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Anima Raw Craft —最弱アニマと譲れない僕らの青春クリエイティブ—  作者: 白草羞
第一章 『僕だけが灰色だった、あの春』

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第一章4  『力の代償』

 「…ここは……保健室か。どれくらいの間倒れていた?」と目を覚ましてすぐに状況を確認する高見。「1時間程度よ。力の使い過ぎね。」と話す滝澤先生。僕たちが倒れている高見を発見する前に、すでに滝澤先生は救護活動を行っていた。

 「心配したんだぞ!」と一同に声を揃える友心、工藤、ユズ。「悪いな、もう大丈夫だ。制作に戻ろう。」と立ち上がろうとする高見。「体調管理もスケジュール管理もあなた達に任せるわ。」と立ち去る滝澤先生。

 「ごめん、何があったのかちゃんと説明してくれないかな。」というユズに対して友心が答える。「あれは力の代償だ。アニマは自身の才能や想いが形となった存在で、姿を現しているだけでも自身のエネルギーが消費される。ここまでは倒れる前に高見も言っていたけど、この先の方が重要なんだ。供給者である人間のエネルギーが一定量を下回ると、人体に悪影響が出て、最悪の場合は意識不明になる。本来はそうならないようにアニマが緊急モードになりアラートを出して、パートナーに影響を及ぼさないように自ら消えるんだけど、アニマがパートナーの強い意志を感じとるとエネルギーが尽きるまで動き続けてしまうんだ。」

 補足するように高見が言う。「シキの場合は緊急モードになると体が赤くなるんだ。ただ厄介なことに、感情の変化によっても体の色が変わるからその判別がしづらい。今回はその判断を誤った上に、なんとしても消音機能を完成させねばと自分自身を追い込んでしまったため、シキも最後の最後まで頑張ってしまって、あの有様というわけさ。」

 「すまない。これはリーダーとして高見に負担をかけすぎた俺の責任だ。今日はみんな一旦休んでくれ。改めて明日全体のスケジュールや各々の作業分担を伝えるよ。」と友心がいい、今日は解散となった。


 高見と工藤は帰路についたが、僕は友心が心配になって声をかけた。「大丈夫?」すると「ああ、今一番の課題は消音機能の実装だから、そこにリソースを集中しつつ、スケジュール担保しないとなって感じだな。こういった作業は得意だから任せておいて。」と返す友心。「そうじゃなくて、変に責任感じてないかなって。」

 「実は俺、中学の時から学級委員長とか任されることが多かったんだけど、みんなの期待に応えるのに必死になって、気づいたら割と自分でなんでもできるようになってたんだ。だけど、周りに求めるレベルも段々と高くなって、人が離れていったことがあってさ。今ではそうならないように周りにも配慮して動いてきたつもりだったんけど、やっぱり俺は真に人のことを思いやれないのかもしれないな。……」と最後になにかを言いかけたが思いとどまる友心。

 「そんなことはない。人のことを思いやれない人はそんな風に悩んだりしない。僕は友心のおかげで前回のペン制作をやり遂げられたんだ。何も特化したスキルがない僕にもできることはないか考えて、そのために必要な情報や技術をしっかりと教えるサポートをした上で、その後は僕に自信をつけさせるために一人で作業を終えられるように見守ってくれていた。そんなことができる人が人を思いやれないわけがない。」と強く話すユズ。

 「ありがとう。そうだといいな…明日ちゃんと高見にも謝っておくよ。」という友心に対して、「なにを偉そうに勝手に自分の責任にしてるんだ、これは僕の選んだ結果さ」とか嫌味っぽいこと言いそうと高見の真似をするユズを見て笑う友心であった。


 ——翌日の授業が始まった直後、滝澤先生から昨日あった高見のことについてクラス内に周知があった。一通りの経緯の説明があった後に「最後に、私は時には倒れるほど作業をしなければいけないことがあると思っています。それはこの先避けては通れない道ですし、きっとその先に成長するためになにかがあると信じています。だから本気でモノづくりをしてください。」と朝から活を入れられた。その後、各チームごとの作業に移り、早速久保川が高見に謝ったが僕の思った通りの反応で、内心やっぱりねと友心と笑っていた。

 「それで今後の役割分担なんだけど、消音機能、もといサイレントウェーブは当初の予定通りで俺と高見が担当、映像機能を活用したデジタル遊具、もといライトウェーブはユズと工藤が担当、住民へのアナウンスについては工藤が主体で全員で担当することにしようと思うけどどうかな?」とみんなの意見を募る友心だが、みんななんとかウェーブが気になっている様子だ。「ああ、これは商品名だよ。ちゃんと名前があったほうがみんな話しやすいし愛着も湧くかなって!今後はウェーブシリーズ化してもっと商品を増やしていきたいな」と冗談交じりに言う友心。

 「まあ可愛くていいんじゃない。分担自体はそれで問題ないと思うけど、サイレントウェーブの実装は大丈夫なの?一人増えたからいいってもんでもないでしょ?」と冷静につっこむ工藤に対して、高見が現状を説明した。「今苦労している点は、リアルタイムに音声分析して瞬時に逆位相音を生成するところで、具体的なステップは①マイクで音を子供の声を拾う→②デジタルデータに変換する→③AIが波形を解析する→④逆位相音を生成する→⑤スピーカーから出力する流れだ。問題なのは処理時間だ。打消しが少しでも遅くなるとかえって音が大きくなってしまう可能性がある。このステップの中でのボトルネックが③④だ。シキの能力のおかげで動くようにはなったが、やっぱりまだまだ実用レベルのスピードには程遠い。」

 すると、すかさず友心が言った。「状況は分かった。だったらやっぱり俺がいればなんとかなると思う。全体スケジュールを鑑みると、二週間でサイレントウェーブとライトウェーブは完成、一週間で住民へのアナウンス計画と内容精査、残りで制作発表準備に備えたい。ハードスケジュールになると思うけど、チーム一丸となって頑張っていこう。」


 ——「うーん。やっぱり複数人がシェアして使うっていうところが悩みの種だわ。どういう仕様にしたら、みんなが楽しく遊べるのかしら。」と考える工藤。「そうだね、特に子供が使うってなると、がちがちに仕様を決めるというよりかはある程度システム側でフレキシブルに対応できたほうがいいよね。例えば、急に人数が増減した場合でもプレイ中のゲームを中断せずに続けられるような仕組みとか。」と返すユズ。僕たち二人はライトウェーブの要件について議論をしていた。

 「基本的な仕様としては、ゲームの参加人数に応じて、そのゲームの難易度が変動するのがいいわね。参加人数が多ければ、動物追いかけっこの場合は、動物の動きの速度を上げたり数を増やしたり、人生ゲームの場合はコマ数を増やしたりね。あとは参加人数の把握方法ね。」という工藤に対してユズが答える。「やっぱりそこはゲーム起動時に子供たちに入力してもらうよりかは、システムが自動判定してゲームの途中であっても難易度が変わるといいね。あとは子供たちってついつい遊びに夢中になってしまうから、ある程度の体調管理もしてあげたいね。」

 「そうね、じゃあ細かい仕様は…。それを実現するためには…。ユズにはここの機能を作ってほしいの。そのためには…。」と工藤に具体的なhow toを叩き込まれた。正直ついていけないところは山のようにあったが、必死でメモをとって食らいついた。


 ——ユズは一人帰っていた。どうやら今日は友心は作業があるから遅くまで学校に残るみたいだ。僕もやらなければならないことはたくさんあるのは分かっていたが、今日はインプットした情報量が多すぎて頭がいっぱいいっぱいになっており、少し弱音を吐いてしまった。

 「僕にクリエーターなれるほどの力あるのかな…」

第四話を読んでいただきありがとうございました。今回はアニマについての更なる情報とウェーブシリーズの進捗を描きました。やっぱりどんな力にも代償ってあるもんですね。

あとは友心も実は昔からなんでもできる子ではなかったというのが驚きでしたね。きっとそういう過去を乗り越えたからこそ、ユズになにかを感じる部分があったんだと思います。

そしてそのユズ君ですが、いつも前向きに頑張っていましたが、最後少し落ち込んでいるような描写でしたね。はやくいつもの元気なユズ君に戻ってほしいものです。

それではまた近いうちに5話を投稿します。もしよければ感想/レビューをしていただけると励みになりますので、忌憚なきご意見をよろしくお願いいたします。

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