ソフィー・バザール
初めて投稿しています。
更新頑張ります。拙い部分も目に付くと思いますが、気長に見守って頂けると喜びます。
少しストックが溜まったので連続投稿します。
俺は商人のポーロ。
しがない商人だ。
15年商人を続けて未だに店を構える程の稼ぎもあげられていない程度に。な。
そんな俺だが本当に今回の行商にはツキが無かった。
まずは馬車の故障…
そして行商ルート先の村が野党に襲われており、予定の商品が捌け無かっただけでは足りず、見舞いの支援物資として多額の持ち出しをしたこと。
これは良い。
困った時はお互い様だ。
人の足元を見て傷ついた者に追い討ちをかけるような真似はしないし、出来ない。
商人仲間からはそんな甘い考えだからいつまでたっても店の一つも構えられない。と言われるが…
そんな真似するくらいなら商人なんざ辞めてやる。
と、強がったところで今回の行商は大赤字なのに変わりは無い…
あとは巡回ルートをまわって帰るだけ、手持ちの資金も僅かばかりでこの先に買い付け出来るところもありゃしない。
まぁ、次回から規模を縮めてまた地道にコツコツやるだけさ。
と、思っていたんだが…
人間の生活圏と魔境との境目、果ての街道と呼ばれる道を進む中、見た事の無い道が出来ていた…
しかも、その道の先にはこれまた見た事も無い町がある。
なんだろう…
凄い違和感だ…
あー…なるほど。
前にここを通ってから3ヵ月。
建造の様子も見かけてないのにその僅かな時間で綺麗な町が完成しているっていうのが違和感の正体だな。
いくらなんでも3ヶ月で何も無いところからあの規模の町は作れないだろう。
街道より魔境寄りじゃあ、魔物の襲撃だってあるはずだ…
だが…気になる…
違和感の正体というより、あの町に何があるのかが気になって仕方が無い。
順調に来てれば利益も確保していて危険を犯す必要など無いのに、幸か不幸か今回は失う物など何も無い状況だ…
そんな半ば捨て鉢な気分で俺は魔境に続く道へと馬車を進ませた。
町に入ってまず驚いたのがその町並みだ。
綺麗に整地され、無駄なく配置される道と建物。
そのどれもが新しくとても美しい。
次に驚いたのは人種だ。
獣人に魔族…エルフやドワーフもいる…
終わった…
来たのは間違いだったようだ。
彼らは人間に恨みがあるはず。
先の戦争は勿論、人間は彼らにあまりにも厳しく接して来た。
俺はその報いの代表となるだろう…
と、思っていたのだが…
「旅のお方。行商ですか?」
「ひとまずお休みになってください」
「馬車もお預かり出来る宿屋もありますよ」
など、とても気持ちの良い対応をしてくれた。
「すまない…実はこういった事情であまり手持ちに余裕が無いんだ」
正直に言ってみたのだが、それでも…
「それは大変でしたね…でも、ご立派な事だと思います」
「お急ぎで無いのならば旅の疲れをとって行ってください。なに。お代は頂きませんので。今はこの町が出来たお祝いをしている最中で無料なんですよ」
「是非、他の商人さん達にもこの町のことを伝えてください」
という温かい対応を返してくれた。
自慢では無いのだが、人の言葉の裏を読むのには自信がある。
彼らの言葉は本心からのものだとその自信が告げている。
他の商人にも来てもらいたいのは本音のようだが。
お言葉に甘えて1泊お世話になることにした。
そして、宿でしばし寛ぎ、再び外に出るとそこは驚きに溢れる光景に満ちていた…
最近になって広まりつつある料理という概念。
その完成形を見たかのような料理の数々がところ狭しと並ぶ露店から…
食欲を刺激して止まない凄まじく良い香りが漂っている。
さらに店を覗いてみると、見た事も聞いた事も無いような食材や香辛料が並んでいる。
違う区画を歩けば貴族が着るような上等な生地で作られた衣服が目を疑うような値段で売られている。
さらに違う区画では素晴らしい精度で加工された金属製品。
見た事もないように澄んだガラス製品。
美しい造形の陶器。
魔物の素材までもが驚くほど安い値段で売られていた…
ここは一体なんなのだろう…?
改めて湧いて来た疑問に答えるように町の住人は話しかけてくれた。
「凄いもんでしょう?この町は我らがルーク様がお作りになられたソフィー・バザールと呼びます」
「ルーク様?ソフィー・バザール?」
「ええ。ルーク様です。ご自身の叡智を結集してこの町を作られ、我らにこの様に人間族の方々と交流をする機会をくださいました」
疑問に答えをくれた魔族の男性はその見た目から高位のお方と見受ける。
恐らくはヴァンパイアだろう。
そんな彼に敬称を付けて呼ばれ、崇められるルーク様とは一体如何程の人物なのであろうか?
俺は呆然としていたのだろう。
「お疲れのようですね。やはり1日ゆっくり休まれるのが良いと思いますよ。宿のお部屋で湯浴みは出来ますが、町の大浴場に行く事をオススメします。良く浸かってあたたまれば疲れも取れてゆっくりと町を見て回れることでしょう」
「お気遣い感謝致します。大浴場というのは何処にあるのでしょうか?」
「その先に見えているあの大きな建物です。4つあるのですが、ご案内させて頂いた宿と距離が近いのであそこが1番良いと思います」
「ありがとうございます。では、お言葉に甘えて休ませて頂こうと思います」
そう言って俺は大浴場という場所に向かうのだった。
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