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あのコの一番そばで、私、輝くっ!  作者: そるみ
第2章 あのコに忍び寄る超常現象

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7/11

7 あのコの頬、私、衝動に任せて……

いつも読んでいただき、感謝です。

 その夜、私はママに、ひむちゃんの事で相談に乗ってもらったの。

 「何だか最近、ひむちゃん、様子がおかしくて……。 何かを必死に隠そうとしてるみたいな……。 熱を出したりして、調子が悪そうだから、何か力になってあげたいって思うのに……」

 ママは私の言葉を遮らず、次の言葉を待ってくれてるみたい。

 「ひいか、始めはひむちゃんに直接、最近おかしいよ、何かひいかに隠し事してる? って、言おうと思ったの。 けど、何故か、心の中でブレーキがかかるの。 それで、強く踏み込めなくて……」

 そこまで話すと、ママは穏やかな声で、私を諭したの。

 「そう……隠し事、ねぇ。 調子が悪い時って、他人に頼りたくなるものなのに、ひいかぐらい近くにいる親友にすら相談しない……ううん、できないのかもしれない。 ひいかそれを無意識に察して、それ以上踏み込んじゃダメなラインがある、って判断した、って事じゃないかな」

 私にすら相談できないほどの悩み、かぁ……今まで、ちょっとした悩み事でも話し合ったりして、辛い気持ちを分け合ってきたのに……。

 ひむちゃん、どうして壁を作るの?

 直接訊けないなら、ひむちゃんの言動を観察して、何とか読み取るしかないよね。

 「ママ、ひいか、どうしても心配だから、明日、ひむちゃんの家にお見舞いに行くって約束したの」

 ママはそれを聞くと、優しく微笑んで、 「そう……ひいか、あまり気持ちをぶつけ過ぎないようにね。 あくまで自然に寄り添ってあげなさい」 って言った後、最後に一言加えたの。

 「姉のように広い心で、妹のように慕う心で、ね」 って。


 翌日。

 家を出発しようとしたら、ママに呼び止められたの。

 「ひいか、今日は二人にとって、凄く大切な日になるかもしれない、って思うの。 昨日、あの後、運命の女の子っていう言葉を私、また思い出してね……」

 ママが感じてる以上に、私もそれ、感じてるよ。

 「うん! ママ、行ってくるね!」

 

 ひむちゃんの家に着いたのは、お昼前。

 家から10分ほど……話に聞いてた通り、一本道だったから、迷わなかった。 ホッ。

 初めて見るひむちゃんの家……凄く独特で、サーカスのテントみたいな形……六角形?

 玄関の前で一呼吸し、自然体、自然体……自分に言い聞かせて呼び鈴を押すと、 「はーーい!」 迎え入れてくれたのは、ひむちゃん。

 まずは顔色……だいぶ良さそう。

 だから、 「ひむちゃん、元気そうで良かった~~」 って、明るく声が掛けられた。

 「ひいちゃん、待ってたよ~~。 もう体調は大丈夫、だと思う。 どうぞ、上がって」

 うん、声も張りがある……これは無理に作った明るさじゃない、かな。

 ひむちゃんにリビングへ通されると目に入ったのは、奥のアイランドキッチンに立ってる、スラっと綺麗な人……あの人がひむちゃんのママなのね。

 初めましての挨拶、しなきゃ。

 「おばさま、お邪魔します。 いつも、ひむちゃんに仲良くしてもらってます、ひいかです」

 「ひいかちゃん、こんにちは。 話には聞いてるよ。 遊びにきてくれるの、初めてだね。 今日はゆっくりしていってね」

 凄く物腰が柔らかそうな人……ママよりずっと若いのかも? でも、大人の気品が感じられるよ。

 「それにしても、お洒落な建物ですね。 サーカスのテントのような……有名建築家が建てたみたい」

 私、今まで色んな家をイラストとかで描いてきたけど、こんなお洒落な家は想像すらできなかった。

 まだまだ経験不足だな、私。

 「ありがとう。 家の事、褒めてくれて嬉しいわ。 私が生まれる前に、父と母が見晴らしのいいこの丘に最高の家を建てたくて、業者さんに注文したの」

 ひむちゃんのママ、満面の笑み……この家にかなりの愛着を持ってるって、十分伝わるよ。

 よしっ、掴みはオッケーだねっ!

 「じゃぁ、ひいちゃん、私の勉強部屋に入って」

 ひむちゃんの部屋、どんなだろう……わくわく。


 「台形のお部屋って、変わってるなぁ。 壁と天井に窓があって……」

 外見が外見なら、内側もお洒落……私の想像力じゃ、到底思い付けないや、この造り。

 それにこの部屋、本棚の存在感が凄いの!

 ふと目をやると、色んなジャンルの本が立ててある。

 いつもガゼボで読んでる、あの冒険ものの小説もあそこに。

 「あんまりじっくり見られると恥ずかしいよぉ~~」

 あっ、ひむちゃんに勘づかれちゃった。

 キョロキョロしすぎたね、ちょっと。


 トントントンってノックの音の後に、おばさまが、オレンジジュースが注がれたグラスと、カステラとフォークを乗せた皿を、トレーに載せて入ってきた。

 「うわぁ~~、ありがとうございます、おばさま。 美味しそう~~」

 この前の双子ちゃんの誕生日会といい、最近、私、甘いものに縁があるわ~。

 「お母さん、ありがとう。 あまあまで、美味しそうだよ~~」

 ひむちゃんも隣でニコニコしてる。 そうそう、その笑顔だよ!

 「折角、訪ねてきてくれたんだもん、甘いものを食べながら、楽しんでいってね」

 おばさまが部屋を出ていったのを見るや否や、二人で飛び付く。

 「じゃぁ……」 「「いただきまーーす!!」」

 その後、聞こえたんだぁ、おばさまが扉の向こうで、くすくすと笑ってるのが。

 私たちがはしゃいでる雰囲気を、扉の向こう側で感じてくれてるんだなぁ、って。


 ひとしきりお腹を満たした後、私はまた本棚に視線を移す。

 「すご~~い! 本がいっぱい! ひむちゃん、読書家だね」 って、驚いてたら、 「確かに本好きだけど、中身を見てよ」 って言うの。

 いやいや、漫画より小説の方が何十倍も多いよ? 凄いじゃない。

 「でもでも、漫画ばっかのひいかの部屋と比べたら、字がいっぱいの本が多くて凄いよ」 って言うと、ひむちゃん、くすくす笑うの。

 そうそう、さっきから気になってたんだけど、この本棚にはノートも立て掛けてあるんだよね。

 大きさが違うから目立つし。

 「で、ここに立ててあるノートって……」

 「あぁ、それは自作小説を書いたノートだよ。 中学の頃、サークルで書いたんだけど、なかなか上手く書けなくて……」

 あっ! そっか!! ひむちゃん、サークル活動で小説を書いてたんだった。

 「ちょっとだけ読んでいい?」 興味津々。 読んでみたいっ! 私、登場してたりして、なーんて。

 そこでひむちゃん、突然、意味不明な事を叫んだの。

 「えっ? えーーっ!! ほつき、凄い! ビカビカ光ってる……」

 あまりにも唐突だったから反応が遅れちゃったけど、会話、噛み合ってないよ??

 しかも、ほつき? ビカビカ光ってる?? 何言ってるの???

 「えっ? ビカビカ? ひむちゃん、何がどうしたの?」 

 ……ん? ちょっと待って! そう言えば、この前もこんな感じで、突然だったよね。

 そして、私の質問に、あからさまに取り乱しだして、 「あ、あへ?! な、何でもないよ~~。 妄想妄想~~」 って……あ、あへ?! 初めて聞く反応だよ、それ。

 で、また妄想妄想~~って……あの時も同じように、何かごまかそうとして言ったよね、それ。

 もう、同じ手は食わない! ここだ! 踏み込むタイミング!!

 「……ねぇ、ひむちゃん、ホントに何でもないの?」

 これでもか、ってくらい低~~い声で、眼力を利かせて、ひむちゃんを見詰めてみる。

 「う? うん。 ホ、ホントに何でもな……」

 ここまで来て、まだごまかし通すの?

 何で……何で私に隠し事するの? 打ち明けてくれないの?? ひむちゃんから見た私って、そんな程度の親友だったの???

 どんどん涙が溢れてきて、気持ちも溢れてきて……私、衝動に任せて……

 パシーーーーン!!

 気付いたら、ひむちゃんの頬を力一杯、平手でぶってた。

 「……ひむちゃん、どうして……どうしてごまかすの? ひいか、相談して欲しいのに……」

本編の第23話をベースに書き上げました。


☆今回気を付けた点☆

ここは物語上、物凄く重要な場面なので、本編よりも更に時間の流れを意識的にゆっくりにしました。

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