増える魔牛
初めて投稿しています。
更新頑張ります。拙い部分も目に付くと思いますが、気長に見守って頂けると喜びます。
意外だ…もう一度言おう。意外だ。
なんと水の精霊が魔牛の言う事が分かると言う。
〖本当に失礼ね。でも、全部の魔物って訳じゃないわ。波長って言うのかな?あるのよね、そういうのが。同じ場所で長く過ごすと伝わり易いみたい。多分この子は湖に良く来てたんじゃないかしら?〗
「なるほど。そういうものなのか。羨ましい…」
〖フフン。少しは見直した?〗
「まぁね。で、なんで森に居たいんだって?」
〖見損なっていたのは否定しないのね…あの場所は居心地が良いし、あそこでは自分にも出来ることがあるって。牛乳。欲しいのは知ってるって。〗
「そっかぁ…この子もとっくにあの場所の仲間になってくれていたのか…」
〖そういうことみたいね。あと、鶏や他の魔物にも当てがあるみたいよ〗
「‼えっ?」
〖安心して暮らせる居心地が良い場所があるなら来てくれるだろうってさ〗
「これは嬉しいな。是非お願いしたい。来てくれるみんなが快適に過ごせる努力は惜しまないよ」
すると魔牛は何頭かが森に入り、程なく帰って来る。
20羽ほどの鶏を連れて…
その光景に感動してしまう。
〖すごく期待してるから良い環境を作ってあげてね〗
「ん?鶏のことも分かるのか?」
〖この魔牛の子ほどには分からないんだけど…卵は子供のいない物は使ってくれて良いって。あと、牛も鶏も…天寿を全う出来たら自分達の体も全部ちゃんと使って欲しい…ってさ…〗
「…分かった。責任もって面倒みるよ」
俺は他の魔牛達の方に向かう。
「必ず幸せに過ごせるようにするからな」
魔牛たちは残るもの、来てくれるもの同士で穏やかな目でじっと見つめあっていた。
その後、来てくれる魔牛がこちらにやってきたので、俺たちも名残を惜しむように手を振りながら牧場に移動した。
「魔物にも色々あるんだな…」
〖そうね。でもここに来た以上はみんなあなたが幸せにするんでしょう?〗
「俺1人にそんなたいそうな力は無いよ。幸せな場所はみんなで協力して作るんだよ」
〖なるほどね〗
〖ルークはそういう人よね〗
〖間違いねぇな〗
「さて、俺はこのまま牧場を広げて魔牛と魔鶏の居場所を作るよ」
〖わたしはちょっと湖に行ってくるわ〗
〖俺らも色々考えさせられたな〗
〖これも良い刺激になったわね〗
そう言ってみんな各々の場所に移動していった。
トールはマイペース。
牧場に感動してるのか嬉しそうにはしゃぎ回ってる。
楽しそうだ。
そんな光景を眺めつつ作業。
魔牛の方は10頭なら今の建物で大丈夫だろう。
増えてくれるようなら順次拡張・改良していこう。
一応寝藁を増設しておく。
そして牛乳‼
魔テンレスのタンクの下にコックを付け、液面の上部に機構を付けて魔力起動で真空になる様に、また微生物の除外作用を付与して作成。
また張り切って作り過ぎてしまった…
魔牛と魔鶏は仲が良さそうなので併設しておくことにする。
自主的に来てくれたのなら囲いは外敵の阻害だけで良いだろう。
ご飯は穀物をメインに色々試して行こう。
巣は少し広めに棚を作って、有精卵を温め易いように保温効果を持たせたわた綿を使ってもらう。
これも増えてくれるなら拡張・改良だな。
後々無精卵を割ること無く回収出来るような工夫も考えて行きたい。
淡々と作業を進めると不意に牧畜くんが現れた。
〖やぁ、ついに始めるんだね〗
「久しぶりだね。どこか行ってたの?」
〖行ける所まで行って牧畜の概念を広めて来たよ〗
「そんな事が出来るんだ。すごいな」
〖そういう役割なのさ。早い所は早速始めてるよ。良い傾向だ〗
「で、まだ途中なんじゃないのかい?」
〖あそこまで広がれば後は自然と浸透していくと思う。僕はここで生まれた牧畜の精霊だからさ、ここで自分にやれる事があるのならここに居るよ〗
「手伝ってくれるの?」
〖勿論。ここで培った経験をまたこの星中に広めてゆくのさ〗
「そっか頼りになるな」
〖ありがとう。でも、もっと頼りになる者達がそのうちに来ると思うよ〗
牧畜くんは朗らかに笑いながらそう言った。
お手伝いしてくれる内容は牛乳を魔テンレスのタンクに。
卵はわた綿を敷いた籠に集めてくれると言うのでお願いすることにした。
朝の決まった時間に取りに来て欲しいという事だ。
ありがたい。
〖それと、ルークにお願いがあるんだ〗
「なんだい?」
〖ルークには分かっていると思うけど、この牧畜という考え方はともすれば酷く傲慢に驕ったものになる〗
「そうだね…」
〖僕はきみの思想に導かれた存在だ。だから牧畜が育てる側、育てられる側にとって幸せな技術である事が使命なんだ〗
黙って真剣に話を聞き続ける。
〖もし、この技術をあつかう者が驕り、命に対する感謝を忘れてしまった時には戒めを、虐げられる者には救いを与えたい〗
〖だから、この場所に虐げられる者が安らかに過ごせる場所を作って欲しい。僕はここにその子達を連れて来ることにするよ〗
「そうか…分かったよ」
そう伝えると、牧畜くんはまた朗らかな笑顔を向けてくれた。
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