約束
「昨日はどうだったんだ?」
「1人捕まえて、詰所へ引き渡しました」
「案外、早く片付いたな」
アルヴァさんが感心している。昨晩の顛末を、簡単に話した。
「《眠粉》が効いて良かったな」
「泥酔していたのも、影響あったかもしれませんね」
《眠粉》は100%効くほど万能ではない。今回は、火をつけるタイミングを遅らせるために、とっさに投げた。
「だが、それだと収支がなぁ」
「今回は、練習みたいなものですし。自身で選んだ初の依頼ですから、安全確実にいきたかったので。それに、宿と美味しいご飯付ですから」
「現物支給の方は良さそうだな。まぁ、お金はあるようだし、色々と考えながらやってみるといい」
「はい」
「怪我はしてない?」
アリシアさんが聞いてくる。
「かすり傷1つないよ」
「良かった」
アリシアさんと話し始めると、アルヴァさんが護衛の人達のところへ行く。
今回は、4人の冒険者が護衛についており、トレヴァーさんの時同様、やはり昔馴染みが混じっているとの事。
「とりあえず、ここでお別れだね」
「はい」
寂しそうな顔をしている。
「また、そのうち会えるよ」
「本当に?」
「少なくとも、俺はそのつもりだよ」
〈フォレスト〉の事を考えると、これで終わりじゃないと思う。そう遠くないうちに、また会える予感がする。
それに、
「約束があるからね」
「約束?」
きょとんとしている。
「忘れたの?借りを返さないといけないしね」
「そうでしたね」
楽しそうに笑う。
また会えるんだから、やっぱ笑顔じゃなきゃね。
「そろそろ行かないと、みんな待ってるよ」
アルヴァさんが、こっちを見ている。
「その、これを」
アリシアさんが、腰のポーチに手を入れる。
手渡されたのは《指貫手袋》
「時間が足りなくて、右手だけですけど…」
「革手袋が欲しいって、話したっけ?」
いや、その話はしてないはず。
「もう片方は、次に会ったときに渡しますね」
いたずらっぽく笑いながら、歩き出すアリシアさん。
そのまま、馬車に乗りこんでこちらを向く。
「それじゃ、出発するぞ」
アルヴァさんの号令と同時に、馬車は動き出した。
「また近いうちに」
「はい、必ず」
さよならじゃなく、再会を約束する言葉。
見えなくなるまで、お互い手を振り続けた。
この話を、他と一緒に組み込めないので、短いですがここで切りました。
短いので、短編をもう1話、今日中に投稿予定です。




