9 あのコのためなら、策士にだってなる!
いつも読んでいただき、感謝です。
4連休が明けた……今日のために私、休みの間に練りに練った計画があるの。
気合い入れて、やり切らなくちゃ!!
まずは、ひむちゃんをびっくりさせちゃおう。
ガゼボで本に集中して待ってるひむちゃんに向かって、大きく手を振りながら、 「ひむちゃ〜〜ん!」 私に注意を向けさせて、っと。
「おはよーー、ひいちゃ……って、可愛い~~! 久し振りだね、その髪型」
よしっ! 狙い通り、ひむちゃん、目を丸くしてる!!
「うん。 ちょっと気持ちを入れ替えたくて、久々にツインテにしてみたんだ~~」
「えっ?! 気持ちを?……そっかぁ。 ひいちゃんにピッタリだよ、ツインテ。 ひいちゃんの髪、ボリュームあるから、蝶々リボンでツインにしたら似合うって思ってたんだぁ」
ひむちゃん、だいぶ前に同じ事言ってくれたの、忘れてる?
私、あの日からずっと覚えてるんだよ、ひむちゃんに可愛いって言ってもらえた髪型の話を。
「ホントに?! 髪型、褒めてくれて嬉しいよ」 ま、ここはちょっととぼけておこうかな。
「ひいか、縮れ毛だから、ちょっとコンプレックスなんだ。 でも、ひむちゃんに似合うって言ってもらえて、自信になったよ。 とりあえず、ツカミはバッチリだね」
そうそう、私のコンプレックスだった髪さえも、可愛いって言って褒めてくれた……この髪型にしたのは、これから前向きに色んな事に向き合っていこう、っていう決意の表れなの。
「じゃ、行こ!!」 「うん!」
朝のホームルームで、冴先生からサークル活動再開の説明が……うん、予想通り。
「入学から1ヶ月が経とうとしてますが、今日から課外活動が解禁になります。 中学の時と同じですが……」
説明の途中で、ひむちゃんが私に、 「ひいちゃんは中学の頃、絵を描くのが得意な先生に付いて、イラストを描いてたよね」 って、話し掛けてきた。
その質問を借りて、ちょっと私の決意、にじませとこうかな。
「うん、そう~~。 でも、それも卒業かな。 新しくやりたい事が見付かったの」
「そっかぁ。 ひいちゃん、他にやりたい事が見付かったんだね」
うん、ひむちゃん、まだ私の本心に気付いてない。
「うん。 その件で今日、学校帰りにおばさまに会いたいの。 詳しい事はその時まで内緒」
「えっ? お母さんに指導者を頼むの? お母さん、何か他人に教えられるような特技、あったかなぁ……」
私のアイデア、全く想像付かないでしょ?
おばさまがいないとダメなの、どうしても。
「あっ、ひむちゃん、そんな事言ったらおばさまに失礼だよ~~。 ま、教えてもらうのとは、ちょっと違うんだけど」
「指導者をお願いするのに、教えてもらうんじゃないって、どういう事??」
謎に謎を塗り固めてる感じだね、私。
そりゃ、ひむちゃん、何が何だか分かんない! って感じになるよね。
放課後、ひむちゃんから私に声を掛けにきてくれた。
「お母さんには昨日の夜、もう一度ひいちゃんが来る事、念を押しといたよ」
「ありがとう、ひむちゃん。 内緒だらけにしてごめんね。 もう少しだけ我慢してね」
ひむちゃん、深く詮索してこないんだよ。
私が何をしようとしてるのか、絶対気になってるはずなのに……待て! をされてる犬のような気持ちかもね、今。
「その前に、ちょっと文房具店に寄ってほしいんだぁ」
まず、今日最初のミッション。
ひむちゃんは、何で? って顔をしながらも、オッケーしてくれた。
お店の前でひむちゃん、 「じゃぁ、私も一緒に入……」 とか言って、付いてこようとしたから、 「ダメ。 ひむちゃんはここで待ってて。 買い物だけ済ませたら、すぐ出てくるから」 って、両腕を目一杯横に広げて、全力で阻止したの。
ひむちゃんは一瞬、え~~っ! って顔したけど、もっともっと興味を惹きたいから、何を買うのかはまだ内緒。
さっとお店に入ると、私は一目散にノート売場へ。
そこで[絵日記帳]を探し出す……サイズも、ページ数も、うん! これでバッチリ。
お会計をささっと済ませて、お店を出る。
「ごめんごめん、待たせちゃって」
「ううん、全然早いよ~~。 で、何買ったの?」
「うん、ちょっとね」
まだ、教えられないよ~~。 そのために紙袋に包んでもらったんだもん。
ひむちゃんの知りたいエネルギーを、もっと膨らますんだ~~。
「じゃぁ、ひむちゃんちまで、よろしくね」
あはは、キツネにつままれたような顔してるよ、ひむちゃん。
私たちがひむちゃんの家に着いたのは、夕方の5時過ぎ。
こんな時間なのに、おばさま、笑顔で出迎えてくれて……ひむちゃん、上手く話を通してくれて、ありがとう。
「こんばんは、おばさま。 遅い時間にごめんなさい。 お邪魔します」
そのおもてなしに、私はしっかり頭を下げて応えたよ。
「いえいえ、大丈夫よ。 こんばんは。 また家に遊びに来てくれて嬉しいよ、ひいかちゃん。 どうぞ、中に入って」
さすがにこの前、来たばっかだから、玄関での挨拶もほどほどに、3人はリビングにあるテーブルへ。
さぁ、ここからが今日の大ミッションよ。
昨日家で、何度も何度も頭の中でシミュレーションしたんだから。
「おばさまにお願いがあります。 ひいか、新しいサークル活動のグループを作ろうと思ってるんです。 それで、おばさまに指導者になっていただきたくて」
「わ、私が指導者? で、でも、おばさん、特別何かを教えられる事なんて思い当たらないんだけど……」
うんうん、私の想定通りの返事。
「えっと……教えてもらう、というより、協力してほしい、っていう方が合ってるかもしれません」
順序良く、話を組み立てて……っと。
「うーーん……協力、ね。 私に出来る事なら、喜んで協力するけど、どういう活動をしたいの?」
よしっ! 協力って言えば、きっと私の話、聴いてくれるって思ったんだぁ。
ここで意識的に間をおいて、ここぞとばかりに二人に向かって宣言したの。
「ひいか、”超常現象解明サークル”を作りたいと思います」
……二人とも固まってる……何か反応して~~。
ようやくおばさまが、 「超常……現象……解明……サークル? 私、超常現象って全然分からなくて……協力するどころか、どうすればいいのか……」 って、たどたどしく尋ねてくれた。
はい、私の考えてる構想、しっかり説明していくよ。
「おばさま、ひむちゃんが直面してる不思議な現象について調べていきたい、って思ってるんです」
ひむちゃんを見ると、打ち合わせもなく、突然私がその事を明かしたから、ちょ、ちょっと! みたいな顔してる。
でもこれは、ひむちゃんの逃げ道を断つための、私の作戦なの。
そして、おばさまの親心をも味方につけ、巻き込むための策略なの。
「ひいかちゃん、不思議な現象って、どんなのなの?」
「この前、お邪魔した時に、ひむちゃんが 『神秘的なものが見える』 って告白してくれたんです。 それがどういう現象なのか、どうしてひむちゃんにだけ見えるのか、少しでも解明できたらいいな、って」
ひむちゃんは、あわわわ……って顔はしてるけど、私の話を遮ろうとしなかった。
「えっ?! 神秘的なものって、どういうものなの?」
おばさまが、ハッ! としたような表情で尋ねてくる。
「それは、私から話すよ」
ひむちゃん、私の思惑どおり、観念したみたい。
本編の第24~25話をベースに書き上げました。
☆今回気を付けた点☆
読者の皆さん、ごめんなさい!
ひいかが秘密を目一杯引っ張っちゃって(笑)
彼女なりの策略だと思って、大目に見てやってください。
あと、地の文を今回から[ひむちゃんのママ]⇒[おばさま]に変えてますが、エピソードの進行によるもので、意図的です。




