商機
初めて投稿しています。
更新頑張ります。拙い部分も目に付くと思いますが、気長に見守って頂けると喜びます。
大浴場というところにやって来た。
引き続き商人のポーロだ。
何だろうこの場所は…
いや、風呂は知っている。
貴族や王族が使う物だ。
しがない1商人がおいそれと使えるものじゃあ無い。
しかも…
「どうしました?使い方が分かりませんか?」
「ああ。実は風呂という物は聞いた事はあっても使うのは初めてなんだ」
「そうでしたか。では、まずこの石鹸という物で体を清めてください。頭髪はこちらのシャンプーという物を使うんですよ」
「な、なるほど」
「初めてお使いになるのならば何回かに分けて洗われると良いと思います。ほら。こうして良く泡立つようになるまで洗ってみてください」
「おお。とても良い香りがするんですね」
「この香り付けもルーク様が配合なさったものなんですよ。何とも心安らぐ良い香りですよね。泡立ちを洗い流したら、あちらにある浴槽に浸かって体を温めるんです。とても気持ち良いのですが浸かり過ぎるとのぼせて目眩を起こしたりしてしまうので、1度に浸かるのは5分程が良いでしょう」
体を清める場所に備え付けられたボタンのような物に僅かな魔力を流すと豊富な温かい綺麗な水がとめど無く流れる。
その仕組みにも驚いたが3回ほど体を洗ったところでようやく泡立ち始めたこの石鹸、シャンプーという物からはとても良い香りがする。
王都の香水も霞むような高貴な香りだ。
これを平民が気軽に使える?
今回は宿もこの大浴場も無料としてくれた。
だが、無料で無かったとしてもその設定されている料金はとても安く日常で負担の無い程度だった。
しかも、体を清めた後に浸かった湯船の心地良さは天に召されるのではないかと錯覚するものだった…
王城にあるという風呂はこれよりも素晴らしい物なのだろうか?
話に聞く貴族の風呂というものはこんな大きな物では無い。
小さな浴槽にありえない程の金貨を注ぎ、小部屋程度にしつらえる物だと聞いた覚えがある。
しかも、この高貴な香りの石鹸やシャンプーだ。
「この石鹸やシャンプーという物はこの町で購入出来るのですか?」
「ここまで香りが良く、泡立ちの良い物はルーク様にしかお造りになれませんが…取り扱ってはおりますよ」
値段を聞いて驚いた…
王都の1/10だ…
食後に宿に戻って出された晩餐にはさらに驚かされる。
いつも食べている食材なのだが、その組み合わせ。
味の深さ、香り。
俺が今まで食べて来た物はなんだったのかという疑問がとめどなく湧いてくる…
部屋に戻れば良く綺麗に洗われたシーツ。そして日に良く干してあったのだろう、これまたとても良い香りとふわふわの布団が用意されていた。
そこに腰掛けて、しばし考える…
お風呂と美味しい食事のおかげだろうか。
とても冴えた頭の中で繰り返し聞こえて来るのは警鐘だ。
この機会を逃してはならない。
今は行動するべきだと何かが告げてくる。
明日、目が覚めたらもう一度ゆっくりと町を見てみよう。
結論が出た事で緩んだ意識は布団の心地良さに飲まれてあっという間に眠りへと落ちて行った。
翌朝。
出された朝食の味に一気に目を覚まされる。
町へと出向き、売られている物の質と値段を潰さに、見落とすこと無く精査して行く。
うん。この町は商機の塊だ。
俺はどう行動するべきだろう。
今の手持で僅かばかりの仕入れをしてもたかが知れている。
この場所を秘匿しても無駄な事だろう。
このルートを辿る行商人は多くないとはいえ、いずれは誰かが辿り着く。
思考に没頭していると…
「いかがですか?この町は?」
とんでも無く美しい人に声をかけられた。
「素晴らしいですね。全ての品質が高く、そして安い。この町の存在を知る者が増えれば経済の中心は王都では無く、この町になるかも知れません」
「なるほど。それは少し困りますね。ルーク様はこの町を通じて技術を広める事を目的にしておられます」
「技術を広める!?」
「はい」
「これらの技術で利益を独占するのでは無く…ですか?」
「そうです。ルーク様は全ての人がこれらの技術によってより良く暮らして行けるように。と願われているのです」
眩暈がした…
一体どれだけの高みに立てばそのような思考に至るのだろうか…
「とても崇高なお考えかと思いますが…今のこのやり方では難しいかとも思えます」
「そうですか…我々はどのようにすればルーク様のお望みにかなうのか分からずこのやり方を試してみているのですが…」
「恐らく今のままではこの町に寄る商人によって利益を奪われ、独占されて行くに過ぎぬかと…」
「なるほど…では、あなたがその様になさろうとせず、こうして私に教えてくださるのは何故ですか?」
「それは…私にはこの町の利益を独占出来るだけの資本がありません。それに…ルーク様のお考えを聞いた今、そのお望みから外れて己の利益を上げることに恥ずかしさを感じるから。ですかね…」
自嘲気味にそう告げる。
「あなたはとても誠実な方のようですね。町にいらした時に聞いた他人を助けられたという話に感銘を受けた自分を信じて良かったです」
どうやら俺は試されていたらしい。
「よろしければ…ルーク様の望まれる。この町と人間族の世界との架け橋として協力して頂けませんか?あなたに商人として、それなりの利を優遇する事も出来るかと思います」
そして、どうやら間違えること無く正解に辿り着けたようだ。
「及ばずながら、この商人ポーロ。全力で取り組ませて頂きたいと思います」
この商機。必ずモノにしてみせる‼
読んでいただきありがとうございます。
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