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短編集  作者: らぶ
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7/8

帰路①

 放課後。学校から駅への帰り道。


 男三人で歩いていると、ふと高島が目の前のコンビニを指差した。


「なぁ、せっかくだから寄っていこうぜ」


 特に断る理由もなく、僕は頷く。

 隣の横山を見ると、財布を開いて中を確かめていた。

 が、その返事も待たず、高島はさっさと走り出す。


「おいっ、待てよ」


 追いかける横山。

 僕もその後に続いた。


 蛍光灯の白い明かりの下、自動ドアをくぐり抜ける。

 耳馴染んだ音楽とともに、涼しい風が店内から吹き抜けた。


「ふぅいぃぃー、生きかえるぅー」


 手を広げて、伸びを一つ。

 全身でクーラーを堪能すると、高島は僕らに目もくれずにアイスコーナーへと吸い寄せられていった。

 最初から目当ては決まっていたらしい。


 横山はやれやれと首を振り、その背を追う。


 僕はそんな二人をぼんやりと眺めながら、手前のコミックコーナーで足を止めた。

 見知った顔があったからだ。


 声を掛けるべきか躊躇っていると、先に相手に気づかれた。

 彼女が一瞬、目を見開く。

 しかし、すぐに表情を閉ざした。


「こんなところで会うなんて奇遇ですね?」

「そうですか?一応、通学路ですけどね」

「……相変わらず、会話の出来ない人です」


 持っていた雑誌をパタンと閉じて、彼女は立ち上がった。


「買うんですか?それ」

「いけませんか?」

「いえ……そういうわけでは。ただ、気になったので」

「そうですか。では、あなたには関係がありませんね」


 冷たく会話を終わらせると、レジへと向かっていった。

 その背をなんとなしに見ていると背後から声が掛けられた。


「おいおい零~ 女の子を怒らせちゃダメじゃないかぁ~」


 振り向くと、高島のにやけ顔が至近距離にあった。


「怒らせた、のでしょうか。彼女はいつもあのような態度なので」

「……マジで?」

「ええ、マジです」

「それは少し改善した方が良いんじゃないか、零」


 隣で聞いていた横山が思わず案じる。

 高島のにやけた口元も、いつの間にか真っ直ぐになっていた。


「そう思いますか?では、謝りにいってきます」

「待て。そうじゃない」


 改善するとなれば、まずは問題を取り除くべきだと思ったのだが。

 眉間を押さえる横山の様子を見る限り、そうでもないようだ。 

 


 

 



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