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意外な提案

 朝になり、目が覚める。両隣には、幸せそうな顔のセルマとソニアが寝ている。俺の部屋なので、快復中のルナももちろんまだいるのだが、それ以外にシエナとステラ、つまり女子全員居たりする。

 別々の部屋で寝ることになっていたはずなのだが、たった1日で元に戻ったというか、さらに1人プラスという状況になったというか。まぁ、これには理由が…いや、単純な俺のミスが原因なのだが。

 元をたどれば、昨日の夜まで戻ることになる…


 夕食後の風呂上り、シエナに頼んでリンゴを剥いてもらった。皆、美味しそうに食べていた。こんな表情が見られるなら、週に1回くらい果物を買ってきてもいいかなと思う。

 2階で寝ているルナに持っていくため、俺は自室へ向かう。ソニアも一緒についてきた。俺が留守にしている間に、仲良くなれたようだ。お互い大人しい者同士、気でも合ったのだろう。

 リンゴが食べ終わった後も、そのまま3人で話をしながらのんびり過ごす。どのくらい会話をしていたのだろうか。ふいに、ソニアが大きな欠伸をした。そろそろ眠くなってきたようだ。部屋に戻らせて、布団で寝かせよう。そう思った時、ある事を思い出した。

『ルナの布団買い忘れた』

 ルナの使っているのは俺の布団。つまり、俺が使う布団が無い。

 さすがにこの時間では、店も開いていない。床に寝るのも冷たいし、昨日のようにステラと半分も狭いよな。

 急に考えだして黙り込んだ俺に、ソニアが不思議そうに視線を向けてくる。

「そろそろ寝る時間だな」

「うん」

 そこで、初日の状況を思い出した。ソニアを部屋から連れ出しながら聞く。

「今日は一緒に寝るか?」

 俺の問いに、頷いてくる。後はセルマにも聞いて、2枚の布団をつなげて、3人で使えば大丈夫。2人とも小柄だから。

「ちょっといい?」

 隣の女子部屋に居たシエナに声をかけ、説明をして許可を求める。状況は理解してもらえたが、着替えを見られた事もあり、少し渋い顔をしている。そんな俺らを、ソニアが不思議そうに見ている。

「床で寝るの?」

 ソニアが、こちらの顔を交互に見ながら聞いてくる。シエナが、視線を向けられ困った顔をしていた。

「ソニアを連れて相談するのは卑怯ですね」

 そう言いながら、ため息を吐いた。

 許可が下りたので、ソニアとセルマの布団を俺の部屋に運んだのだが、そうするとシエナだけが1人別の部屋になってしまった。

「ルナはもう大丈夫そうだし、ステラは部屋に戻るか?」

「シエナねえがこっちに来ればいいんじゃないの」

 何も知らないセルマが、そう提案してくる。困った顔でこちらを見てくるシエナ。

「まぁ、朝になったら、自分の部屋に戻れば問題ないんじゃないか」

 今回は俺の部屋だし、着替える時は自分の部屋に戻れば大丈夫だろう。

 そんなわけで、俺の自室に集合することになってしまったわけだ。


 朝食の準備は、シエナ、セルマと3人でする。

 3回目の朝を迎えて分かったのだが、シエナとセルマは目覚めが早い。ここには居ないが、ルナも朝は早いらしい。それに比べ、ステラとソニアは朝弱い。ステラが朝駄目だというのは、ちょっと意外だった。

「今日はどうするんですか?」

「午前中は、ルナを連れて買物かな。必要な物あるだろうし。午後は魔物狩りに行く」

 シエナの質問に答える。ルナは、昨日の午後には熱が引いていたのだが、そのまま寝かせていたため、完全に快復していた。多少なら、買い物に連れていっても問題ないだろう。

「私も行きたい」

 横から、セルマがせがんでくる。

「今日は、用件済ませてすぐ帰ってくるからなぁ。明後日の花ノ日、皆で交代で出かけるのはどうだ?休日だから、露店も多いし」

 その日なら、皆休みで家にいるはず。全員一緒だと大変だから、2グループくらいに分かれて出かけるのが良いだろう。

 俺の提案に、セルマが目をキラキラさせて頷いてくる。

「それじゃ、今日は留守番頼んだぞ」

 セルマの頭をポンポン叩きながら、笑いかけた。


 ルナが、初めて皆と朝食を取る。男子達には、きちんとした挨拶がまだだったので、軽く紹介してからになったが、特に心配はいらなそうだ。何かあっても、シエナが家事での実権を握っているし、まとめ上げてくれるだろう。

 食事が終わると、ルナと2人で出かける。布団や服、生活用の小物などを買い揃えるので、種類が多く少し広範囲になる。移動が多いので、暇つぶしがてら、俺が冒険者として魔物狩りをしている話をする。反応を見た感じ、多少の事はステラ達に聞いていたようだ。

 話を終えると、こちらを真剣な目で見てくる。

「私も、冒険者にしてくれませんか」

「え!?」

 意外な言葉に驚く。体格も大きいわけでなく、性格も大人しい。荒事に向いているようには思えなくて、どうしてそんなことを言い出したのか、全く見当がつかない。

「猫人族は、身体能力に優れている人が多く、その身軽さで冒険者になる人が多いんです。私も、軽業師をしていましたから身軽ですし、ナイフも使えます」

 意表を突くお願いに、何と答えていいのかわからない。

「その…魔物と戦うわけだし、命の危険もあるからね。試しにやってみようとか、気軽な考えで出来る物でもないし…」

 歯切れの悪い返事しかできなかった。

「今、思いついたわけじゃないです。前から考えていたことだし、ステラさんに聞いて、いい機会だと思って」

 俺としても、身近に置いておきたいと思っていたから、悪い話ではないけど。ただ、どうしても戦闘向きだとは思えない。それに、レベルどのくらいあるんだろう。そう思ってルナを見ると、【鑑定】スキルが働いた。

ルナ・マーレイ  Lv5 HP:89 MP:44

 物攻:16 魔攻:13 物防:18 魔防:13

 必殺:18 素早:21 技能:15 幸運:16

 【闇魔法】【不運(微)】【狩人】

『あれ?今まで他人の詳細なステータス見れなかったよな』

 よくわからないが、【鑑定】が進化したのだろうか。

「ちょっと待ってね。頭を整理するから」

 ルナにそう言って、自分のステータスも確認する。

ケンヤ・モリ  Lv15 HP:79 MP:102

 物攻:24 魔攻:31 物防:24 魔防:31

 必殺:24 素早:25 技能:25 幸運:25

『12歳でLv5って、一般人では高いな。俺はLv4でフロッグ倒せたし、ゴブリンならいけるか。さらに、Lv10も違うのに、HP俺より高い…その代わりMPが低いけど。ステータスは、素早さがかなり高いな。攻撃や防御は、俺と逆で魔法系より物理系が良いみたい。この感じだと、闇魔法は効果が薄そうだな』

 パッと見では、それなりに戦えそうで驚く。ただし気になったのは、

『不運(微)って、何だ?マイナスのスキルなんてあるのか。でも、幸運16あれば、俺のLv4の時より多分高いよな。あんまり、気にしなくていいのかな。(微)ってついてるし』

 試しに連れて行くのも、ありかもしれないなと思ってしまう。

「どうしても、やってみたい?」

「はい」

 迷いのない返事が返ってきた。

「わかった。でも、今日は病み上がりだから、連れて行くのは明日から。それと、無理がありそうだったら止める。それでいい?」

「はい」

 その後は、ルナの得意、不得意などを教えてもらいながら、買い物を続けた。


「【俊足ファースト】」

 木陰から飛び出し、背後からゴブリンに詰め寄る。逆手に持った《月白ゲッパク》を、通り抜けざまに首筋へ。急所を切り裂かれ、倒れるゴブリンには目もくれず、次の目標へ向かう。これを、魔法の効果が切れるまで行い、その後に魔石を回収し、また魔法を唱える。ひたすら、これを繰り返していた。

 狭い木立の中では、《銀短槍シルバースピア》は扱いにくい。ゴブリンなら、《月白》でも一撃で倒せるし、感覚を体に馴染ませるのにも良い。

 1ヶ所に留まるとゴブリンが寄ってきて、囲まれてしまう。こちらの位置を悟られないよう撹乱しながら、周囲のゴブリンを減らしていった。

『ここらへんも、やっと少なくなってきたか』

 周囲を【索敵サーチ】で再確認する。この数なら、しばらくここに居ても大丈夫そうだ。

 休憩を取りながら、2枚の紙を取り出す。1枚は白紙のメモ紙。もう1枚はエクレストン周辺の地図で、それには2つの矢印が書かれている。

 増加の原因を調べるために、まずはゴブリンがどの方角から来るのか確かめていた。1ヶ所に留まって、ゴブリンの動きを探るのだが、同じ場所にいるとすぐに囲まれてしまう。それで、先ほどのように一帯のゴブリンを掃討して、安全を確保していたのだ。

 2つの矢印は、別の場所で同様の事を行った結果を記したものだ。

 この場所でのゴブリンの動きを【索敵】で確認し、メモ紙に書いていく。時間が経つにつれて、この地域での傾向が見えてきた。

『今回の感じだと、こっちから来ていると思っていいのかな』

 新たな矢印を、地図に書込む。矢印の先で交差する点、そこが調査候補地になる…はずだったのだが、1本は交わらず、もう1本とはかなり遠方、多分そこは地上ではないだろう。

『やっぱり、そんなにうまくはいかないよな』

 傾斜や崖、川など色々な地形がある。ゴブリンが、発生地点から街周辺まで、まっすぐ歩いてくるわけでもないからな。

『それでも、大体の方角は決まったかな』

 街からみて、南東から東南東の方角。その方面から来ていると思って良さそうだ。

 留まっていた時間は、そんなに長く無いのだが、ゴブリンが再度この辺りに集まりつつある。

『周辺の敵を片付けてから、ギルドに戻るとしますか』

 今日から実戦投入した新装備の腕輪、《リーフ》の効果は非常に高く、魔法の効きが良い。その能力に助けられながら、ゴブリンの集団を蹴散らして、この場から撤退していった。

●鑑定スキルの進化について

今まで、アイテムについてはそれなりに使用していましたが、今回、人物に対しての効果が拡張しました。

ステラ達9人にルナが加わって、合計10人。部下というわけではないけど、自分に信頼を寄せて、動いてくれる人が増えたので、人物面での能力をアップさせました。


●ステータス表記変更について

防御→物防 に変更しました。

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