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あのコの一番そばで、私、輝くっ!  作者: そるみ
第2章 あのコに忍び寄る超常現象

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10/11

10 あのコに見えるもの、私にも見せて!

いつも読んでいただき、感謝です。

 「今、その神秘的なものは私の右肩にいるの。 形は星形で、色は薄だいだい色で、ホログラムのように透き通ってて……。 で、私はこの子に、ほつきっていう名前を付けたの。 この前の登山の時、渓谷の休憩所で見付けて、その後、ずっと私に付いてきてるの」

 あ! それでひむちゃん、あの登山の後から肩を気にする素振りを見せてたのね、納得。

 イメージするのよ……星形、薄だいだい、ホログラム……。

 「あ、あの……それ、聞くの、初めてよ、私」

 「こんな事、話しても信じてもらえないって思って、内緒にしようと思ってたの。 ひいちゃんにはこの前白状したんだけど……」

 思った通り!

 ひむちゃん、やっぱ、おばさまにはまだ打ち明けてなかったんだね……おばさまも巻き込まないと。

 「そう……もちろん、私はひむかの言う事を信じるよ。 確かに、それは不思議な現象よね」

 「受け入れてくれてありがとう、お母さん。 信じてくれて嬉しいよ」

 ほら、しっかり受け止めてくれるじゃないの、ちゃんと話したら。

 そうやって自分の中に抱え込んじゃうの、良くないんだから。


 「あ、あと、ひいちゃんにも話さないといけないんだけど……」

 ん? ひむちゃん、私にもあるの? 顔がマジね。

 「もう一つ、神秘的なものが見えてるって事に気付いてるの、私」

 「え、もう一つ?」

 今度は私がびっくりする番?!

 「登山から帰ってきた日の夜、お母さんの書斎にお邪魔した時の事なんだけど……」

 ひむちゃんの話を聴く態勢に入ろうとすると、 「……その事に触れないように、そっとしておこうって思ってたんだけど、ひむかが話すのなら……」 って、おばさまが言うの。

 おばさまは知ってる話なのね……私、ひむちゃんの不思議現象の事、おばさまは全く知らないって思ってた。

 「ウサギのぬいぐるみが見えたの。 昨日まで無かったものが、帰ってきたら増えてたから、私はてっきり、お母さんが昼間に買ってきたんだな、って思ったの。 でも、お母さんとの会話が噛み合わなくて……ここにあるのにって、取りにいこうとしたら、幻だった」

 ウサギのぬいぐるみ?! それ、あまりにウサギが好き過ぎて、幻まで生み出してるんじゃない? って……いや、顔はずっとマジなままだね。

 「そんな事があったの? それって、今もその場所に見えるのかな?」

 まずは、その現象が今も続いてるのかを確認したいよね。

 「きっと、見えると思う。 お母さん、書斎に入ってもいい?」

 三人でおばさまの書斎に入ると…… 「うん、ある! はっきり見えるよ、ウサギのぬいぐるみ」 って、ひむちゃんが報告してくれた。

 ひむちゃんにしか見えないものが、まだ他にもある……さっき文房具店で、見開き20ページもあるのを選んできた私の判断は良い方に転がった、って事ね。


 リビングに戻ってくると、私は紙袋の包装を解き、絵日記帳を取り出した。

 「ん? これって、絵日記帳だよね。 懐かしいなぁ。 小学生の頃、夏休みの宿題で毎日絵日記を付けた事があったけど……どうしてそれを?」

 そろそろ種明かしするね、ひむちゃん。

 「これにね、ひむちゃんに見えてる神秘的なものを、記録してみようって考えたの。 こうやって、ノートを見開きで使って……」

 まだ説明始めたばっかなのに、 「絵日記っていう事は、絵を描くんだよね。 私、さっぱりダメだよ。 才能ないし、描けそうにないよ~~」 って、慌ててひむちゃん、無理無理って手を振ってくるんだよ?

 「うん、ひむちゃんの絵が画伯レベルなのは知ってるよ。 だけど、神秘的なものが見えるのはひむちゃんだけだから……そこはひいかが代わりに描けないから、頑張っておおまかでもいいから描いてほしいの」

 ひむちゃん、どうしよう、助けて~~! って顔してるよ?

 でも、どうにもならないもん、私には見えないんだから。

 「ノートを見開きで、4分割して使うの。 まず、それを右上のコーナーに描いてもらって……」

 「あはは……ひいちゃん、確かにそうだけど……分かった、頑張って描いてみる。 で、それを描いたら?」

 ふぅ~~、何とか描いてくれそうね。

 「次に、右下のコーナーに説明を書き加えてほしいの。 それがどういうものなのか、みたいなのを」

 「うん。 説明ならしっかり書けそうかな」

 「で、今度はひいかが、ひむちゃんが描いた絵と説明と、聞き取った事を参考にして、イメージを膨らませて、左上のコーナーにイラストを描いていって……」

 ここでひむちゃん、 「あのぉ……私の描いた絵に上書きして修正する、じゃダメなの?」 って、すがりつくような視線を私に送ってくるんだよ?

 「ううん、ダメ。 オリジナルの絵にあるニュアンスは大切だから、残すよ」

 「とほほ……残すのね」

 ひむちゃん、撃沈。

 「で、左下のコーナーは?」

 「そこは、考察欄。 実際にひいかたちが考えたり、調べていって分かったりした事を書いていくの」

 絵日記帳の使い方の説明、上手く伝わったかなぁ。

 「なるほど。 このノートはひむかにしか見えないものを、他の人たちにも共有させるためのツール、って事ね」

 「はい、おばさま」

 さすがおばさま! 理解が早い!!

 私は知ってたけどおばさまは知らなかった[ほつきさん]、逆におばさまは知ってたけど私は知らなかった[ウサギのぬいぐるみ]……それらを三人が共有できれば、何か道が開けるかも、って。


 「では早速、ひむちゃんの肩に乗ってるっていう、ほつきさんについて書いていこうと思います」

 そう言うと、ひむちゃん、何かを目で追ってるような仕草を見せたの。

 「あれっ? ほつきが左手の甲に移動したよ……もしかしてこの子、私たちがやろうとしてる事が分かったのかな?」

 私が書こうって言ったら移動……うーん……私たちの言葉を理解して書きやすいように動いたのか、それともたまたまなのか……何とも言えないなぁ。

 ひむちゃんがサラサラって、ほつきさんの姿形を描き始めたけど……予想以上の画伯レベル。

 「ひむちゃ~~ん、ホントにそんな感じなの? それじゃ、ノートに書く星印だよ。 大切だねこれ、みたいな」

 一筆書きみたいな星形……もっとよく観察してみてよ~~。

 「例えば、その先っぽって、尖ってるの? 丸みがあるの?」

 「う~~ん……ちょっと丸みがあるみたいな……かな」

 「全体的にそんなペッタンコなの? 膨らみとかないの?」

 「う~~ん……中心はぷっくりしてるかな~~。 先になるほど細めになってるなぁ」

 「目とかそう言うのは無いの?」

 「あっ! あるある!! 中心からちょっと上辺り、縦に細長い目が二つ。 口は……ないかな」

 「で、薄だいだいでホログラム、ね……」

 大体のイメージを頭に描く。

 ひむちゃんとの会話を、おばさまはくすくす笑いながら、温かい目で見守ってくれてる。

 「ごめ~~ん。 私、ホントに絵心なくて……これで許して~~。 で、説明を付けるのね。 えっと……」

 今度は一転、ひむちゃんの鉛筆が、躍るように紙の上を滑る。


 ・神尾渓谷の休憩所で発見した。

 ・形は星形で、色は薄だいだい色で、ホログラムのように透き通ってる。

 ・名前は”ほつき”。 私が名付けた。

 ・時々歩いたり、瞬いたりするけど、喋らない。

 ・腕を伸ばして、私から離れてって願うと、身体から離れる。


 「こんなところかな」

 「うんうん、上出来だよ。 で、ひいかがこれと聞き取りをヒントに、イラストを描いていくね」

 私のターン。 ショルダーバッグから色鉛筆を取り出す。 シャカシャカっと。

 「わぁ~~、上手いなぁ~~。 でもでも、もっと肉付きが良いの。 うんうん、それそれ! 良い感じ!! 目はもっとつぶらな感じ。 あ、薄だいだいメインだけど、透明感もあるの~~。 縁に近いところが明るめかな~~」 

 注文多いなぁ~~、もう。

 でも、想像を膨らませて、見えないものを形作っていくの、凄く楽しい!!

 やいのやいの言いながら十数分後……。

 「うわぁ、ひいちゃんのイラスト、凄い! ほつきにそっくりだよ。 言葉にするのが難しいものでも、絵だとパッと伝わるね」

 「あはは、それが絵の良いとこなのよ」

 ひむちゃんの一言で、絵が描ける事を誇らしく思えてきたよ。

 記念すべき1ページ目、完成だねっ!!

本編の第25話をベースに書き上げました。


☆今回気を付けた点☆

今エピソードはどうしても解説っぽくなってしまうので、できるだけ会話と心理描写に落とし込んで書くよう、心掛けました。

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