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あのコの一番そばで、私、輝くっ!  作者: そるみ
第2章 あのコに忍び寄る超常現象

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8/11

8 あのコとの心の距離が、やっと……

いつも読んでいただき、感謝です。

 「ひいちゃん……」

 涙がボロボロ出て、声しか聴けないけど、ひむちゃんも泣いてる?!

 ごめんね、痛かったよね……でも、もっと言いたいの! ずっともやもやしてた気持ち、吐き出したいの! ぶつけたいの!!

 「登山から帰る時もおかしかった。 何か隠し事してるっぽく感じて……」

 「ご、ごめん……言っても信じてもらえないって思って……ひいちゃんに、おかしな子って思われるのが怖くて……」

 信じてもらえないって思って? おかしな子って思われるのが怖くて??

 どうして、そうやって壁を作っちゃうの? 自分の前に。

 だから昨日、別れ際に言ったのよ? 私に出来る事があれば言って欲しい、って。

 「どんな事があっても、どんな時も、ひいか、ひむちゃんの味方だよ。 何でも言ってよ」

 ひむちゃんは独りじゃないんだよ、私がいるんだから!

 「ひいちゃん……うん、分かった。 正直に話すよ、ほつきの事」

 やっと……やっと、私が側にいる事、思い出してくれた!

 何でも話してよ、って言ったものの、あまりにも話が見えなさ過ぎて……上手く聴いてあげられるかな、私……。

 ひむちゃんは、あの時も、さっきも、妄想妄想~~って言ってごまかそうとしたよね。

 ひむちゃんには何かが見えてる……それが、そのほつき? って事っぽいけど……。

 「……ひむちゃんには見えてるんだね、そのほつきっていう子が。 ひいかにはさっぱり見えないけど……霊感的なもの、なのかなぁ」

 まずはひむちゃんが言う、”ほつき”っていうのがどんなのかを教えてもらわないと。 

 「私にも分からないけど、霊感なんて私にあるとは思えないよ。 でも、そういう神秘的なものが私に見えてるって事に、何か意味があるんじゃないかな、って。 ほつき、私からくっついて離れないし……」

 神秘的なもの、かぁ。 掴みどころのない話だけど、ひむちゃんの言う事、まるっと受け入れていこう。

 その子がひむちゃんから離れない……うーん、確かに意味もなく寄り添ってる、なんて考えにくそうだよね。

 「意味がある、かぁ。 ひむちゃん、正直に話してくれてありがとう。 ひいかも話を聞いた以上、ひむちゃんの助けになるよう頑張るからね。 それより、さっきは思いっきりぶってしまって、ごめんね」

 もっと話に深入りする事もできるけど、今は私たちの気持ちが高ぶり過ぎて、落ち着いて話し合えそうにないから、ここで一旦打ち切っておこうかな。

 それよりも、感情に任せて、ぶってしまった事は謝っとかないとね。

 「ううん、ひいちゃんのパシーーンで気付かされたよ。 私には相談できる人がすぐ近くにいるって事に。 正直言うと、このまま一人で抱え込もうと思ってたんだ。 一生懸命、私の事を考えてくれて、ありがとう」

 ああ、ひむちゃん! 私を抱きしめてくれるんだね……やっと、物理的な距離だけじゃなく、心の距離も近付けたみたいで……もうしばらく、このままでいさせてほしいな。 


 「お邪魔しました~~。 凄く良い時間を過ごせました。 おやつ、美味しかったです。 ありがとうございました、おばさま」

 帰り際、私は玄関でひむちゃんのママに深々とお辞儀をしたの。

 私にとってこの一日は、一生忘れられないものになったから……心からのお礼を。

 そして、私、決心したの。

 これからは、ひむちゃんの見るもの、感じるものを、私も共有したいって。

 だから、 「お粗末様でした。 また……」 って、ひむちゃんのママが締めくくろうとしたのを遮ってまで、 「あっ! あの、おばさま。 来週の月曜日、学校帰りにまた寄っても良いですか? ちょっとおばさまにお願いしたい事があって」 って、切り出したの。

 「えっ? ひいちゃん、どうしたの?」

 ひむちゃんは当然、どうしたの? って顔して尋ねてきたけど、 「まだ内緒。 でも、今日、決心したの。 ひむちゃんにも、その時に話すね」 って、はぐらかすことにしたよ。

 熱意が通じたのかな、 「あらあら。 もちろん、おばさんは何時でも歓迎するよ。 また遊びに来てね、ひいかちゃん」 って、受け止めてくれた。

 「じゃぁ、また月曜日に。 ばいばい、ひむちゃん」

 「うん! 月曜日にね。 ばいばい」

 ひむちゃんの家を出たこの時から、私のチャレンジが始まるの!!


 翌日、ゴールデンウイーク2日目。

 やっぱ、新しい事にチャレンジするんだったら、まずは形から入ろうかなって。

 で、ママにお願いしたの。

 「ママ、ひいか、ツインテに戻そうかな、って。 気分を変えたい、っていうのもあるんだけど、何よりも、何年か前にひむちゃんが、そっちの方が似合ってるよって、言ってくれた事があって」

 するとママは、 「そうね、ひむかちゃんがそういうなら、きっと似合ってるんだと思うわ。 うん、分かった! 私が髪の微調整、してあげる」 って、手伝ってくれたの。

 私はツインテをしてた頃に使ってたリボンを探し出してきて、早速蝶々に結んでみると、 「あっ! ホント、さっきよりずっと可愛らしくなったよ!」 って、ママが言ってくれて。

 「あーーっ! それじゃ、さっきまではひいか、可愛くなかったの~~?」 なんてむくれてみせたり、あはは。

 あっ、そう言えばママに、ひむちゃんとのその後の事、訊かれなかった……帰ってきてからの私の様子を見て、解決したって悟ったのかな。


 更に翌日。

 私は古河町駅の近くにある、絵画サークルのアトリエを訪ねに行ったの。

 今は進学直後で活動休止中だけど、先生に直接会って報告しときたい事があって。

 呼び鈴を鳴らして暫く待ってると…… 「おや? ひいか君……わざわざここまで、どうかしたのかい?」 ってインターホン越しに声が。

 「あ、突然すいません、空海そるみ先生! あの……幾つか報告を、って思って……」

 「ほぉ。 なら、どうぞ、中へ。 仕事は休みで、アトリエには今、誰もいないから」

 中へ入ると、家から持参したスケッチブックを先生の前で広げながら、 「先生から出された課題、進学しても環境に変化が無くて……新たな決意のようなものが上手く描けませんでした」 って報告する。

 「ふむむ……ひいか君は、絵を描く才能は光るものを持ってるんだけど、イメージを膨らませるのが苦手なようだね」

 うぐ……それ、ズバリな指摘だよ。

 「やっぱ、そう……なんですね」

 「目に見えるものが全てじゃなく、そこへ感情なり想像なりを添える……ひいか君はもっと色んなものを感じ、考え、触れる機会が必要だと私は思う」

 「……感情……想像……まだまだだなぁ、ひいかは。 あっ、先生! まだ報告する事があって……ひいか、やってみたい事、見付けたんです!! もちろん、絵を描く事も大好きだけど、もっと心を揺さぶられるものを。 多分、連休明けにサークル活動の希望届を出す事になると思うんだけど、そっちに力を注いでみたくて……」

 私が決意を込めたのが伝わったのか、先生は暫く考えて、 「ほぅ。 心を揺さぶられる、ねぇ。 ひいか君、それは是非、チャレンジしなさい。 上手くいけば、絵画にも生きてくるかもしれない」 って、オッケーしてくれたの。

 「でも、私からも一つ条件を。 退会ではなく、休会って事にしなさい。 いつでもここに戻って来れるように。 そして、成長した姿を見せられるように」 

 「先生! ありがとう!! ひいかの計画だと、あちらでも絵を描く機会が沢山生まれる、って思うの。 今まで先生から教わった事、忘れないよう自主練、続けます!」

 「ほぉ。 ならなおさら背中を押すよ。 一番大切なのは、ひいか君自身が心を揺さぶられる事。 成功する事をここで祈ってるよ」

 先生が右腕を伸ばしたので、私も、 「はいっ! 頑張ります!! 今までありがとうございました」 って言いながら、しっかり握手してお別れ。

 これで私、退路を断っちゃったなぁ……前進あるのみ! ふぁいと!!

本編の第23話をベースに書き上げました。


☆今回気を付けた点☆

前回に続き、このエピソードは前半最大の山場なので、とにかく感情の起伏を大きく表現する事を意識してみました。

本編に登場しない[ひいか固有シーン]を、効果的に描けただろうか。

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