商をさせる事にした。





俺の計算は何処で狂ったのだろうか…


俺の使用人たちは気が付けば俺と同じ様にこの町で暮らしていた。


俺の行商を任せられる者はもういない…


そしてそんな者がどんどんと増えて行き、この町でやる事も出来ることも無い商人や商人もどきが増えて行った…


そしてリミル様はこの町の物価を上げた。


このままでは俺の生活も破綻する…


だが…自分を奮い立たせてまた行商を行う気力が湧かない…


この物価となれば、王都での利益も僅かばかり、ひたすら行商をこなすだけの日々となるだろう。


そんな…言い訳ばかりで行動を起こせない俺たちに対して通達があった。


「これよりこの町を起点としての行商は公共として管理する。これに従う者はこの町での生活を保証しよう。更に10年で永住権を、15年で土地と家を、更に5年毎に住居の修繕と改良を確約する。ただし‼行商は全て管理する。暴利や隠れて値段を釣り上げる等、規定に反した者は追放処分とする‼」


そう高らかに告げた男はリミル様の上司であるそうだ。


見たところ普通の人間のようだが…


いや、そんな事はどうでも良い。


その内容‼


最低10年は長いがこの町での暮らしの保証、行商利益も一部は頂けるそうだ。


何より15年勤めた報奨の家には風呂も付くという。


行商も、長く辛い王都へのルートだけでは無く、公平に移動距離で場所を差配してくれるという。


行商の合間にこの町の暮らしを満喫出来るための配慮だそうだ。


ならばやるしかないだろう‼


商人として、人に必要な物を届けられるという本分への気持ちが再び湧き上がってくる。


周りを見回せば同じ決意を決めたと思われる者ばかり。


この使命と志し。


ルーク様とリミル様に捧げようじゃないか。

読んでいただきありがとうございます。

評価を頂けるとモチベーションが上がるのでよろしくお願いします。

また、誤字報告、感想、ご意見は必ず目を通して返信して行きますので気が向いたらご指摘・ご意見をお寄せくださいm(_ _)m

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