和解
初めて投稿しています。
更新頑張ります。拙い部分も目に付くと思いますが、気長に見守って頂けると喜びます。
フェンリルの元に一瞬で移動した俺は魔力を込めてフェンリルの首を上から押さえつける。
そうしておいて、燃えてしまった木に向かって湖の水を操作して注いで消火した。
【ば、馬鹿な!我の雷を簡単に退けた上に背後を取り、あまつさえ押さえつけるだと‼しかもなんだこの力は…魔力は…動けぬ…】
【話をしている最中なのに攻撃して来るのはどうなんだ?俺は構わないが、見ろ。木が燃えてしまった…】
そう言ったとき…
「きゅーん…」
とても悲しそうな声で鳴く子犬がいた。
【我の子か…すまぬ人間。全て我の過ちだったようだ】
その言葉が聞けたのでフェンリルの首を解放する。
【こちらこそ申し訳なかった。手を出すつもりは無かったんだ。この場所には思い入れがあってね。感情的に動いてしまった。許して欲しい。どうやらあの子ももう大丈夫みたいだ。連れて行ってやってくれ】
そう言って子犬の元に行き、軽く撫でてやる。
「さあ、お迎えだよ。おかえり」
「きゅーん。きゅーん」
しかし、子犬は俺から離れようとせず、必死にフェンリルに向かって何かを訴えている。
【…すまぬ人間。いや、名を教えて頂けぬか?】
「ああ、俺はルークという」
思わず、思念ではなく言葉で返してしまった。
しかし伝わったようで…
【ルーク様。私の子をあなたに託しても良いだろうか?】
首部を垂れながらそう伝えて来るフェンリル。
「俺に?何故だい?この子はあなたの大切な子だろう?あと様付けはやめてくれ」
【その子が望んでいるのです。いずれ成長すれば私と同じく思念で通じ合えましょう。その時にでもその子から聞いてみてください】
とても穏やかで慈しむ表情となり、子犬を見つめながら話すフェンリル。
その様はとても美しい。
「そうか…分かった。引き受けるよ。」
【この度の非礼を深くお詫びいたします。私に何か償えることはありますか?】
「何もな…いや、そうだな。今回のように問題が起きた時に原因となった者以外に被害を及ぼすような事はやめてくれ。あなたも神を冠する存在であるならば、その裁きは公平であるべきだ」
【肝に銘じましょう】
「あとは…たまにはこの子に会いに遊びに来てくれ」
【来ても…良いのですか?】
「ああ、あなたのこの子に対する愛情は美しい。あなたとこのまま会えなくなるのはこの子にとって良い事ではないさ」
【ご温情に感謝します】
「きゅーん」
可愛く鳴いてフェンリルに擦り寄る子犬を微笑ましい気持ちでしばらく見守っていた。
しばらくすると子犬はこちらにトコトコと歩いて来る。
「話は終わったかな?」
【はい。では失礼します。またお目にかかりましょう】
言うや目にも止まらぬ速さでフェンリルは駆け抜けて行った。
俺は子犬を抱えながら…
「お前の名前を決めなきゃな」
と、目を合わせて話しかける。
白金で雷…
「よし。トールでどうだ?」
「きゃん!♪」
嬉しそうに俺の頬を舐めるトール。
どうやらお気に召して頂けたようだ。
「よろしくな。トール」
「きゃん」
さて、湖畔の後始末をしておこう。と、思った時…
〖な、ななな…な、なんなのー‼〗
ザパーンと大きな水柱をあげて美人さんが飛び出してきた。
美人さんはチラホラとあちこち見回した後、こちらを見つけ、キッと睨みつける。
そして滑るように水面を移動し、近づいてきた。
そして…
〖ちょっとあなた。さっきの騒ぎはあなたの仕業!?〗
と、問いかけられたので…
「ええ。まぁ。騒せて申し訳…
と、言おうとしたところ。
〖ようやく起きたか水の〗
〖相変わらずねぇ〗
〖お主はほんとに…〗
他の精霊にダメ出しされた。
〖え、みんななんでここにいるの?しかも揃ってなんて…あ、火はいないか〗
どうやら彼女は水の精霊のようだ。
精霊達は俺と出会ってからの経緯から今日、さっきの騒動までの説明をしてくれている。
しばらく待つと水の精霊はこちらに向き直り…
〖はぁ…フェンリル…それにそれを圧倒したのがあなたという訳ね〗
「そういうことになるのかな?あ、俺はルークだ。この子はトール。よろしくね」
〖水の精霊よ。よろしくね。で、その子フェンリルなのよね?どうするの?〗
「別にどうもしないよ。ただ一緒に暮らしてくれる友達だ」
そう言うとトールが嬉しそうに尻尾を振って俺の頬を舐める。
〖なるほど…ねぇ…〗
どこか腑に落ちない様子の水の精霊にこちらからも問いかけてみる。
「君はなんで寝ていたのかな?」
〖暇だからよ。水の利用方法なんてそんなに沢山ある訳じゃ無し、川の氾濫とかはどちらかと言うと土の子の領分だからね。余程の汚染でも起こらない限り出番は無いな。と、思って寝てたのよ〗
胸を張りながら自信ありげにそう言った水の精霊を(あ、残念な子なのかな?)なんて思いながら見つめてると…
〖まぁこういうやつなんだがよ、起きてる時はわりと優秀なんだ。仲良くしてやってくれ〗
〖そうね。わりと優秀ね〗
〖迷惑かけるようならわしらからもしっかり言って聞かせるでな〗
などと言われ、反論しようとしたが、上手く言葉にならなそうにぱくぱくと口を動かしたあと…
拗ねた…
〖何よ。みんな良い子ちゃんぶって…私だってこの星が出来た時、頑張ったもん…落ち着いたんだから休んだって…〗
可哀想なのでフォローしてみる。
「あー。確かに大変だったよね。大気が安定する迄は本当に大変だったと思うよ」
〖そうなのよ‼って…なんでそんな事が分かるの?〗
「まぁその辺も必要なら説明するからさ。とりあえず家に来ないか?仲間がどんな暮らしをしてるかも見たくはないかい?」
〖そうね。その方が分かりやすそう〗
良い返事をもらえたので、手早く湖畔の燃えてしまった木を抜き、同じ木の種を見付けて埋めておいた。
さぁ、まずは帰って…ふぁ…寝ようかな…
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